2005/08/19〜20:RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO

2005/08/19〜20:RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO

ライジング・サンに行ってきた。初めての北海道、そして初めてのフェス(誘ってくれた高校時代からの友人に感謝!)で二日間強の音楽漬け。楽しかった。多くの仕事を同時に抱えていて普通に考えればとても行けるような状況じゃなかったけど、いろんな人々に協力してもらって、参加出来て本当に良かったと思う。
 

ライジング・サンの足あと

S=SUN STAGE E=EARTH TENT R=RED STAR FIELD M=MOON CIRCUS G=GREEN OASIS
BH=BLACK HOLE BG=BOHEMIAN GARDEN

050819fri
1610:THE BAND HAS NO NAME [E] →1700:沖野修也(Kyoto Jazz Massive) [M] →1800:ハナレグミ [BG] →2000:井上薫(chari chari) [M] →2050:電気グルーヴ×スチャダラパー [E] →2200:HEATWAVE [G] →2340:DJ KENSEI [M] →0100:DJ KRUSH [M]

050820sat
1415:氣志團 [S] →-:生意気 [BH] →1520:TOKYO No.1 SOUL SET [R] →1600:rei harakami [M] →1645:MOODMAN [M] →1820:フィッシュマンズ [S] →1945:KARAFUTO a.k.a. FUMIYA TANAKA [M] →2130:一十三十一 [G] →-:BLACK BOTTOM BRASS BAND [道端] →2345:忌野清志郎 & NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS [S] →0040:GREAT ADVENTURE [E] →-:Enlightenment [BH] →0215:CRAZY KEN BAND [S]
 

印象に残ったアクト

フィッシュマンズ [S]
奇跡の時間。演奏、音響、歌、空の演出(夕焼け)、すべてが最高だった。初フィッシュマンズのライブをこんな形で体験できて、実はすごく幸福だったのかもしれない。Weather Report with 原田郁子(クラムボン)、ナイトクルージング with 永積タカシ(ハナレグミ)、頼りない天使 with UA、MELODY with 忌野清志郎、いかれたBaby with All Singers & BIKKE!! 「いかれたBaby」で両手上げながら涙が出てきた。拭けないじゃないか。
実は事前に伏せられていたSPECIAL VOCALISTSの顔ぶれを、行く前から誰だろうとあれこれ推理していた。UAと忌野清志郎は当たっていた。でもスタート直前にSUN STAGEに向かう途中のEARTH TENTを通りかかったら、RHYMESTERのゲストでキヨシローが「雨上がりの夜空に」を熱唱していたので「これは無理だな」と思っていたら最後の方に出てきて驚いた。さすがGOD。タフ。

忌野清志郎 & NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS [S]
RHYMESTER、フィッシュマンズ、自分のバンドと一日三回ステージに上った(ぼくの知る限り)。実はライブを生で観るのはこれが初めてだったが、初めから終わりまで、キヨシローの表現者としての真髄に触れた気がした。54歳とは絶対に思えない歌声とダンスとステージパフォーマンス(よく跳ねるJUMP!)、冴えてるギャグと歌詞から見え隠れするウィット。このステージと会場内でもらった雑誌「DICTIONARY」“A to Z”での“ライブはスポーツである”発言を読んで「なるほど」とうなずけたし、やっぱりぼくもダンスを習いにいこうと本気で思った。
最近のライブが(THE BOOMのように)過去のヒット曲で占められているのもいいなと思った。「雨上がりの夜空に」「スローバラード」などRCの曲の凄さを再発見した(歌詞における何気ない情景描写など)。20数年前に聴いたライブ・アルバム『RHAPSODY』とほとんど変わってない。

電気グルーヴ×スチャダラパー [E]
ステージから10mくらいの場所でもみくちゃになりながら観た。あんなにライブで激しく燃えたのは、1999年のクラフトワーク来日以来。ボーズ、アニ、瀧の3MCの後ろでニヤリと笑う、卓球/シンコにクラフトワークを感じた。彼ら(特に電気)の未来が垣間見えた気がした。面白かったのは、生「瀧 vs アニ/アニ vs 瀧」。ディスり合いの後の、瀧「アニ、サイコー!」アニ「瀧、サイコー!」瀧「おまえら、サイコー!」のMCのやりとりに感動。瀧の客あしらいの上手さに惚れた。ライブがいいバンドは、演奏だけでなく客とのコミュニケーションが上手、というのが今回のフェスでの発見。

BLACK BOTTOM BRASS BAND[道端] プログラムに書かれてないバンドの、プログラムに書かれてない場所での突然のライブ。RED STAR FIELDの近くの道端(?)に人だかりが出来ていたので近付いていくと、BLACK BOTTOM BRASS BANDが管楽器や太鼓を抱えて演奏していた。そのまま「聖者の行進」などよく知っている曲を演奏しながら隣のフィールドまでgo marchin’ in。ライジングの自由な雰囲気を象徴するような出来事だった。

rei harakami [M]
レイ・ハラカミの音のきらめきを感じるのに、野外は最高にうってつけの場所。いままで観た彼のライブでもベストに近いと思った。最後の恒例のステージからの記念撮影にはしっかり映った(はず)。
追記(8月26日)やっぱり映ってた。前の方の真ん中あたり(一枚目。前の人の手で隠れてるけど)。

DJ KRUSH [M]
今回初めて彼のDJを観て、想像していたのと全然違っていて驚かされた。レコードなどの素材を生でエディットして作り込んでいくプロセスは“ターンテーブル・アート”と呼ぶにふさわしく、かなり刺激を受けてしまった。
 

覚え書きあれこれ

▼MOON CIRCUSと呼ばれるクラブ・スペースがとても気持ちよくて、特に観たいライブがないときはたいてい入り浸っていた。DJ KENSEIは予備知識で自分の世界に近いと予想していたが、まったくその通りだった。トッド・テリーを久々に聴けたのが嬉しかった。MOODMANはディープ・ハウス風味で、これまた大好きな世界。chari chariも同じだったが、途中で次のライブのため出なければならないのが残念だった。

▼それまで聴いたことのないバンドを新たに知る機会が多いのも、フェスの醍醐味のひとつ。雨宿りのためたまたま入ったEARTH TENTで観たGREAT ADVENTUREは、打ち込みみたいなグルーヴを生の演奏で作り出していて、とてもスリリングだった。

▼ライジング・サンのステージのうち最も奥にあるBOHEMIAN GARDENに、シークレットで登場したハナレグミ。二日目は夜12時スタートで2時間半も歌ったそうだが、勘違いのため見逃してしまった。フェスに正解はないので…(言い訳)。

▼会場のあちこちで疲れた身体にスタミナを授けてくれた屋台の数々。ベスト・フードは……SUN STAGEの近くで食べたジンギスカン丼。羊肉なのに鶏肉・豚肉などすべての肉をミックスしたような柔らかさ。ほかにも、スープカレー、ホタテ、カニ汁など。お土産は、大泉洋プロデュースのスープカレーの素、北海道限定サクマ夕張メロンドロップスほか。

▼とにかく初めてのフェスなので、前日までの装備品購入にはかなり燃えた。心配していた寒さはなかったが、何度も降ってきた雨への対策として、mont-bell(素晴らしいアウトドア・ショップ)のレインコートをちゃんと用意していったのは正しかった。靴は履き慣れたスニーカーを選んだが、できればゴアテックス仕様の厚手のものが好ましい。雨は靴底を伝って靴下を濡らすため。持っていて良かったものは、10リットル程度の小さめデイパック、ミニ・マグライト。あとはテントを所有する仲間。

▼デザイン的な収穫としては、テントの構造というものにひかれてしまった。グルビや東泉一郎さんがバックミンスター・フラーに関心を持つ理由が、ようやく少しわかった。こうなりゃマイ・テントだわ。

▼リストバンド・チェック(会場の要所で手を挙げてリストバンドの有無を確認する行為)など、会場内のあちこちから感じたフリーな雰囲気の源となっていた、主催者ウェスの、おひさまのように暖かく来場者を見守るもてなしの心に感謝。初めてのフェスをライジング・サンで迎えられたことはほんとうにラッキーだった。来年も行きたい!

気づいたらここにいた。

気づいたらここにいた。

きょうは朝から、ドラマー林立夫さんの写真撮影があった。10月26日にリリースされる『Non Vintage〜林立夫セレクション』(くわしくはこちら)のブックレット用。曇り空だったけど、とてもいい雰囲気の中で撮影ができた。撮影終了後、林さん、カメラマンの桑畑さん、撮影に立ち会ったライターの川村さんと四人でしばらくいろんなことを話した。それぞれのキャリアについての話題になったとき、林さんが「ミュージシャンを目指そうなんて思ったことは一度もなかった」と言っていて、それが強く印象に残った。別に最初からミュージシャンになりたかったわけではなく、たまたま細野さんや鈴木茂さん、ユーミンやその他の仲間たちと同じ場所にいただけだった、と。

今回一緒に仕事をした桑畑さんも写真を撮り始めたのは30以降で、それまではカメラマンになろうなんて夢にも思っていなかったそうだ。桑畑さんと同い年のぼくも、やはりデザインを始めたのは30過ぎてMacを購入してから。自分が将来デザイナーになっているなんて20代の頃は想像だにしてなかった。幼い頃からずっとドラムに親しんできた林さんと自分を単純に比べることはできないけど、林さんの言わんとするところには深く共感できた。

素晴らしい仲間たちと同じ場所・時間を共有する経験を重ねていくうち、気づいたらぼくはここにいてデザイナーになっていた。時々そんなふうに思うことがある。別にデザイナーじゃなくてもよかったのかもしれない、とも思う。ただ、ぼくにとってデザインは自分を100%表現できて、しかもリラックスしてこなせる仕事。たぶんこういうのを“天職”というのだろう。桑畑さんが「音楽が好きだった自分にとって、カメラはやっと手に入れた楽器のようなもの」と言っていた。ぼくもデザインなら誰とでもセッションできるような気がする。

和田誠のグラフィックデザインについて

和田誠のグラフィックデザインについて

5月9日(月)から、銀座にあるギンザグラフィックギャラリーで企画展「和田誠のグラフィックデザイン」が開かれる。和田誠さんといえば「週刊文春」の表紙やポートレートなどイラストレーターとしての仕事が有名だが、ぼくにとっては、柳原良平、横尾忠則、山名文夫ほかと並ぶ、黎明期の広告業界を舞台に活躍したグラフィック・デザイナーとしての印象が強い。広告も雑誌もその他の分野もいちばん活気があった1960年代、いまのようにグラフィック・デザインとイラストレーションが分業化されていなかった頃に、自分で絵を描いてデザインもし、さらにはアニメーション制作や執筆、編集、作曲など、興味のおもむくままにいろんなことに次々と積極的にトライしていった。そのフットワークの軽さにあこがれてしまう。

おそらく誰もが知っている和田さんのグラフィック・デザイナーとしての代表作は、たばこの「ハイライト」のパッケージだろう。発売以来一度もリニューアルされることなく愛され続けたシンプルなデザイン。和田さんの仕事でぼくが個人的に最も好きなのは、草森紳一によるナチス研究本『ナチス・プロパガンダ絶対の宣伝』シリーズの装幀。全体に赤と黒で統一された色調。赤一色のベタにナチスのシンボルを中央に置いただけの外箱。シンプルを極め、デザイン的にはほとんど何もしないことによって、本の内容と意味性が静かに強く伝わってくる。

今回の企画展の紹介ページで著書『時間旅行』から引用されていた、「デザインはあくまでも人のためにあって、限りなく縁の下の力持ちだから、自己主張しないものだと思っている。」という和田さんのデザインについての考え方は、ぼくの「器としてのデザイン」の発想に近い。自己主張から離れてそこにあるものにひたすら寄り添うことによって、その作品の最終到達点におのずと導かれる、みたいなことは確かにある。ただそれは簡単なようでいて、とても難しいことだと思う。匿名であるためには何よりも基礎的なスキルが必要だし、和田さんもその地点にたどり着くまでにはきっと星の数ほどの(それこそ自分の仕事の回顧を“時間旅行”と呼んでしまえるくらいの)経験を必要としたことだろう。和田さんと同じ地点に自分もたどり着けるとは到底思えないけれど、いまはとにかく“経験”がもっともっとほしいところ。

追記(5月19日):観に行ってきた。

何十年もの間に生まれたグラフィック・デザインの作品が、ジャンルごとに整然と並べられていた。名画座やシアターアプルの古いポスター、ロゴデザイン、新聞広告、数々の装幀・装画などなど……。中でも感銘を受けたのは、1977年から毎週手がけている「週刊文春」表紙の装画とデザイン。自分にはない新しい画風にトライしようとスタートして、それさえも描き続けて29年、という経験の重みがすごい。ポスターは、和田さん独特のほのぼのとした絵の世界と、カッチリしたデザインの世界に、彼なりの線引きがみえて興味深かった。ロゴデザインにも思わず見入ってしまった。CDジャケットにも使われたデュークエイセス45周年のロゴが好き。

華氏911/ボーリング・フォー・コロンバイン

華氏911/ボーリング・フォー・コロンバイン

マイケル・ムーア監督の2004年公開作品。やっと見ることができた。あまりポジティブでない評価も聞いていたので、ちょっと気が引けていたが、実際観てみたらとても良い作品だった。『ボーリング・フォー・コロンバイン』よりも個人的には印象が良かった。

『ボーリング・フォー・コロンバイン』から一貫して感じられることだが、マイケル・ムーアは言葉本来の意味で“愛国者”だと思う。彼は自分の住むアメリカを本当に愛しているからこそ、ブッシュやその周辺にいる自分の手を汚さぬ人々の欺瞞を許すことができない。マイケル・ムーアが常に他人事ではなく、つまり(日本人がしばしばそうであるように……)対岸の出来事として安全な場所から「ブッシュは悪だ」「戦争は悪だ」と語り、そしてすぐに忘れてしまうのではなく、自分自身を含んだ自分たちの出来事として忘れずに語ろうとしていることはとても重要だと思う。

前作でムーアが取り上げたのはアメリカ内部の病だったが、今回もその姿勢は基本的に変わっていない。アメリカ本土と膨張したアメリカの犠牲になったイラク、その二つのアメリカの闇を自らの身をもって体験した若い兵士たちやその家族に光を当てていく後半の展開は見事だった。

参考までに、過去に書いた『ボーリング・フォー・コロンバイン』の評を以下に。

 
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ボーリング・フォー・コロンバイン

マイケル・ムーア監督・出演のドキュメンタリー映画。2003年日本公開。アメリカの郊外にある、コロラド州のコロンバイン高校で起こった銃乱射事件を題材に、アメリカの銃問題とその真相に独自のアプローチで迫る。日本でも公開当初、アメリカのテロ報復やイラク攻撃にともなう反戦・反米ムードが高まる中、マスコミに取り上げられたことで大きな話題となった。

映画が大ヒットして、周囲でもこの映画を薦める声があちこちで聞かれたけれど、なぜか思うところがあってすぐには観に行かなかった。相変わらずアメリカと中東をめぐる争いの火は完全に消えていないけど、世論としてはあの頃よりも静かになって、少し冷静な目でこの作品と向かい合うことができた。結論からいえば、「ボーリング・フォー・コロンバイン」は、とてもよく練られ取材され、見事に編集された良質のドキュメンタリーだと思う。

この作品を見る限り、ムーアは自分が生まれた国を愛していて、彼なりのやり方でその現状を憂いているように感じられた。対象とあまり関わりを持たない取材者によるドキュメンタリーが、時として「巨悪を斬る」的なシリアスかつ大上段的な視点になりがちなのとは違って、彼の視点は「自分も生まれ育ったアメリカの郊外」「自分も持ってたNRA(ライフル協会)会員証と銃」みたいに、常に“自分自身”と結びついている。

そんなムーアの人柄……熱血やユーモアの精神が素直に表われているおかげで、このドキュメンタリーはとても人間味あふれるものになっていると思う。映画は、最後までわかりやすくユーモアを絶やさず、ムーアの愛や情熱をエネルギーに、ラストの結論、というか、ムーアがこの作品でもっともやりたかったこと・見せ場に向けて一気に突っ走る。

よく言われるようにムーアの取材は「アポなし・電波少年的」で、問題があったり、捉え方が一方的と感じる部分もなくはなかったけど、まさにムーアだからぎりぎり許せた。逆にほかの人だったら不快に感じたかもしれない。あまりに反米・反ブッシュ的なムードの中で語られることが多かったけど、この映画そのものはきわめてドメスティックで、アメリカ国内の問題(とくに「郊外」の実態)にきちんと光を当てようとしている。

アメリカ人のムーアが自分の国を憂い「アメリカは変だ」と告発するのと、国外からこの映画に便乗して(鵜呑みにして)反米を訴えるのとはまた別の話だろう。でも、次作はずばり「9.11」をテーマに、ビンラディン家とブッシュ家の密かな関係をあばくものになるそうで、ムーアの次の一手には素直に期待を寄せてしまう。
 

写真=華氏 911 コレクターズ・エディション [DVD]

2004年最も印象に残った××××

2004年最も印象に残った××××

:::本:::

BROOCH(ブローチ)
絵=渡邊良重/文=内田也哉子(リトルモア

カレンダーで有名なD-BROSの渡邊良重の絵に、内田也哉子が言葉をつけた絵本。トレペのような透ける紙(極薄の片晒クラフト紙)に描かれた絵が、次のページの絵と重なりながら物語を紡いでいくさまが素晴らしい。136ページの旅、という感じ。渡邊さんはデザイナーで絵描きだけど、これはデザイナーと絵描きの両方の視線があって初めて成立する希有な本だと思う。同一コンセプトでつくられた週めくりカレンダー「12 STORIES」(D-BROS)は、当事務所の2005年カレンダーに決定。

他にも…
沢木耕太郎ノンフィクション1〜9
 沢木耕太郎(文藝春秋)
狭くて小さいたのしい家 永江朗/アトリエ・ワン(原書房)
山名文夫のグラフィックデザイン(ピエブックス)
 
 

kokoku-hihyo
 
:::雑誌:::

広告批評(マドラ出版)

4月からグルーヴィジョンズがアートディレクションを手がけるようになってから、欠かさず買うようにしている。デザインもさることながら編集部の視点が常にヴィヴィッド。毎号出ているミュージックビデオやCMのレビュー、年末恒例の特集「世界のコマーシャル2004」+付録CD-ROMは、ぼくの心を映像の世界へと駆り立ててくれた。2004年は雑誌の当たり年!

他にも…
NEUTRAL
(白夜書房)
Luca(エスクワイアマガジンジャパン)
FOIL VOL.7 特集:アメリカ デザイン=中島英樹(リトルモア)
Invitation(ぴあ)
 
 

10yamana
 
:::アート:::

もうひとりの山名文夫 1920s-70s
(銀座=ギンザ・グラフィック・ギャラリー

山名文夫(やまなあやお)は、資生堂の新聞広告や紀ノ国屋のショッピングバッグのデザインで知られるグラフィックデザイナー/イラストレーター。思えば今から約6年前、1998年暮れに目黒区美術館で開かれた回顧展で、氏の作品を初めて見て衝撃を受け、「これからデザインとイラストの両方をやっていこう」と誓ったものだった。それが今に至るぼくの原点である。

その彼の生前約50年間の作品をまとめた久々の回顧展が、銀座の二つのギャラリーで同時開催された。特に(在籍していた)資生堂時代以外のグラフィックデザインとイラストを集めたgggの展示は、手描きとMacの要素が交わりつつある今のぼくには、とても価値ある内容だった。ぼくにとって新しい始まりと思えるこの年に、もう一度原点に立たせてもらえた気がした。2004年はKiiiiiiiの影響もあって、久々に新鮮な目でたくさんのアートに触れることができ、どれもすごく栄養になった。

他にも…
山名文夫の世界 曲線のモダンガール
(銀座=HOUSE OF SHISEIDO)
田名網敬一 「昇天する家具」展(大阪=graf media gm
Have We Met?—見知らぬ君へ(赤坂=国際交流基金フォーラム)
立花文穂展 SMTWTFS(田園調布=東屋)
 
 

vertigo honto
 
:::音楽:::

日常的にCD単位で音楽(新譜)に接する機会が減ったこともあって、去年は正直、個人的に心に引っかかるアルバムがほとんどなかった(仕事で関わった『日々のあわ』『raise hands high』はよく聴いたけど)。もはやCDとかアルバムの時代ではない、というよく聞かれる風説が、iTMSの画面なんかを見ているとなんだかリアルに感じられてくる。

U2の「Vertigo」は、もうそこまで来ている“一曲百円”時代にぴたりと照準を合わせた、21世紀のシングルという感じでカッコよかった。iPodとのタイアップも、CD/CD+DVD/CD+DVD+BOOK/iTMSという4種類のアルバムの販売形態を用意しているのも、したたかだし。iTMSだけで売っているという“Vertigo by U2”のCFのフルヴァージョンが見たい。

矢野顕子の『ホントのきもち』は、いわばU2の対極。エピック時代に無理してつけていたであろうタイアップやら、きらびやかな装飾的要素を一切やめてしまった。ごちそうに対して粗食、みたいなざらっとした感触の歌が、かえって矢野さんの“ホントのきもち”をより正直に伝えている気がした。創作でも日頃のちょっとしたことでも、嘘に嘘を重ねることは必ず自分に返ってくる。このアルバムはぼくにとって去年一年間の象徴的なテーマとなった(という割に実はほとんど聴いてない。あくまでも象徴なので……)。矢野さんが当社に在籍したわずかな期間に、bluemarkの菊地さんをアルバムのデザイナーとしておすすめできたのはよかったとつくづく思う。
 
 

avj
 
:::キーワード:::

“映像”

気が付いたら映像ばかり見ていた一年だった。映画ではなく“映像”。ミュージックヴィデオ、CF、Flashムービー、ヴィデオアートなどの短めの作品。これまでは「静止したもの」がずっとぼくのデザイン的興味の対象だったが、去年からは、動くもの、複数のコマで見せるもの、タイムラインのある表現への関心が一気に高まった。

Kiiiiiiiの影響や、個人的にもイラストを使ったスライド作品を秋に発表したり、下地になる出来事はいろいろあったけど、きちんと意識して注目するようになったのは、9月のSOI-MUSIC FESで辻川幸一郎のMV(スーパーカー、スパノヴァ、コーネリアス…)を見たのがきっかけ。いやー、はっきり言って天才。2004年は辻川幸一郎の才能を讃える年といっても過言ではない。気持ち悪いことはなんて気持ちいいんだろう(たとえばこの作品→GettyImages)。SMAPのNTT東日本、慎吾くんが出ている明治ミルクチョコレートのCMも彼の作品。

他にもワープ・レコードのMV集『ワープ・ヴィジョン』で、クリス・カニンガムの映像の不気味さにひかれたり、Kiiiiiiiも参加した伊藤桂司さん+京都造形芸術大の学生が制作したアニメーションに感動したり。「広告批評」年末恒例の特集“世界のコマーシャル2004”も付録CD-ROMにCF映像がいっぱいで楽しめた。音楽だけよりも、音楽と映像が結びついている方が面白いし(ある意味ライブもそういうもの)、静止したアートワークもそれをスライドみたいにタイムラインに乗せたり音楽と組み合わせたりするだけでかなり面白くなる、というのが2004年の大きな発見だった。年末に見た国際交流基金フォーラムの“Have We Met?”展でも半分以上の作品がヴィデオアートで、この方向は現在の主流なんだなと感じる。

 

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