2004年最も印象に残った××××

2004年最も印象に残った××××

:::本:::

BROOCH(ブローチ)
絵=渡邊良重/文=内田也哉子(リトルモア

カレンダーで有名なD-BROSの渡邊良重の絵に、内田也哉子が言葉をつけた絵本。トレペのような透ける紙(極薄の片晒クラフト紙)に描かれた絵が、次のページの絵と重なりながら物語を紡いでいくさまが素晴らしい。136ページの旅、という感じ。渡邊さんはデザイナーで絵描きだけど、これはデザイナーと絵描きの両方の視線があって初めて成立する希有な本だと思う。同一コンセプトでつくられた週めくりカレンダー「12 STORIES」(D-BROS)は、当事務所の2005年カレンダーに決定。

他にも…
沢木耕太郎ノンフィクション1〜9
 沢木耕太郎(文藝春秋)
狭くて小さいたのしい家 永江朗/アトリエ・ワン(原書房)
山名文夫のグラフィックデザイン(ピエブックス)
 
 

kokoku-hihyo
 
:::雑誌:::

広告批評(マドラ出版)

4月からグルーヴィジョンズがアートディレクションを手がけるようになってから、欠かさず買うようにしている。デザインもさることながら編集部の視点が常にヴィヴィッド。毎号出ているミュージックビデオやCMのレビュー、年末恒例の特集「世界のコマーシャル2004」+付録CD-ROMは、ぼくの心を映像の世界へと駆り立ててくれた。2004年は雑誌の当たり年!

他にも…
NEUTRAL
(白夜書房)
Luca(エスクワイアマガジンジャパン)
FOIL VOL.7 特集:アメリカ デザイン=中島英樹(リトルモア)
Invitation(ぴあ)
 
 

10yamana
 
:::アート:::

もうひとりの山名文夫 1920s-70s
(銀座=ギンザ・グラフィック・ギャラリー

山名文夫(やまなあやお)は、資生堂の新聞広告や紀ノ国屋のショッピングバッグのデザインで知られるグラフィックデザイナー/イラストレーター。思えば今から約6年前、1998年暮れに目黒区美術館で開かれた回顧展で、氏の作品を初めて見て衝撃を受け、「これからデザインとイラストの両方をやっていこう」と誓ったものだった。それが今に至るぼくの原点である。

その彼の生前約50年間の作品をまとめた久々の回顧展が、銀座の二つのギャラリーで同時開催された。特に(在籍していた)資生堂時代以外のグラフィックデザインとイラストを集めたgggの展示は、手描きとMacの要素が交わりつつある今のぼくには、とても価値ある内容だった。ぼくにとって新しい始まりと思えるこの年に、もう一度原点に立たせてもらえた気がした。2004年はKiiiiiiiの影響もあって、久々に新鮮な目でたくさんのアートに触れることができ、どれもすごく栄養になった。

他にも…
山名文夫の世界 曲線のモダンガール
(銀座=HOUSE OF SHISEIDO)
田名網敬一 「昇天する家具」展(大阪=graf media gm
Have We Met?—見知らぬ君へ(赤坂=国際交流基金フォーラム)
立花文穂展 SMTWTFS(田園調布=東屋)
 
 

vertigo honto
 
:::音楽:::

日常的にCD単位で音楽(新譜)に接する機会が減ったこともあって、去年は正直、個人的に心に引っかかるアルバムがほとんどなかった(仕事で関わった『日々のあわ』『raise hands high』はよく聴いたけど)。もはやCDとかアルバムの時代ではない、というよく聞かれる風説が、iTMSの画面なんかを見ているとなんだかリアルに感じられてくる。

U2の「Vertigo」は、もうそこまで来ている“一曲百円”時代にぴたりと照準を合わせた、21世紀のシングルという感じでカッコよかった。iPodとのタイアップも、CD/CD+DVD/CD+DVD+BOOK/iTMSという4種類のアルバムの販売形態を用意しているのも、したたかだし。iTMSだけで売っているという“Vertigo by U2”のCFのフルヴァージョンが見たい。

矢野顕子の『ホントのきもち』は、いわばU2の対極。エピック時代に無理してつけていたであろうタイアップやら、きらびやかな装飾的要素を一切やめてしまった。ごちそうに対して粗食、みたいなざらっとした感触の歌が、かえって矢野さんの“ホントのきもち”をより正直に伝えている気がした。創作でも日頃のちょっとしたことでも、嘘に嘘を重ねることは必ず自分に返ってくる。このアルバムはぼくにとって去年一年間の象徴的なテーマとなった(という割に実はほとんど聴いてない。あくまでも象徴なので……)。矢野さんが当社に在籍したわずかな期間に、bluemarkの菊地さんをアルバムのデザイナーとしておすすめできたのはよかったとつくづく思う。
 
 

avj
 
:::キーワード:::

“映像”

気が付いたら映像ばかり見ていた一年だった。映画ではなく“映像”。ミュージックヴィデオ、CF、Flashムービー、ヴィデオアートなどの短めの作品。これまでは「静止したもの」がずっとぼくのデザイン的興味の対象だったが、去年からは、動くもの、複数のコマで見せるもの、タイムラインのある表現への関心が一気に高まった。

Kiiiiiiiの影響や、個人的にもイラストを使ったスライド作品を秋に発表したり、下地になる出来事はいろいろあったけど、きちんと意識して注目するようになったのは、9月のSOI-MUSIC FESで辻川幸一郎のMV(スーパーカー、スパノヴァ、コーネリアス…)を見たのがきっかけ。いやー、はっきり言って天才。2004年は辻川幸一郎の才能を讃える年といっても過言ではない。気持ち悪いことはなんて気持ちいいんだろう(たとえばこの作品→GettyImages)。SMAPのNTT東日本、慎吾くんが出ている明治ミルクチョコレートのCMも彼の作品。

他にもワープ・レコードのMV集『ワープ・ヴィジョン』で、クリス・カニンガムの映像の不気味さにひかれたり、Kiiiiiiiも参加した伊藤桂司さん+京都造形芸術大の学生が制作したアニメーションに感動したり。「広告批評」年末恒例の特集“世界のコマーシャル2004”も付録CD-ROMにCF映像がいっぱいで楽しめた。音楽だけよりも、音楽と映像が結びついている方が面白いし(ある意味ライブもそういうもの)、静止したアートワークもそれをスライドみたいにタイムラインに乗せたり音楽と組み合わせたりするだけでかなり面白くなる、というのが2004年の大きな発見だった。年末に見た国際交流基金フォーラムの“Have We Met?”展でも半分以上の作品がヴィデオアートで、この方向は現在の主流なんだなと感じる。

 

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