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中川ひろたかさんが主宰する被災地支援プロジェクト「みんなともだちプロジェクト」の一環により、古くから伝わるカロムというおはじきゲームの盤を、福島県いわき市で製造して全国に向けて販売することになり、そのデザインを依頼された。いわき市の小学校や公民館などを中川さんが訪れ、歌と遊びと絵本読み聞かせをするツアー「中川ひろたか in いわき」のタイミングに合わせてカロムの試作品が完成すると聞き、被災地の子どもたちがカロムで遊ぶ姿がどうしても見たくなり、無理を言ってツアーに同行させてもらうことにした。本当は日帰りで帰る予定が、いわきの居心地があまりに良かったため、もう一泊して二日間滞在することになった。
 
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完成したカロムの試作品は上々の出来だった。いわきの設計業者が盤を設計し、ぼくが施したデザインをもとに、いわきの複数の工房で印刷〜盤の組み立て〜駒の製造を行ない、完成した製品が「みんなともだちプロジェクト」いわき支部から全国に向けて販売される。写真はまだ試作の段階のため盤全体にシールを貼った状態だが、完成品では、絵本画家の村上康成さんが描くプロジェクトのシンボル(福島に生息する鳥のキビタキとオオルリ)が、盤の板にシルクスクリーン4版による綺麗な色味で直接印刷されることになる。村上さんもきっと喜ぶでしょう。
 
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イラストの回りには、プロジェクトのロゴ(これも村上康成さん)と「MADE IN IWAKI, FUKUSHIMA」の文字。実はこの語句、ぼくが思いついて後から加えたものだ。福島の産物が出荷停止になったり出荷されても避けられたりする中、「福島製」のクレジットは、地元の人たちにとって必ず大きな誇りになるに違いない、と思ったこと。そして、このカロムで遊ぶ全国の人々にも福島のことを忘れないでいてほしい、という思いも込めた。用意されたカロム盤にさっそく子どもたちが群がって、思い思いに駒をはじいて遊んでいた。
 
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いわき市内は、震災の爪痕がまだそこかしこに残されているものの、全体として復興に向けて大きく歩み始めているようにみえた。中川さんが歌う「にじ」(♪きっと明日は いい天気)や「はじめの一歩」(♪かならず あさは おとずれるから)を聞きながら、ハンカチを取り出して涙を拭っているお母さんを何人も見かけた。校舎が津波で流された学校が被災を免れた学校に間借りしているケースも多かった。そんな厳しい状況と隣り合わせにもかかわらず、ぼくが出会ったいわきの人々の顔は、大人も子どももみんな明るく輝いていて、希望の方に向かっているように感じられた。その前向きな姿に逆にぼくの方が励まされたりもした。さすがフラガールの街、である。東京でメディアを通して見聞きするだけでは絶対にわからない、被災地の人々のほんとうの気持ちをたくさん知ることができたのが、旅の一番の収穫だった。今回出会ったいわきの人々とは、これからも引き続きグッズのデザインなどを通して交流していくことになると思う。
 
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[左]カロムについての取材を終えて、中川さん、福島テレビの浜中アナ、いわき支部の原田さんと。
[右]パームツリーの傍に瓦礫の山。撤去作業は急ピッチで進められていた。
 

今回の訪問で大変お世話になった、いわき支部・原田さんのブログ。
>>魔法の絵本 http://jamme.mo-blog.jp/

いわき支部のブログ。カロムは既に注文受付中。
>>みんなともだちプロジェクト in いわき http://minnatomodachi0246.blog81.fc2.com/