ウェルカム!ビートルズ

佐藤剛さんの新刊『ウェルカム!ビートルズ 1966年の武道館公演を実現させたビジネスマンたち』(リットーミュージック・刊)のブックデザイン(装丁と本文組版)を担当しました。

ザ・ビートルズについては、関係者やファンなど様々な視点から書かれた著作が既に多数出ていますが、本書はザ・ビートルズの1966年の来日公演(日本武道館:6/30〜7/2)の実現を影で支えた国内外のビジネスマンたちと、彼らの功績に光を当てるノンフィクションです。本書の縦糸=主役となるのは、ビートルズをめぐる音楽史にこれまで一切登場することのなかった、東芝EMIの名ディレクターとして知られた石坂敬一の父であり、東芝レコードの重役として坂本九「上を向いて歩こう」を世界的なヒットへと導くなどの功績を果たした知られざる人物・石坂範一郎です。
 

ぼくが音楽的物心がついた頃には、ビートルズは既に解散してかなりの時間が経っていました。上の世代に比べて思い入れの強さでは勝てませんが、当時を知るファンの方々にも手に取ってもらえればと思い、ビートルズ来日時の資料を漁る過程で目に止まった来日公演のポスターやチケットのヴィジュアルを、今回の装丁にあたってヒントにしています。当時の使用書体と全く同じタイプフェイスのものが存在しなかったため、既存のデジタルフォントをベースに細部を加工しました。当時のヴィジュアルを知る方には、オリジナルとの微妙な違いも、笑って受け止めてもらえるのではないかと思ってます。

中央に配置したジョージ、ジョン、リンゴ、ポールのイラストは、オリジナルのポスターで同じ位置に入っていた写真を、イラストレーターの北村範史さんに似顔絵として起こしてもらいました。北村さんとはハナレグミのCDジャケット以来何回かご一緒しており、今回久しぶりに仕事をお願いすることができました。

 
以下は余談でここだけの話ですが、今回デザインのほかにもうひとつ重要な仕事として、ぼくが提案した「ウェルカム!ビートルズ」が本書の正式タイトルとして採用されました(本書の出典となる、エンタメステーション連載時のタイトルは「ビートルズの武道館公演を実現させた陰の立役者たち」)。
 

 
タイトルのアイデアの元になった「ウェルカム・ビートルズ」は、1996年のザ・ビートルズ日本公演初日のオープニングアクトで、当時の日本のロック・ミュージシャンを代表する4組により歌われた、この公演のためのオリジナル曲(作詞:井上忠夫、作曲:安井かずみ。のちにジャッキー吉川とブルー・コメッツにより音源化)で、その名の通りビートルズをお迎えする歌でした。この歌詞や演奏の様子に込められたなんともいえない愛情や恥ずかしさが入り混じった思いが、当時この公演のために奔走した日本のスタッフやファンの総意を代弁しているように感じられたのです。ちなみにこの曲はのちに、テクノ/ニューウェイヴバンドのプラスチックスによってカヴァーされました(タイトルと一部歌詞が変更)。ぼくが最初に知ったのはそちらのヴァージョンでした。

 
普段主に手がけている絵本や児童書に比べて一般書籍のブックデザインにはあまり馴染みがなかったのですが、編集出身のキャリアを活かし、作品の世界の奥底に深く潜り込みながらデザインを進めることができました(編集的見地から誤字脱字という名の貝殻も沢山発見 🙂 )。組版にも様々なバリエーションがあって読みやすさ+αを追求する作業は楽しく、またこういう仕事が来たらうれしいなと思います。
 

佐藤 剛『ウェルカム!ビートルズ 1966年の武道館公演を実現させたビジネスマンたち』(→Amazon.co.jp
リットーミュージック
2018年3月12日発売
2000円+税(定価)
 


 

>>ウェルカム!ビートルズ:リットーミュージック

>>ビートルズ来日をめぐる人間ドラマを丹念に描く感動のノンフィクション! 書籍『ウェルカム!ビートルズ』発売|エンタメステーション





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