下中商会『魔法を信じるかい?』+アートワーク解説

下中商会『魔法を信じるかい?』+アートワーク解説

中川ひろたか&下中薫のユニット下中商会の3rdアルバム『魔法を信じるかい?』がリリースされました。今回はジャケットデザインのほかにイラストレーターとしてもクレジットされています。

下中商会・三部作 CD/DVD PACKAGE

 
1年3か月で3枚という驚異的なリリースペース。1st制作の時点で既に30曲を超えるストックが出来ていたという下中商会のプロジェクトも、本作でひとまず三部作が完結です。ビートルズやストーンズなどの邦題からイメージを広げて作った楽曲と同じように、ブックレットのアートワークも、収録曲やアルバムタイトルから連想した内容になってます。3作とも使用できる写真の点数が少なかったため、ブックレットについては写真とは別にヴィジュアル要素を自分で作ろうと考えたのがはじまりでした。下中商会の熱烈な“株主”の方々には既にアルバムが行き渡っていると思うので、ここで1stから3rdまでのアートワーク/イラストレーションのライナーノーツを公開します。
 
shimo-notes
 

1st『恋を抱きしめよう!』(2012/7)

1stはタイトルが表すように「恋」が重要なテーマになっていたので、男女の愛をモチーフに、イラストとアートワークのちょうど中間くらいの図案を作ることにしました。ハイヒール〜サドルシューズ(ダンス/50’s)、朝日〜湖の波紋、鍵と錠前……など歌詞に微妙に絡めつつ、色(男=水色、女=ピンク)と相まって男女の関係を表しています。
 

2nd『Kiss_and_Cry』(2012/12)

タイトルの『キス・アンド・クライ』は、フィギュアスケートで競技を終えた選手が採点を待つ小さなスペースのこと。それにちなんで、歌詞の背景にスケートリンクの軌跡(トレースという)を表すアートワークを手描きで入れました。女=ゴールド、男=シルバー(メダルの色)の線がページをめくるたびに、出会い、交差し、時にすれ違い、平行線を辿り、最後には男に抱きかかえられてゴールする。……知らなければただの落書きの線、かもしれません。
 

3rd『魔法を信じるかい?』(2013/3)

1st〜2ndのような全体を貫くモチーフがギリギリまで見つからず、結局各ページに挿絵(アートワークではなくイラストレーション)を描くことにしました。歌詞によって意味を強く近づけたり、逆にわざとずらしたりして、なるべく歌詞の説明にならないよう心がけました。以下は、特に意味が伝わりにくいと思われる数点についての解説です。
 
2:朝からゴキゲン……オカモトのOKマーク。
5:拝啓 I Love You……見返り美人の切手と消印。歌詞は現代の出来事だが、挿絵はあえて古い時代設定にしている(昭和30〜40年代頃)。
6:ひとりぼっちのあいつ……映画『イエローサブマリン』に登場するNowhere Man(ビートルズ「ひとりぼっちのあいつ」の原題)。オリジナルではタイプライターを叩いているが、ここではパソコンのキーボードに向かわせ、現代の孤独を描いた。
10:恋のアドバイス……映画『HELP』で「You’re Going To Lose That Girl」(ビートルズ「恋のアドバイス」の原題)が流れたシーンで、リンゴ・スターがはめていた指輪。リンゴは指輪コレクターで、Ringが転じて芸名になったといわれる。この歌詞では、先輩から後輩への恋のアドバイスを歌っているが、ここでは“女の子に指輪でも買ってあげて”と強引にこじつけた。
12:恋に落ちたら……だじゃれ。
 
あとはノーヒントで。曲を聴きながら考えてみてください。

Cinnamon:サイトリニューアルのお知らせ

Cinnamon:サイトリニューアルのお知らせ

イラストレーターとしての作品と仕事を紹介するサイトを、久々に更新&リニューアルしました。

>>Cinnamon|下山ワタル

第一弾として、2004年にイベントで発表したスライド作品「モノローグ」全36点を公開しています。
もう9年前に描いたものですが、現在に至る自分のスタイルのきっかけとなった重要な作品です。
今後は、これまでに仕事などで描いた作品の中から現在の目線でセレクトしたものを追加したり、
できれば新作も公開していきたいと思ってます。

リニューアルにあたってはTumblrを導入しました。フォロー/リブログなど、お気軽にどうぞ。
(著作権と転載・引用の条件については、後日サイトに追記します)
パソコンだとこちらの意図した通りの、大きな画面表示で見ることができます。
スマホ(Tumblr公式)もPCも、画面の一番下までスクロールすると次の画像を自動で読み込みます。
スマホの場合は、サードパーティーのアプリ(Flipboardなど)を使うとさらに便利だと思います。
RSSリーダーへの登録も可能です。

タイトル下メニューのTextをクリックすると、記事中のテキストだけがまとめて表示されます。
特別なお知らせや、シリーズごとの作品の説明やリンクをここに載せていく予定です。
ほかにもより見やすくするためのアップデートを随時行っていきます。

ちなみに最近ぼくのことを知った方はあまりご存知ないと思いますが、
Cinnamonは、2007年頃までぼくがイラストレーターとして活動する際のペンネームでした。

Alone Together VOLUME ONEについてのメモ

Alone Together VOLUME ONEについてのメモ

黒沢健一さんのアカペラ多重録音によるミニアルバム『Alone Together VOLUME ONE』をデザインしました。

アルバムのアートワークはわかる方には一目瞭然ですが、1984年のヒット・アルバムからの引用です(こちらです)。2010年のアルバム『V.S.G.P』(ライブ録音+α)もそうでしたが、オリジナル以外の路線のアルバムのアイデア出しは基本的に100%黒沢さんからで、今回も、ジャズのジャケット・デザインに影響を受けた主に80年代以降のLP(ジョー・ジャクソン、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズなど)を何枚か事前に渡されました。ジャズのイメージで行きたい、というよりは、今回のテーマである一人アカペラを表現するためのヒントに、ということだったと思います。

が、その半月後に行われたスタッフ・ミーティングの時点では、既に黒沢さんの頭の中で今回参考にさせてもらったアルバム(受け取ったレコードの中にも含まれていた)一点に絞りこまれていたようで、そのCDと国内盤LP(帯付)まで追加で用意してくれました。ぼくもその種のパロディ/オマージュに割と節操がない人間なので、前作同様そのまま突き進んでしまった次第です(苦笑)。当初の案では、一人多重アカペラを表現するため複数の黒沢さんの写真を合成したジャケットを想定していたものの、最終的に選ばれた写真の印象が飛び抜けて良かったため、ごらんのような一点のみの形に落ち着きました。

KKat-logo-s24TH FLOOR Recordsは、元々はジャケットを似せる際にレーベルも架空の名前で作ってしまおう、とミーティングでアイデアを出し合う中で黒沢さんから出てきた名前が、結局、正式なレーベルとして今後も稼働していくことになりました。ロゴに関しては、CDの盤面に使ったロゴ(半袖Tシャツにも使われた)がエスペランサ・レコーズ(元ネタのレーベル)のオマージュだった以外は基本オリジナルのデザインです。

以下は余談です。24TH FLOOR Recordsのネーミングについて。黒沢さんからの案が出た際、類似のレーベル名がないかその場で検索して調べたところ、4th FLOOR Records14th Floor Recordsの存在が確認されました。24TH FLOORは最上階に違いない、と念のためもう一度調べると……90th Floor Recordsと99th Floor Recordsがありました(Discogsによる検索結果)。上には上がいますね…。ともあれ同じフロアのレーベルがなくて良かったとホッとしています。

さて、黒沢さんも12月29日のステージで言っていたように、今年は待望の(4年振り?)オリジナル・アルバムがリリースされるそうです(その後にはバンドによるツアーも)。まずは一人のファンとして音源の到来を楽しみに待ちたいと思います。

>>new album [Alone Together VOLUME ONE]|Kenichi Kurosawa
>>黒沢健一『V.S.G.P』|パラグラフ
 

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世界中のパロディジャケットとそのオリジナルを網羅した本『レコジャケジャンキー!』音楽出版社)。
「2」が出る際には、前作と合わせてぜひ取り上げてほしい…。

第四回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート

第四回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート

2012年6月10日に行われる、吹奏楽団harmonize(ハーモナイズ)の第四回チャリティーコンサートのフライヤーをデザインしました。Worksにフライヤーの画像を一点追加しました。

 
harmonize吹奏楽チャリティーコンサート FLYER/LEAFLET

 
harmonizeは東京都日野市を拠点に活動する吹奏楽団です。リーダーで指揮者を務める藤井君は、以前勤めていた音楽制作会社の所属ミュージシャンのローディーをしていました。「丁稚」と呼ばれて下働きをしていた彼が、その数年後、学校の先生としてぼくの前に現れ、フライヤーと当日配布するプログラム、Tシャツ、本番を収録したDVDのデザインを依頼してくれました。

この仕事では珍しく、デザインに関する決まり事や制約が一切ないので(彼らからは毎回その年のテーマを表す短いコピーが届きます)、毎年コンセプトを変えて自由にやらせてもらっています。三回目の2011年は、震災を受けて彼らが出してきた「ここは、ひだまりの場所。」というコピーに触発されて、切り貼りで空と太陽があるやさしい空間を表現しました。

第四回の今回は、震災から一年を経て、力強いものを出したい気持ちだったので、彼らが日々演奏で表現している「吹く」こと「叩く」ことってどんな感じだろう、と想像しながら、実際に水彩絵の具を吹いたり叩いたりしてアートワークを作っていきました。コピーをもらう前は、花火や花のイメージが頭に浮かんでいて、震災から一年経って、鎮魂、みたいな意味も少し込めています。

絵の具の上の文字とアイデア自体は、2004年頃に制作した100s(中村一義のバンド)のウェブサイトで、一時的に使ったネタのリユース。短期間のリニューアルですぐに消滅してしまったので、どこかで形に残したいと思っていました。これまでの静かなデザインに比べるといくぶん力強い表現になりました。

 
harmonizeのコンサートは入場無料です。
お近くの方、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

 
第四回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート
2012年6月10日[日]
13:30開場/14:00開演
ひの煉瓦ホール(日野市民会館)大ホール
入場無料

 
>>harmonize

陽はまた昇る

陽はまた昇る

HEATWAVE山口洋が2011年3月から約1年間、ブログに投稿した日記と写真をまとめた本『The Rock’n Roll Diary, 2011 3.11〜 陽はまた昇る』のデザインと編集を担当しました。Worksに追加したのでご覧ください。

・山口洋『The Rock’n Roll Diary, 2011 3.11~ 陽はまた昇る』 BOOK/BOOKLET

山口さんの日記本シリーズも本作で4作目。タイトルに「2011 3.11~」とあるように、震災以降の出来事(福島県相馬市を支援するプロジェクト「MY LIFE IS MY MESSAGE」の立ち上げとその後)を中心に綴られています。著者の山口さん曰く「非常に重い内容」である、と。ただ今回も、基本的にはこれまでのシリーズのデザインを踏襲し、山口さんの言葉と写真を乗せる、無機質な「器」に徹したつもりです。

この本は2012年3月から行われている山口洋ソロツアー「MY LIFE IS MY MESSAGE -solo2012」の各会場で、または通販(Artist-Direct Shop 405)で購入できます。

 
>>前作発売時のデザイナー・インタビュー|INTERVIEWS for land of music “the Rising”