Alone Together VOLUME ONEについてのメモ

Alone Together VOLUME ONEについてのメモ

黒沢健一さんのアカペラ多重録音によるミニアルバム『Alone Together VOLUME ONE』をデザインしました。

アルバムのアートワークはわかる方には一目瞭然ですが、1984年のヒット・アルバムからの引用です(こちらです)。2010年のアルバム『V.S.G.P』(ライブ録音+α)もそうでしたが、オリジナル以外の路線のアルバムのアイデア出しは基本的に100%黒沢さんからで、今回も、ジャズのジャケット・デザインに影響を受けた主に80年代以降のLP(ジョー・ジャクソン、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズなど)を何枚か事前に渡されました。ジャズのイメージで行きたい、というよりは、今回のテーマである一人アカペラを表現するためのヒントに、ということだったと思います。

が、その半月後に行われたスタッフ・ミーティングの時点では、既に黒沢さんの頭の中で今回参考にさせてもらったアルバム(受け取ったレコードの中にも含まれていた)一点に絞りこまれていたようで、そのCDと国内盤LP(帯付)まで追加で用意してくれました。ぼくもその種のパロディ/オマージュに割と節操がない人間なので、前作同様そのまま突き進んでしまった次第です(苦笑)。当初の案では、一人多重アカペラを表現するため複数の黒沢さんの写真を合成したジャケットを想定していたものの、最終的に選ばれた写真の印象が飛び抜けて良かったため、ごらんのような一点のみの形に落ち着きました。

KKat-logo-s24TH FLOOR Recordsは、元々はジャケットを似せる際にレーベルも架空の名前で作ってしまおう、とミーティングでアイデアを出し合う中で黒沢さんから出てきた名前が、結局、正式なレーベルとして今後も稼働していくことになりました。ロゴに関しては、CDの盤面に使ったロゴ(半袖Tシャツにも使われた)がエスペランサ・レコーズ(元ネタのレーベル)のオマージュだった以外は基本オリジナルのデザインです。

以下は余談です。24TH FLOOR Recordsのネーミングについて。黒沢さんからの案が出た際、類似のレーベル名がないかその場で検索して調べたところ、4th FLOOR Records14th Floor Recordsの存在が確認されました。24TH FLOORは最上階に違いない、と念のためもう一度調べると……90th Floor Recordsと99th Floor Recordsがありました(Discogsによる検索結果)。上には上がいますね…。ともあれ同じフロアのレーベルがなくて良かったとホッとしています。

さて、黒沢さんも12月29日のステージで言っていたように、今年は待望の(4年振り?)オリジナル・アルバムがリリースされるそうです(その後にはバンドによるツアーも)。まずは一人のファンとして音源の到来を楽しみに待ちたいと思います。

>>new album [Alone Together VOLUME ONE]|Kenichi Kurosawa
>>黒沢健一『V.S.G.P』|パラグラフ
 

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世界中のパロディジャケットとそのオリジナルを網羅した本『レコジャケジャンキー!』音楽出版社)。
「2」が出る際には、前作と合わせてぜひ取り上げてほしい…。

第四回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート

第四回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート

2012年6月10日に行われる、吹奏楽団harmonize(ハーモナイズ)の第四回チャリティーコンサートのフライヤーをデザインしました。Worksにフライヤーの画像を一点追加しました。

 
harmonize吹奏楽チャリティーコンサート FLYER/LEAFLET

 
harmonizeは東京都日野市を拠点に活動する吹奏楽団です。リーダーで指揮者を務める藤井君は、以前勤めていた音楽制作会社の所属ミュージシャンのローディーをしていました。「丁稚」と呼ばれて下働きをしていた彼が、その数年後、学校の先生としてぼくの前に現れ、フライヤーと当日配布するプログラム、Tシャツ、本番を収録したDVDのデザインを依頼してくれました。

この仕事では珍しく、デザインに関する決まり事や制約が一切ないので(彼らからは毎回その年のテーマを表す短いコピーが届きます)、毎年コンセプトを変えて自由にやらせてもらっています。三回目の2011年は、震災を受けて彼らが出してきた「ここは、ひだまりの場所。」というコピーに触発されて、切り貼りで空と太陽があるやさしい空間を表現しました。

第四回の今回は、震災から一年を経て、力強いものを出したい気持ちだったので、彼らが日々演奏で表現している「吹く」こと「叩く」ことってどんな感じだろう、と想像しながら、実際に水彩絵の具を吹いたり叩いたりしてアートワークを作っていきました。コピーをもらう前は、花火や花のイメージが頭に浮かんでいて、震災から一年経って、鎮魂、みたいな意味も少し込めています。

絵の具の上の文字とアイデア自体は、2004年頃に制作した100s(中村一義のバンド)のウェブサイトで、一時的に使ったネタのリユース。短期間のリニューアルですぐに消滅してしまったので、どこかで形に残したいと思っていました。これまでの静かなデザインに比べるといくぶん力強い表現になりました。

 
harmonizeのコンサートは入場無料です。
お近くの方、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

 
第四回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート
2012年6月10日[日]
13:30開場/14:00開演
ひの煉瓦ホール(日野市民会館)大ホール
入場無料

 
>>harmonize

陽はまた昇る

陽はまた昇る

HEATWAVE山口洋が2011年3月から約1年間、ブログに投稿した日記と写真をまとめた本『The Rock’n Roll Diary, 2011 3.11〜 陽はまた昇る』のデザインと編集を担当しました。Worksに追加したのでご覧ください。

・山口洋『The Rock’n Roll Diary, 2011 3.11~ 陽はまた昇る』 BOOK/BOOKLET

山口さんの日記本シリーズも本作で4作目。タイトルに「2011 3.11~」とあるように、震災以降の出来事(福島県相馬市を支援するプロジェクト「MY LIFE IS MY MESSAGE」の立ち上げとその後)を中心に綴られています。著者の山口さん曰く「非常に重い内容」である、と。ただ今回も、基本的にはこれまでのシリーズのデザインを踏襲し、山口さんの言葉と写真を乗せる、無機質な「器」に徹したつもりです。

この本は2012年3月から行われている山口洋ソロツアー「MY LIFE IS MY MESSAGE -solo2012」の各会場で、または通販(Artist-Direct Shop 405)で購入できます。

 
>>前作発売時のデザイナー・インタビュー|INTERVIEWS for land of music “the Rising”

スムルース『WHOOP HOOP』2月15日発売

スムルース『WHOOP HOOP』2月15日発売

スムルースの約1年振りのニューアルバム『WHOOP HOOP』が明日、2012年2月15日発売です。
 
2008年12月にリリースされた『UNITE』から彼らのアルバムとヴィジュアル回りのデザインに関わり続けて、早いものでもう3年以上になります。忘れもしません、『UNITE』のデザインの印刷データを入稿した翌日に娘が誕生しました。それ以来、スムルースと関わった期間=娘の年齢(ほぼ)ということで、自分でも大変わかりやすいです。娘が成長していくのと同様に、スムルースとの(アルバム制作チームとしての)つながりも日に日に成長して深まっていくのを感じます。
 
>>キミの手をひいて|パラグラフ
 
『WHOOP HOOP』はそれまで短いインターバルで頻繁にリリースを重ねてきた彼らが、約1年の準備期間を経て、満を持して世に放つ自信作、です。ぼくがスムルースを知ったのは『UNITE』以降で、それ以前の彼らのことを(実体験として)深く知ることはできません。でも、ただひとつ言えるのは、彼らの楽曲の底に流れているメッセージ/世界観やメロディの大きな方向性は、昔も今も全く変わっていないし、それどころか最初からずっと一定している、ということです。今回のアルバムを聴いて、そのことがやはり正しかったと自分の中で強く思いました。

『UNITE』以降は前面に出なかった、ヴォーカル德田君のイラストが久々にジャケットを飾ったのも、今年で結成15周年を迎える彼らの節目にふさわしい大きな出来事だと思います。音とアートワーク、耳と目と両方で感じてもらえるアルバムになりました。スムルースにしかできない全14曲の「スムロック(thmRock)」。多くの人に届いてほしい、そうなる可能性を十分に持った作品だと信じています。「輪」のように何度も何度も繰り返して聞けるアルバムだと思います。
 

WHOOP HOOP(→Amazon.co.jp
スムルース(ヤマハミュージックコミュニケーションズ) 2012年2月15日発売
3150円(税込)

>>ALBUM『WHOOP HOOP』|スムルース公式サイト

「ゼロの焦点」サントラの仕事

「ゼロの焦点」サントラの仕事

11月14日に公開される映画『ゼロの焦点』(監督=犬童一心)のオリジナル・サウンドトラックのデザインを担当しました。主演=広末涼子、中谷美紀、木村多江、というマイ・フェイバリット・女優さんたちによる豪華スリートップ。先日の東京国際映画祭あたりからテレビやネット、雑誌などで精力的なプロモーションが展開されてます。

音楽は、ゲルニカ、8 1/2、最近ではCM「たらこ・たらこ・たらこ」の作曲でも知られる上野耕路さん。そして主題歌「愛だけを残せ」を中島みゆきさんが歌っています。この頃ちょくちょくと頂いている中島みゆきさん関連の仕事です。ホントに今年はFocusに始まりFocusで終わるような一年でした(POPの焦点→ゼロの焦点)……まだ終わりじゃないけど。
 
既にAmazonなど各所で公開されているジャケットを見ても、実際どんな感じかわかりにくいと思います。実は、今回のCDブックレットは『ゼロの焦点』のテーマカラーの赤にちなんで、赤いトレーシングペーパーとカラーページが交互に来る特殊な仕様になっています。
 
zero-ost2
映画の宣伝で使われた「ゼロ」のアートワークが白と黒で刷られたトレペをめくると、
 
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作品の舞台になった「ヤセの断崖」とメインタイトルがどーんと。

こんな具合にトレペを使った効果が何ページか続きます。映画を観てサントラを購入した方には、映画全体に漂う、昭和30年代という時代と日本海特有の暗さが混ざった哀しみが、音楽とあいまってより深く伝わるのではないでしょうか。
 

「ゼロの焦点」オリジナル・サウンドトラック
音楽:上野耕路/主題歌:中島みゆき(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
2009年11月11日発売
定価 2500円(税込)

>>映画『ゼロの焦点』公式サイト
>>asahi.com|「昭和の女」ヒロスエ流 松本清張原作「ゼロの焦点」(広末涼子インタビュー)
(「自分が何をやりたいかより、人が自分に何をやらせたいかの方が重要」という言葉に共感)