K-POP PLAYLIST 2019 SUMMER

K-POP PLAYLIST 2019 SUMMER

4月中旬から突然聴き始めたK-POPから、特に自分の好みに近い曲を集めたSpotifyプレイリストを作りました。


 

K-POPを突然聴くようになった理由

もともとK-POPは、自分から能動的に聴いてみようと思って聴き始めたわけではありませんでした。わが家では娘と妻が早くからTWICEが好きでハマっていたけど、ボーイズグループもガールズグループも最初は偏見が邪魔して、単なるアイドルの延長としか感じられなかったのでした。
 

きっかけとなったのは、日本にこのまま閉じ籠もり続けるのはヤバい…「グローバル」な文化をもっと意識しなくては、と考えさせられる出来事があって……それからSpotifyの各国版のチャートを毎日仕事中に聴くようになった。アルゼンチン、オーストラリア、メキシコ、ペルー、アイスランド、etc……行ったことのない国々でどんな音楽が流行っているか、興味がありました。

結論からいうと、極端に言語体系が違う中国語圏やトルコ、ロシア、アイスランド以外は、どの国も大体同じ曲がヒットしていました(リル・ナズ・X、マルーマ、ビリー・アイリッシュ、etc…)。世界中どこでも同じ曲が流れる。それが「グローバル」ヒットの本質だと思います。

そんな中で、ちょっと気になるEDMの曲がベスト50の中で3~4曲、南米や東欧の国々で同じようにランクインしていて、調べたらそれがK-POPでした。しかも、日本のようにローカライズされたヴァージョンではなく、韓国語と英語のミックスの原曲の歌詞のまま、現地でヒットしている。

ハロプロ好きの自分の耳にもすぐわかるほど、非常に凝ったアレンジの曲がK-POPにも多いことが、だんだんわかってきました。そのうち、グローバルチャートを追うだけでは飽き足らず、アーティスト単位で聴いたり、YouTubeで毎週投票によりK-POPの最新チャートのMVを15秒ずつ流していくカウントダウンTVみたいなプログラム(K-POP SONGS CHART)を見るようになったりして、最新のK-POPに関する情報も少しずつ増えていきました。
 

K-POPが面白いのは、たとえばEDMなんかはアメリカではポップミュージックの様式としてはほぼ廃れており、ストレートな形ではもう誰もやらなくなっている。K-POPは、そういうほんの少し前の音楽に、90年代のR&Bなどの要素を織り混ぜつつ、最新のスタジオテクノロジーを使って新しいイメージの楽曲に仕上げている。まさにハロプロの音楽がそういうコンセプトなのですが、それをもっと精巧かつ高次元で、予算もしっかりかけた上で世界に仕掛け、実際にビジネスとしても成功させている。

音楽のジャンルやコミュニティとしてまず目が離せないし、さらにそれぞれのグループがどうとか、推しがどうこうなどと言い始めたら、もう無限にキリがなくなってしまう。いまはちょうど沼の淵に立って全体を眺めているところです。

ここからは、プレイリストの中から何組か特にいいと思ったアーティストを紹介します。
 

SEVENTEEN

前半はボーイズグループと男性のヒップホップ系、中盤がシティポップ寄りのメロウな楽曲で、後半はガールズグループ(ハロプロっぽいディスコ~ファンク~ブギー系の曲多め)。大体男女半々になるようにしました。

ボーイズグループはまだリサーチが足りないけど、いまのところSEVENTEENに注目しています。80年代のR&Bを現代のヒップホップやEDMとミックスしたようなトラックが好みだし(「Home」とか)、歌もダンスも超人的に上手い。

 

YUKIKA

YUKIKA(寺本來可)は、YouTubeのK-POP SONGS CHARTで知った日本人女性シンガー(日本では長く声優として活動していた)。Night Tempoや「Plastic Love」以降のムーブメントを完全に意識したシティポップ。K-POPといってもEDMばかりではなく、今回中盤に入れたような、おしゃれなジャンルの曲もけっこう多いです。そんな中でも彼女のインパクトは突出しています。MVもサカナクションの女性版みたいな感じ。これは本格的に知られたら相当すごいことになるよ。

 

ITZY

ITZY(イッチ)は、JYPエンターテインメントに所属するTWICEの妹分として、今年の2月にデビューしたばかり。ぼくがK-POPにハマるきっかけとなったグループ。ダンスや歌のスキルは別として、歌詞の世界観は、韓国内で人気のガールズグループの典型とはかなり違っています。K-POPのガールズグループの歌詞の多くはラブソングで、愛する男性の存在が前提となっている。曰く、あなたに似合う女の子になる。激しい印象の歌でも、あなたを力ずくで手に入れてみせる、とか。

でも、イッチの歌詞はこれとは真逆で、私は私。外見ばかりで魅力のない他の子とは違う。他人にどう思われようと気にしない。女の子たち、前を向いて。私たちがついてるから。……徹底的に女性が主体で、女性がただ女性であることを称揚しエールを送っている。ある意味、大きく変わりつつある現代のジェンダー観に沿った、力強いメッセージを伝えているわけです。

わかる人はすぐにわかると思いますが、これはハロプロのグループ、たとえばアンジュルムの歌詞だったり、元リーダーの和田彩花が投げかけるメッセージの考え方に非常に近いです。あとハロヲタ的にいうと、リーダーのイェジはダンスメンで、切れ長の目も含めて鞘師里保や石田亜佑美っぽい。最年少のユナは鈴木愛理に似ている。

 

Red Velvet

Red Velvetは、以前ブログでアンジュルムのメンバーが勧めていたガールズグループ。シングルとかは普通にポップだけど、アルバムでは他とは一線を画すような、作り込まれたひと癖ある曲が多い。今回選んだ「ルック」も、リズムが80年代に一世を風靡したドラムマシンOberheim DMXの音色だったりして、音楽好きの心をくすぐります。

Red Velvetや、BLACKPINKEVERGLOW、あとITZYやTWICEは、グローバルチャートで名前を見かけることの多かったK-POPのガールズグループ。ボーイズだと、BTS、その弟分であるTXT、TWICEと同じJYP所属のStray Kids(オーディション番組の名前がそのままグループ名)とか。……また面白い楽曲を見つけたら追加してみたいと思います。

中川ひろたか、カンレキ2周目ライブ!に行ってきた

中川ひろたか、カンレキ2周目ライブ!に行ってきた

11月24日(月・祝)、鎌倉芸術館小ホール「中川ひろたか、カンレキ2周目ライブ!」に行ってきた。

今年2014年の2月に還暦を迎えたシンガーソング絵本ライターの中川ひろたかさんが、早くも2周目の120歳に向けて誓いも新たにリスタート、という趣旨のライブで、これまでに活動を共にしてきた沢山の人々が代わる代わるステージに現れ、中川さんとの共演を披露していた。

還暦記念とはいえ「2周目」と銘打っているように、出演者は老いも(谷川俊太郎、工藤直子、湯浅とんぼ、etc. ……敬称略)若きも(つるの剛士、ロケットくれよん、鈴木翼、etc.)、昔を懐かしむのではなく、今の時点での関係性を基点としたコラボを行っていて、ウェットな感傷に偏らず(感動はあった)、未来への余力を残しつつ、とても前向きで瑞々しく創造的なライブだった。

次々と登場するゲストの中には、中川さんへの感謝の弁を述べていた人も多数いた。中川さんは出会った人々を幸せにしてきた人だなあと思った。ステージに登場したゲストには、中川さんと出会い、仕事のチャンスを貰ったのをきっかけに頭角を表し、やがて優秀なシンガーやプレイヤー、絵本作家として世に羽ばたいていった人も多い。逆に言えば、他者の才能をいち早く発見するセンスに長けているともいえる。そうして見出された人々が、ひとつの大きなファミリーのように中川さんの近くにはいつも集まっている。この日のゲスト以外にも、絵本画家や編集者なども含めればきっとかなりの数に登るだろう。

ライブの最後にエンドロールのようにスクリーンに流れた、中川さんの全作品リストの中から、自分が関わった仕事を数えてみたら、35作あった。数えきれないほど沢山の仕事の中で、その「35」という数字が多いのか少ないのかはよくわからないが、ぼく自身も中川さんの大きなファミリーの輪に接していることだけは、どうやら疑いようがなさそうだ。

膨大な作品リストの一番最後に登場した下中商会の4thアルバム『還暦ロック』が、この日のライブ会場で発売となった。ぼくが関わらせて貰った35作の中での最新作でもある。タイトル曲の「還暦ロック」は中川さんの憧れの詩人・谷川俊太郎さんの書き下ろしによる詞で、ライブの終盤にも谷川さんと一緒のステージで披露された。
 

>>中川ひろたかさん関連の仕事|Works
 

下中商会『還暦ロック』

やきそば牛丼(並)

やきそば牛丼(並)

きのうの昼、歩いて15分ほどの隣町のすき家へわざわざ食べに行った。

牛丼の上に屋台で食べるようなソース焼きそばが乗っていて、上から小皿に入った秘伝のソース(やや濃い目&甘口のウスターソース)をかけて食べる。このソースが焼きそばの下の牛丼の層まで染みて、牛丼のタレの役目も果たしている。

牛丼をソースで食べるという体験が新鮮だった。牛丼+ソースのマッチングが意外とくせになる。特にご飯に染みたところの味がなかなか美味。牛丼部分に普通の牛丼のタレがかかっていないので、純粋にソースの味がする。つゆだくでご飯がベタベタになったり油っこく感じることもない。焼きそばと牛丼を混ぜるのは好きずきで。ぼくは混ぜずにそのまま上から順番に食べた。

最近食べたこの種の食べ物では、吉野家の焼鳥つくね丼(さゆ丼)よりずっと美味しく感じられた。低価格というポイントしか売りにできない(=牛丼)昨今の吉野家は、いよいよ本格的にヤバイのではないか。

……などと、知った風に語っているものの、一年を通して牛丼屋に足を運ぶことなど多くても片手で十分足りる程度なのであるが。

 
参考)仙石みなみ 焼きそば牛丼を食べる!
http://www.youtube.com/watch?v=4tlSvdI0lQw

レイ・ハラカミさんの思い出

レイ・ハラカミさんの思い出

──yanokami名阪公演のチラシをデザインした(2008)。アートワークは浜田武士+坂本奈緒さん。
 

レイ・ハラカミの音を初めて聴いたのは、毎号買っていたクラブミュージック系の雑誌「GROOVE」の付録CDに収録されていた曲だった(「Device Versa」だと思うけど記憶違いかも…。ソニーから出ていた『Pacific State』というコンピレーションにも収録されていた)。それと前後して彼の所属するSUBLIME RECORDSのコンピレーション『Sublime – The Adolescence』に入っていた「Rho^2」という曲を聴いて衝撃を受けた。当時(1998年)すでに「Rei Harakami ep」というアナログシングルでデビューしていたが、CDプレイヤーしか持っていなかったので、ファーストアルバム(『UNREST』)を待つ間は上記の2曲を繰り返し聴くしかなかった。「教授(坂本龍一)の再来だ」と色めき、そんな感想をSUBLIME RECORDSのBBS(懐かしい)に投稿した記憶がある。そんなわけで、数年後矢野顕子さんとユニットを組むことになるのも、自分の中ではごく自然な成り行きのように感じられた(勿論この頃は想像もできなかったけど)。

アルバムで好きなのは『UNREST』『lust』。『UNREST』は、アヴァンギャルドな感性とクラブシーンや商業音楽との折り合いの付け方が丁度良く、大げさだが坂本龍一『B-2 UNIT』の代替物として何度も聴いた。『lust』は、『red curb』で明確に打ち出した前衛性とポップな要素+叙情性が絶妙に同居する文句無しの最高傑作だった。「owari no kisetsu」のヴォーカルを聴いてやはり教授だな、と。確か『lust』の頃から京都だけでなく東京など各地でもライブを行うようになり、いくつかのイベントやロックフェスにまで足を運んだ。レイ・ハラカミの音色が生で聴ける喜びもさることながら、あのタオルで汗を拭きながらマイク片手に行う、その美しい音楽を180度裏切るMCにも度肝を抜かれた……というか爆笑した。

矢野顕子さんの仕事の関連で一度だけ軽くご挨拶した記憶もあるけれど、ほとんど面識はないに等しく、ただ一介のファンにすぎなかった。デビューからファンとして注目し続けていた彼が、ツアーパンフの仕事で関わっていた矢野さんと、yanokamiとして一緒にユニットを組むことになったのは心から嬉しい出来事だった。その誕生の助走となったさとがえるコンサートの公演も、幸いにも会場で直接体験することができた。

レイ・ハラカミ急逝、というニュースを正直いまだに受け止めることができない自分がいる。いまも例の調子で「絶賛盛り下げ中です!」とかハンドマイク片手に観客を笑わせている姿が瞼の裏に浮かんでくる。本当に笑えないくらい「絶賛盛り下げ中」ですよ、ハラカミさん……。3月のあの日以来立て続けに起こる大惨事や訃報の数々に紛れて、このままなかったことにして忘れてしまおうかとも一瞬考えたけど、それも虚しいし悔しいので、記憶が薄れてゆくことへの精一杯の抵抗として、個人的な(レッドカーブの)思い出を記しておこうと思う。旧ブログに書いた、yanokamiの助走にあたる2回のさとがえるコンサート公演とrei harakamiワンマンライブの感想も、記録としてここに残しておく。「さようなら」はもう少し先までとっておきたい。
 
 

MEMO
>>http://www.rei-harakami.com/
>>http://www.yanokami.com/

>>ライジングサンだったわけで。|rei harakami blog
──集合写真1枚目前列中央やや右寄りにぼくが写っている(ウォーリーを探せ)。


 
>>Album Review – Rei Harakami|Red Curb(野田 努/ele-king)
──素晴らしい追悼記事。こんなふうに綺麗にお別れが言えたら。

>>yanokami新曲「Bamboo Music」配信リリース(ナタリー)
──シルヴィアンが矢野さんで、教授がレイ・ハラカミ? まさかのセカンドアルバムも出るかもしれない(追記:出ました)。
 
 
2003.12
さとがえるコンサート2003@NHKホール

矢野顕子さんの年末恒例のさとがえるコンサートは毎年観に行っている。さとがえるコンサートのツアーパンフのデザインと編集を担当するようになって、今年でもう6年目になるのだった。自分のイラストが最初に本に載って世に出たのも、実は初めて仕事を引き受けた「さとがえる」1998年のパンフだったりする(おそれ多くもイラストレーターの上田三根子さんとこっそり共演)。もちろんそんな仕事上のかかわりを抜きにしても、さとがえるコンサートの存在はそれだけで素晴らしい。90年代後半以降、音楽をめぐる状況がだんだん厳しくなっている中、主要都市をちゃんと回るツアーを一年も休まずに続けているのは奇跡的としか言いようがない。それを実現している矢野さんとスタッフの強い意志には、ほんとに頭が下がる思いがする。

さて、今年のライブ。96年から去年までずっと一緒だった、アンソニー・ジャクソン(ベース)、クリフ・アーモンド(ドラムス)の二人とは一旦別れて、さとがえる初の全編弾き語りソロ形式のコンサートとなった。演奏曲目も各会場でかなり変えているみたいで、東京の初日は、細野晴臣「恋は桃色」がオープニング。最近の矢野さんの主流となっているピアノによるカバー・スタイルの曲が次々続く。SMAP「しようよ」、THE BOOMとの共作だった「それだけでうれしい」、大貫妙子「横顔」、くるり「春風」などなど。ここまでだけでも十分満足だったけど、やはり矢野顕子はここまででは終わらなかった。

気持ちがすっかり和んできた中盤、小さなシェーカーを持ってスタンドマイクの前に立った矢野さんは、UAのシングル「閃光」のコラボレーションでも知られる、レイ・ハラカミ(デビュー時から大好きでずっと聴いている)のバックトラックに合わせて、細野晴臣「終りの季節」と自身の曲「David」を歌い始めた。レイ・ハラカミとは、2002年のくるり主催のイベント「百鬼夜行」で一度共演している。彼の作る浮遊感のあるトラックには時折、往年の坂本龍一の気配を感じることがある。まどろみの霧が一瞬で消え去り、背筋にひんやりとした緊張が走った。矢野さんがすごいのは、こうやって自分の築いてきたものを平気で壊して再構築できるところ。未知の領域に果敢に飛び込み、一瞬であたりの空気をクールに切り裂いてしまう。この瞬間を味わいたくて、いつも矢野さんのコンサートに行く。そしてできれば自分の表現もそのような領域に少しでも近づきたいと、ひそかに願う……。

この2曲から再びピアノに戻って新曲の「Night Train Home」へとつながるシークエンスが、この日のベストだった。アンコールで登場した小田和正との、オフコース「言葉にできない」とTHE BOOM「中央線」のデュエットも、本当にうれしい“突然の贈りもの”だった。

 
2005.7
rei harakami@LIQUIDROOM ebisu

7月9日(土)、雨が降りしきる中、リキッドルーム恵比寿のrei harakamiライブへ。天候にもかかわらず当日券は完売、前も後ろも動きが取れないほどの超満員。オープニングの「終りの季節」(インスト+映像のみ)に続いてハラカミ氏が登場。2004年の渋谷O-Eastでの第一興商主催のイベント(いま思えば矢野顕子つながりのテイ・トウワの直前に出演)で、初めて生で彼のライブを見て、自らマイクを握る「絶賛盛り下げ中です!」みたいなハラカミ節炸裂のMCにも衝撃を受けた。イベントでは長く演奏して4~5曲がせいぜいだから、今回のようにたくさんの曲をまとめて聴けるのはめったになくとても喜ばしいことだった。そんな晴れの舞台でも例のMCは変わらず(笑)。

曲は、最新作の『lust』以外では『opa*q』『red curb』からがほとんど。記憶が正しければ1st『UNREST』の曲はなかった気がする。クラブ・ミュージックとして機能させることを放棄してやりたいことだけを追求した『red curb』が、多くのミュージシャンに支持され、のちに彼の代表作になったことを思えば、この選択は正しかったと思う(聴きたい気持ちも正直あったけど)。そしてあまり耳を通してなかったこのアルバムを、もう一度ちゃんと聴いてみたいと思った。

途中から京都仲間でハラカミが「兄貴!」と呼ぶ、ダムタイプ高谷史郎氏が映像で加わり何曲か演奏した。難解ではないシンプルな映像で、時々音楽とリンクしてきて心地よかった。(『lust』のsuzukiskiの写真の雰囲気にも通じる)港湾の風景がずっと流れているときの曲が、個人的にはこの日のベストだった。レイ・ハラカミの奏でる音楽には、哀愁、郷愁など「愁」という文字が表わす感情(こんなとき表意文字は便利)をかきたてられることがある。たとえるなら、クラフトワークの「コンピュータ・ラヴ」とか。踊らずに少し下を向いて、音の響きを受け止めるようにして聴いていた観客が多かったのもうなずけた。

ライブとしては曲順・構成に留意するとさらにマジックが生まれるような気がした。今回みたいな長時間の一人ライブは今後も続けていってほしい。オールナイトではなかったので電車がなくなる前にライブは終了したが、あんな美しい音だったら何曲でも何時間でもアンコールしたいものだ。

 
2005.12
さとがえるコンサート2005(NHKホール)

毎年恒例の「さとがえる」。今年は久々にコンサートグッズをお手伝いしたこともあり、12月4日(日)のNHKホールでのライブに二年振りに伺うことができた。

2003年のさとがえるで突然披露された「終りの季節」で、レイ・ハラカミとのコラボはすでにはじまっていた。「終りの季節」は今年リリースされたアルバム『lust』に、「さとがえる」の時のバック・トラック+ハラカミさん本人の歌入りで収録された。同じ時期にはくるりとの共演も果たしていて、それは2004年のアルバム『ホントの気持ち』に結実した。矢野さんの2003年末以降の動きはそれまでに増して新しい時代へのアンテナが鋭く感じられるし、なんか堂々と吹っ切れていて頼もしい。

「あんたがたどこさ」や「SOME DAY」などの前半の流れも力強かったが、この日のハイライトはやはり上記の二者の曲だった。くるりはあまり多く聴いたことはなかったが、この日歌った「窓」〜「青い空」は凄かった。いつものことながら十年前からの持ち歌みたいに歌いこなしていた。そして今年もレイ・ハラカミとのコラボに持って行かれた。二年前と同じようにステージ前に一人で出て歌ったのは「気球にのって」(THE BOOMの、ではなく)。曲の終盤でピアノの方に戻りバック・トラックのエンディングに合わせてピアノで共演するあたりでは鳥肌が立った。さとがえるが以前と比べてシンプルになるにつれて、矢野さんのステージでの表現はよりRawで、剥き出しになってきているような気がする。久々の立花ハジメさんの舞台美術もかなりRaw、剥き出しそのものだったし。

長い長いアンコールの最中にアンプやギターが次々と運び込まれ、再び現われた矢野さんと一緒に“GOD”がステージに登場すると拍手は巨大な黄色い歓声に変わった。GODを観るのは夏の北海道のフェス以来だったから、もはや他人のような気がしなかった。GODは上下オール・ピンクのスーツに、蛍光イエローグリーンのスポーティーなブーツを履きこなしていた。とてもOVER 50とは思えない。昔在籍していたバンドのヒット曲、モンキーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」(ピアノ=矢野顕子)と、来年早々にリリースされる『はじめてのやのあきこ』というミニ・アルバムにも収録される「ひとつだけ」(これは感動した!)を矢野さんとデュエットし、足早にステージを去っていった。もうみなさんにはGODが誰だかおわかりだろう。今年はいろんな場面でGODに強い力で魂を掴まれた(心臓マッサージ)。GODに限らずOVER 50の人たち(矢野さんもそう)のパワーに瞠目させられることの多いこの一年だった。

DOMMUNEに行ってきた。

DOMMUNEに行ってきた。

GW中の5月2日(日)に行われた、ダブ・エンジニア/ミュージシャンSCIENTISTのトークライブを観に、南青山のDOMMUNEに行ってきた。ゲストは前日のライブでも共演したこだま和文さん。

トークライブも面白そうだったが、DOMMUNEの内部に興味があった(DOMMUNEについてはこちらのまとめも参照)。DOMMUNEのUstreamは、L?K?OのDJの回で知ってから何度か見ていた。今回はこだまさんの話が聞けることもあって、生で見たい気持ちが強く、DOMMUNEからのツイートを見てすぐに応募した。当日の昼に予約受付、夕方に当選通知のメールが届き、夜には本番という、観覧までのタイム感がなんともDOMMUNEらしい。

(さらに…)

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