ポストマン〜顔郵便マークいろいろ

ポストマン〜顔郵便マークいろいろ


postman

前回のスノーマン=雪だるまに続いて、今度はポストマン。
いつも使っているフォントから「顔郵便マーク」と呼ばれる郵便記号を集めてみました。
雪だるまに比べると微妙な違いですが、よく見るとやはりいろいろあるようです。

1モリサワフォント。後述するオリジナルのマークに比べると口がやや太い。
2=毎日新聞書体は拡大して見ると口の端が丸い。80%平体で正しく見えるよう少し縦長。
3タイプバンクのフォント。シンプルで可愛い。
4タイププロジェクトのAXIS font。目が大きい。小塚、Osaka、MSゴ/明もほぼ同じ顔。
5=同じシリーズのAXIS Condencedはそのまま長体がかけられている。
6平成シリーズはAXISと同じだが、よ~く見ると右側の目がほんの少し下にずれている。
7イワタは書体ごとに微妙に顔が違う(CID)。これは中ゴシック新がな。小顔の割に耳が大きめ。
8=イワタ明朝体オールド。エレガントな明朝にふさわしいほっそりした線。
9=イワタ太教科書体は太めの線。明朝体オールドもそうだけど、他に比べてまつげが若干長め。
10リョービの伝統書体シリーズ。顔の両脇の線が郵便記号にかかり、耳がとがっている。
11スクリーンのこぶりなとヒラギノ、字游工房の游明朝体。目が離れて口も大きな子ども顔。
12=最近のWindowsに付属の書体メイリオ。まつげが尖っているのはこれだけだった。
13=うちにあるダイナフォントの中でDF中太楷書体だけ耳がとがっていた。他はAXISと同型。
14カタオカデザインワークスの丸明オールドと丸丸gothic。幸せな気持ちになれそうな笑顔。
15=同じく片岡さんのiroha gothic。ゴシックなので、〒マークの先が丸ではなく普通の角。
16ありあけ仮名。雪だるまと同様に独自の道を行く。カッコいい。
 

ちなみに、顔郵便マークのもとになっているキャラクター「ナンバー君」を使った切手が、乙女チップスさんの記事で紹介されてます。カワイイ。そして美しい。これを見る限り顔郵便マークのオリジナルは、モリサワの目にタイプバンクの輪郭と口を組み合わせた感じに近いようです。

 

 
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スノーマン〜雪の記号いろいろ

スノーマン〜雪の記号いろいろ

snowman

 先週は東京にもついに雪が……。いつも使っているフォントから雪の記号を集めてみました。

1モリサワフォント。最もオーソドックスな2ボタン。
2=モリサワの毎日新聞書体だけ少し太め。推奨の80%平体で正しく見えるよう長体になっている。
3タイプバンクのフォント。よく見ると口の線が同じ太さで先が尖ってないのがモリサワとの違い。
4=アドビの平成シリーズ。モリサワとほとんど同一。
5タイププロジェクトのAXIS font。帽子がなくシンプル。
6=同じシリーズのAXIS Condencedはやはり長体がかかっている。
7リョービの伝統書体シリーズ。目が大きくてゆるキャラ風? リョービの他の書体は未確認。
8大日本スクリーンのヒラギノ書体やこぶりなゴシックは、一文字口のすまし顔。
9=游明朝体。こぶりな、ヒラギノと共通(ともに字游工房が設計に参加)。こちらは若干線が太め。
10ありあけ仮名。シニカルな笑顔、3ボタンと独特。かな書体で雪の記号があるのは珍しい。
11=アドビの小塚書体。マフラーが可愛い。雪の粒も大きめ。
12=Windowsにバンドルされているメイリオ。地面がある。口の形もコミック風で可愛い。
13=MSゴシック/明朝。個人的には一番好き。雪の記号部門ではMicrosoft陣営が一歩リードか。
14=Leopard付属の謎の書体Apple Symbolsから。海外のDingbatの流れを継いでいるのかな。
 

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合成フォント

かつてMac OS9以前のIllustrator(5.5Jとか)で作業していた頃、異なるフォントを組み合わせるのは至難の業だった。AdobeのATC(Adobe Type Composer)やフォントワークスのType Mixingのような混植ソフトはあったもののうまく使いこなせず、結局全部手作業で直していた。中ゴシックの欧文だけ選択して欧文書体に変更し、さらに高さが合わないのでいちいち天地106%に直したり……なんとも無駄な時間を過ごしたものだ。

OSX/CSx環境のいま、合成フォントの機能を使えば簡単に混植ができる。高さもベースラインもあらかじめ設定しておけるのもいい。フォントの数だけいろんな組み合わせが楽しめる。既存のちょっと飽きてきた書体も、意外な組み合わせでまったく新しく見えてくるから面白い。いまリストに入っている(仮名書体と漢字の単純な合成以外の)合成フォントのうち気に入っているものをいくつか挙げてみた。
 

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イワタ中太ゴシック体+Futura Medium/いまはなき会報誌「エセコミ」の本文に使っていた。少し太いが、判型上文字を小さくしなければならなかったので役に立った。
 

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こぶりなゴシックW1+Gotham Light/黒沢健一『Focus』のスタッフクレジットに使用。こぶりなW1の使い道がなかなか見つからなかったが、Nakajima Thin(中島デザインが多用するオリジナル欧文書体)に比肩する美しいパートナーを得た感じ。
 

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こぶりなゴシックW3+News Gothic Medium/こぶりなの数字の1が欧文のIに似ているので区別するために、近い太さの数字書体を探していた。Thumb Mの大橋修さんが「DICTIONARY」(CLUB KING)などで、中ゴシックとNews Gothic Mediumを組み合わせて使っている。
 

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こぶりなゴシックW6+Rockwell Regular/スムルースのアルバム『UNITE』で全面的に使った。普通はない組み合わせだと思う。こぶりなゴシック自体がよくできているフォントなので、どんな書体も受け入れてくれる。
 

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見出ゴMB31+もじくみかな+リュウミンH(英数)/漫画の吹き出しに用いられるアンチック体(ゴシックと明朝の混合)。もじくみかなは「日本語の文字と組版を考える会」が配布するフリー仮名書体。レトロな仕事、時代小説の帯なんかにいいかも。
 

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中ゴシック体BBB+A1明朝/アンチック体その2。モリサワのアンチック体のひらがなはA1明朝に似ているので、これはかなりそれっぽい印象。普通に本文に使ってみても違和感がなさそう。
 

文字モジトークショー01(レポ)

文字モジトークショー01(レポ)

8月2日(土)に五反田の5TANDA SONICで開かれた「文字モジトークショー01:片岡朗×岡澤慶秀」へ。「游明朝体」など数々のフォントを生み出した字游工房の岡澤さんと「丸明オールド」等で知られる片岡朗さん(カタオカフォントワークス)の対談および書体制作実演、とのことで期待して観た。はじめはごく限られた人向けの勉強会として企画していたが、せっかくなので一般公開しようということになった、と司会の方の弁。

冒頭でそれぞれが書体作家になるきっかけについてのトークが30分ほど行われたあと、ノートパソコンを持ち込んでの書体制作実演へ。二人合わせて1時間以上と、イベントの半分以上を占めたスリリングな「対決」に、岡澤氏片岡氏両者の書体に対する思いやアプローチの違い・個性が見て取れて興味深かった。
 
 

まず、岡澤氏はWindowsのノートパソコンを使用。あらかじめ方眼紙で作図したいくつかの原字をスキャンして取り込んでおき、Illustratorによく似たインターフェイスのBezier Editor(ベジェ・エディター)というソフトに背景画像として配置、その上から直接ベジェ曲線を打ち込んでトレースしていく。ライブトレースやストリームラインみたいな補助ソフトは使わず、すべて手作業で。このベジェ曲線使いが神業! 少々ラフでも、ピークとなるポイントにぽんぽんと素早く点を置いていき、あとで文字のラインに合わせてアンカーをふくらませ実際の形に近づけていく。作業のスピードも驚くほど速い。いくつかの基本形が完成したら、あとはその素材を使ってコピー/ペーストしていくのだという。もちろん単なるコピペではなく、文字によってはトメやハライの長さ大きさが微妙に異なる場合もあって(たとえば「あめかんむり」の4つの横棒は左上だけが少し小さい、とか)、その都度見当をつけて修正していく。その判断の基準となるのは、作業中片岡さんもびっくりされていたように、書体に対する正確な知識と美的感覚の集積、であろう(岡澤氏は終始ひょうひょうと、それが当たり前であるかのように作業していたけど)。岡澤さんにしか見えない(字游工房のスタッフが共有しているに違いない)書体に対する絶対基準があって、それはたとえ同じパソコンやソフトを使っていても容易に到達できないものだと感じられた。
 

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休憩をはさんで、片岡氏の実演。MacのIllustrator CS3上に事前に用意された素材をもとに、順を追って説明していく。岡澤さんが「塗り」を使うのに対し、片岡さんは「線」を使って作業を行うのだそう。活字を、最も古い康煕字典から築地書体など経て現代の写植まで順番に並べた資料を最初に見せ、この中から片岡さん自身が気に入った、康煕字典からの最古の活字と最も新しい写植文字の二つ(文字は「愛」)をスキャンしたものを画面上で重ねて、ちょうど重なり合った部分にラインを引くと、なんともあたたかみのある片岡書体のもとが生まれる。これをもとにして制作した明朝体と、もうひとつ、古い書体に若い女性が書いた「愛」の手書き文字を重ねて、同じプロセスで完成させた明朝体の文字を、小塚明朝やヒラギノ明朝などのフォントと比べてみると、やはりなんともいえない味わいが感じられる。片岡さんの口から「味」とか「やさしさ」といった感覚的な言葉がしきりに出てくるのが印象に残った。書体のつくり方にしても、二つの文字を組み合わせて全く新しい書体を作り出す手法は、音楽でいえばDJのミックスやマッシュアップに近いし、同じようにパソコンをベースとしながらも、年齢的には若い岡澤さんがどちらかといえば書体制作の「モダン」の部分を継承し、逆に高齢の片岡さんが「ポストモダン」な側面を担っているようにみえる、という不思議な対比も面白かった。

最後に書体作家を目指す人へのアドバイスや、今後のお二人の活動予定のアナウンスがあった。片岡さんが次に発表する予定の書体の話は、ぼくにとって非常にうれしいものだった。ここでは実際に会場に足を運んだ人だけのお楽しみということにして、しばらく伏せておこう。(答え:丸丸ゴシック販売)