K-POP PLAYLIST 2019 SUMMER

K-POP PLAYLIST 2019 SUMMER

4月中旬から突然聴き始めたK-POPから、特に自分の好みに近い曲を集めたSpotifyプレイリストを作りました。


 

K-POPを突然聴くようになった理由
もともとK-POPは自分から能動的に聴いてみようと思って聴き始めたわけではありませんでした。わが家では娘と妻がTWICEが好きでハマっていたけど、音源を横で聴いてもその時は全然惹かれなかった。ボーイズグループもガールズグループも最初は単なるアイドルの延長としか感じられなかったのでした。

きっかけとなったのは、日本にこのまま閉じ籠もり続けるのはヤバい…「グローバル」な文化をもっと意識しなくては、と考えさせられる出来事があって……それからSpotifyの各国版のチャートを毎日仕事中に聴くようになりました。アルゼンチン、オーストラリア、メキシコ、ペルー、アイスランド、etc……行ったことのない国々でどんな音楽が流行っているか、興味があった。

結果からいうと、極端に言語体系が違う中国語圏やトルコ、アイスランド以外は、どの国も大体同じ曲がヒットしていたんですが(リル・ナズ・X、マルーマ、ビリー・アイリッシュ、etc…)、そんな中でちょっと気になるEDMの曲がベスト50で3〜4曲、南米や東欧の国々でランクインしていて、調べたらそれがK-POPだった。しかも日本みたいにローカライズされたヴァージョンではなく、韓国語と英語のミックスの歌詞のまま現地で受け入れられている。

ハロプロ好きの自分の耳にもすぐわかるほど、非常に凝ったアレンジの曲がK-POPにも多いことがわかってきました。グローバルチャートを追うだけでは飽き足らず、アーティスト単位で聴いたり、YouTubeで毎週投票によりK-POPの最新チャートのMVを15秒ずつ流していくカウントダウンTVみたいなプログラム(K-POP SONGS CHART)を見たりして、最新のK-POPに関する情報も少しずつ増えていきました。

K-POPが面白いのは、たとえばEDMなんかはアメリカではポップミュージックの様式としてはほぼ廃れてしまい、ストレートな形ではもう誰もやらなくなっています。K-POPは、そういうほんの少し前の音楽に90年代のR&Bなどの要素を混ぜつつ、最新のスタジオテクノロジーを使って新しいイメージの楽曲に仕上げている。まさにハロプロがそういうコンセプトなのですが、それを精巧かつ高次元に、予算もしっかりかけた上で世界に仕掛け、実際にビジネスとしても成功させている。音楽のジャンルやコミュニティとしてまず目が離せないし、さらにそれぞれのグループがどうとか推しがどうこうなどと言い始めたら、もう無限にキリがなくなる。いまはちょうど沼の淵に立って全体を眺めているところです。

ここからは、プレイリストの中から何組か特にいいと思ったアーティストを紹介します。
  

SEVENTEEN
前半はボーイズグループと男性のヒップホップ系、中盤がシティポップ寄りのメロウな楽曲で、後半はガールズグループ(ハロプロっぽいディスコ〜ファンク〜ブギー系の曲多め)。大体男女半々になるようにしました。ボーイズグループはまだリサーチが足りないけど、いまのところSEVENTEENに注目しています。80年代のR&Bを現代のヒップホップやEDMとミックスしたようなトラックが好みだし(「Home」とか)、歌もダンスも超人的に上手い。

 
YUKIKA
YUKIKA(寺本來可)は、YouTubeのK-POP SONGS CHARTで知った日本人女性シンガー(日本では長く声優として活動していた)。Night Tempoや「Plastic Love」以降のムーブメントを完全に意識したシティポップ。K-POPといってもEDMばかりではなく、今回中盤に入れたような、おしゃれなジャンルの曲もけっこう多いです。そんな中でも彼女のインパクトは突出しています。MVもサカナクションの女性版みたいな感じ。これは本格的に知られたら相当すごいことになるよ。

 
ITZY
ITZY(イッジ)は、JYPエンターテインメントに所属するTWICEの妹分として、今年の2月にデビューしたばかり。ぼくがK-POPにハマるきっかけとなったグループ。ダンスや歌のスキルは別として、歌詞の世界観はTWICEと180°違っています。K-POPのガールズグループの歌詞の多くはラブソングで、愛する男の存在が前提となっている。曰く、あなたに似合う女の子になる。激しい印象の歌でも、あなたを力ずくで手に入れてみせる、とか。

でも、イッジの歌詞はこれとは真逆で、私は私。外見ばかりで魅力のない他の子とは違う。他人にどう思われようと気にしない。女の子たち、前を向いて。私たちがついてるから。……徹底的に女性が主体で、女性がただ女性であることを称揚しエールを送っている。ある意味、大きく変わりつつある現代のジェンダー観に沿った、力強いメッセージを伝えているわけです。

わかる人はすぐにわかると思いますが、これはハロプロのグループ、たとえばアンジュルムの歌詞だったり、元リーダーの和田彩花が投げかけるメッセージの考え方に非常に近いです。あとハロヲタ的にいうと、リーダーのイェジはダンスメンで、切れ長の目も含めて鞘師里保っぽい。最年少のユナは鈴木愛理に似ている。

 
Red Velvet
Red Velvetは、以前ブログでアンジュルムのメンバーが勧めていたガールズグループ。シングルとかは普通にポップだけど、アルバムでは他とは一線を画すような、作り込まれた曲が多い。今回選んだ「ルック」も、リズムが80年代に一世を風靡したドラムマシンOberheim DMXの音源だったりして、音楽好きの心をくすぐります。

 
Red Velvetや、BLACKPINKEVERGLOW、あとITZYやTWICEは、グローバルチャートで名前を見かけることの多かったK-POPのガールズグループ。ボーイズだと、BTS、その弟分であるTXT、TWICEと同じJYP所属のStray Kids(オーディション番組の名前がそのままグループ名)とか。……また面白い楽曲を見つけたら追加してみたいと思います。
 

[19/08/04追記]
プレイリスト名、および本稿のタイトルを初回投稿時より変更しました。K-POPが面白い、という自分の中での純粋な発見に、“こんな時流だからこそ”聴いてほしい、というメッセージが多少なりとも付与される可能性があるとき、そこに全く関係ない人のことを巻き込んでしまうのはよくないのではないか、と慎重に考えた上での判断です。

雨近対談:楽曲大賞とハロプロ’18

雨近対談:楽曲大賞とハロプロ’18

A:今年はハローの現場に全然行ってない。去年と比べると雀の涙くらい(涙)。
C:今年に入ってチケットを買ったのは、去年申し込んで当たったカントリーのバレンタインイベントを除けば、12月の研修生発表会「みかん」だけ。毎年行ってたおぜこのバースデーイベントも今年は風邪で休んでしまったし。
A:DA PUMPの池袋噴水広場がいちばん盛り上がった(笑)。
C:あれはすごかった。その少し前に同じ場所でそこそこ集まっていたJuice=Juiceのリリイベがお葬式に思えるくらい。地方のお祭りみたいな盛り上がりだった。ハロヲタもよく頑張った。
A:今年はいろんな意味で、心と財布に余裕が足りなかった。あと、アイドルにちょっと飽きてしまったところも正直あって。
C:夏にPINK CRES.を初めてちゃんと聴いて、ものすごくハマってしまった。うちの娘(10歳)までドハマリして、「キレイ・カワイ・ミライ」を毎日のように歌ってた。歌詞の世界観も良いし、K-POPに通じる大人カワイさみたいなのが3人共にある。
A:1stはトラックメイキングも良質で、隠れた名盤だった。タイミングを逃してしまい、現場に行けなかったのが残念。
C:今年は非アイドルに目が向くモードだったのかも。同志社ミスコンのハロヲタ米田紗英ちゃんに毎日欠かさず投票してたし(笑)。彼女も大人カワイさの象徴みたいなところがあった。
A:将来どうなるのかな。いつか有名になって、ハローを引き立ててもらいたい。

 
A:では今年のハロプロについて、楽曲大賞の投票結果を振り返りながら。
C:5曲に絞るのにめちゃくちゃ悩んだ。娘。、J=J、つばき、研修生と、アルバム曲だけでもかなり充実していたから。
A:1位は、こぶしファクトリー「きっと私は」
C:グループとしてはいろいろあったけど、つんくから明るい曲をもらえて。
A:サビ始まりで複数のメロを間にはさんでループしていく、娘。の名曲「笑って!YOU」に近い構造。良い珍曲。
C:辛かった夏頃によく聴いて、元気をもらった。凹んでも頑張ろうっていう気持ちになれる。渋江監督のMVも良かった。
A:2位は意外。ハロプロ研修生「43度」
C:自分の中ではアンジュルム「46億年LOVE」へのアンチテーゼみたいな意識も少しあった(笑)。児玉雨子の快進撃の中、この曲における福田花音の歌詞を高く評価したい。
A:「サンタクロースの正体、小2で気づいて暴いてる」という神フレーズ!
C:うちの娘は小4、つまりつい先日気づいたっぽい。暴かず、そのままもらい続ける戦略らしい(笑)。
A:アレンジも、赤羽橋ファンクの典型。
C:アンジュの「46億年」みんないいって言うし確かにそうだけど、林田健司の作曲は良質すぎてそれこそジャニーズとも取替可能で、そのぶんハロプロ的計算不能な余白や遊びに欠ける印象を受けてしまった。それが、ここ数年のアンジュの(楽曲表現としての)生真面目さにも通じている。
A:MVの珍奇さでバランスを取っているようには見えるけれども。
C:別につんく純正の楽曲じゃなくても、簡単にやるなら「泡沫」の「あと58秒〜」とか。でも、アンジュとしてはそれはしないんだろうね。


 
A:3位は、これも渋いところから、Juice=Juice「素直に甘えて」。アルバムの曲。
C:Juice=Juiceの歌としての魅力は、かなとも、さゆき、あーりーの3人のしっとりした低めの声に、中間のゆかにゃ、そしてトッピングのような佳林ちゃんのハイトーンヴォイス。これに尽きると思うんだ。この曲は5人時代のジュースの魅力が100%出てる。
A:路線も初期のジャズファンク風味に回帰しているし。
C:ルパン三世のエンディング、大野雄二テイスト。艶っぽい。
A:やなみんの卒業に、まなかんの加入、と今年もいろいろあったけど。
C:先ほどのヴォーカルの話に戻ると、今までのジュースの曲は5人の声の魅力を活かす方向で作られていた。
A:新メンバーの加入によってその構造が揺らいでしまう、と。
C:るるちゃんはの声は低域にも高域にもよく伸びるし、加入して大正解だった。逆に言うけど、やなみんの声は高域ではあっても、佳林ちゃんのように芯の強さはないので使いどころが難しい。
A:あと、5人時代は神曲だった「あばれてっか?! ハヴアグッタイ」が8人で録音すると凡庸に聞こえてしまったりとか。
C:あれは勿体なかった。去年まで次の楽曲大賞で絶対入れるつもりだった。あのクイーンっぽいドスの効いたハードロック感がよかったのに。
A:微妙なバランスでカワイイ寄りになってしまった。
C:だから今度やなみんがジュースを離れてしまうことも、残念だけど音楽面だけでいえばありなのかもしれない。まなかんも決して声量がある人ではないし、同じメンバーで長く続いてるグループへの新加入はいろいろ難しい、という結論に。


 
A:4位が、つばきファクトリー「表面張力 ~Surface Tension~」。これも鈴木俊介編曲の、典型的な赤羽橋ファンク。
C:笑っちゃうよね。ファンクをやれば何でもハロプロになるってわけじゃないけど、これはちゃんとなってる。
A:つばきの曲は王道を押さえながらもバリエーションがあって、どんな人にもどこかしらハマる要素があった。
C:「今夜だけ浮かれたかった」のスカ/ニューウェイヴぽいAメロもカッコいい。品がある。
A:5位に、カントリー・ガールズ「傘をさす先輩」。カップリングの方。
C:渋谷系っぽい曲も可愛かったけど、「恋マグ」に通じる世界がカントリー・ガールズらしくてこっちを選んだ。
A:おぜこの歌い出しも最高。
C:切ないよね。声もしっとりして大人っぽくなった。
A:Zeppのカントリーライブ、久しぶりに行ってみたい。まず当選しなくては(この直後にやなみんの卒コンZeppのお知らせ……)。
C:この間のZeppで「初めてのハッピーバースデイ」の’15 Ver.を3年ぶりにやったと聞いて、行けばよかったと後悔した。本当に大好きなので。
A:あのヴァージョンといえば、ひなフェスのうたちゃんのダンスを思い出すな。
C:うたちゃんも今年はいろいろと……長くなりそうなので割愛。『カントリー・ガールズ大全集』の発売を首を長くして待ちたい。
A:今年は、5位未満の次点も充実していた。ここには出てこなかったモーニング娘。’18についても一言。
C:アルバムも全体にクオリティが高かったし、シングルでは「Are You Happy?」がとにかく良かった。「青春Say A-HA」から続くトライバル路線の到達点だと思う。
A:「A gonna」のTrapにも驚いたけど、「Are You Happy?」は音圧含め何から何まで圧倒的だった。
C:細野晴臣さんがラジオで「負けた」と言っていたのは、この曲のことなんじゃないかと思ってる。

>>2018.11.25 Inter FM「Daisy Holiday!」>>|logs & records
 
A:最後に推しについて。
C:おぜちゃんは推しだけどある意味、箱推しのシンボルみたいなところがあって。おぜちゃんがいちばん可愛く幸せに過ごせるような、温かい居場所としてのカントリー・ガールズがいつまでも家族のように続けばいいと思っていた。でも一昨年の6月以降、そうも行かなくなってしまい(涙)。
A:傷はまだ癒えていない…。
C:いやメンバーたちの手前、そんなことは言えないでしょ。とにかくおぜこにはこのまま、昔のりんねみたいにカントリーの心を守って生き延びてほしいと願うよ。そのうち山木さんがメジャーリーガーをつかまえて、新カントリー・ガールズを作るから。
A:里田か!
C:その時はおぜこがPMで(笑)。
A:かえでぃーについても触れておこう。今年は加賀楓温泉郷で大きくブレイクした。
C:イケメン風のキリッとしたイメージとは裏腹にほんわかしてるところが、かえでぃーの本質だと思う。加賀温泉郷の一連の広告は、等身大の加賀楓をちゃんと引き出しているのがすごいと思った。
A:過去にあんな形で世の中に出たメンバーはいなかったはず。
C:DA PUMPの件と同じように、ファンコミュニティの新しい可能性を感じたね。
A:アイドルが自ら山手線広告全駅制覇したり、本来マネージャーがやるべき仕事をやってあげる必要は全くなくて。
C:そうだね。アイドルとしての才能の部分以外、何もできなくていい。無能だって構わない。そのぶんヲタが代わりに一生懸命動いてくれるから。


 
A:20周年企画にも、新グループ(ビヨーンズ)にも触れる時間がなかった。
C:じゃあ、それは次回に、ということで。
A:次回があるのか?? というわけで淡々と終わります。お別れの曲は「ハロー!ヒストリー」

2017年最も印象に残った××××

2017年最も印象に残った××××

:::アート:::
 
池田学展「誕生」 (市ヶ谷=ミヅマアートギャラリー)
中林忠良×CORNELIUS Mellow Waves展 (恵比寿=KATA)
写真家 ソール・ライター展 (渋谷=Bunkamuraザ・ミュージアム)
片山正通的百科全書 (初台=東京オペラシティアートギャラリー)
単色のリズム 韓国の抽象 (初台=東京オペラシティアートギャラリー)
柳本浩市展「アーキヴィスト ー 柳本さんが残してくれたもの」 (自由が丘=six factory)
芹沢銈介と沖縄 ー明るく、静かで、深いものー (静岡=静岡市立芹沢銈介美術館)
後藤美月「おなみだ的〇〇点」 (原宿=シーモアグラス)

The Pen(日本橋タカシマヤ)が大混雑で観られず残念だった一方で、最も観たかった「誕生」を、家族と、一人で、じっくり隅々まで観ることができたのは幸せでした。長い時間をかけて水の雫が岩を穿つ様子にも似た作品でした。

中林忠良×CORNELIUS Mellow Waves展。Corneliusの10年ぶりのアルバムを飾った小山田圭吾の伯父さんによる銅版画と、川越市立美術館の動画で見た、ひとつの作品を作るプロセスの途方もなさに触れて、自分も一生寄り添える表現を目指してみたいと思いました。

2017年に観た展示の全記録です。>> twilog#gbiyori
 
 

:::音楽:::
 
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Reassamblage Visible Cloaks
Colors Beck
Drunk Thundercat
Jersey Devil Ducktails
Somi Taylor Deupree
The Beautiful Game Vulfpeck
Mellow Waves Cornelius
⑮Thank you, too モーニング娘。’17
Automaton Jamiroquai
Finding Shore Tom Rogerson with Brian Eno
 

音楽に関しては大豊作だった一年。沢山辛いことがあったけど、音楽と人に救われました(雑誌の名前じゃなくて)。
 

Visible Cloaks『Reassamblage』

ポートランド在住のユニット。レイ・ハラカミと同様、彼らにしかない音色と独特の間・余白があって、坂本龍一『エスペラント』を想起させるような「和」への理解も感じられる(dip in the Pool/甲田益也子がゲスト参加)。この作品を聴いている間は、“聴く”というより、自分自身もこの作品の一部になってしまいます。
>>インタビュー|MASSAGE
 

Beck『Colors』

有無を言わさずポップでストレート。たまたま見たインタビューで、ファレルとの同時代性を感じさせる発言を読んだけど、このアルバムの制作後、実際にレコーディングセッションも行っていたようです。
>>ベック 最新インタビュー~最新作『カラーズ』、故トム・ペティ、ファレルとのコラボを語る|Billboard JAPAN
 

Thundercat『Drunk』

ジャケットと音の印象が全く違っていて、キャッチするのに少々時間がかかってしまった。ぼくがこれまでに愛してきた音楽の要素がぎゅっと詰まっています。これまでにどんなタイプの音楽を聴いてきましたか?と尋ねられたら、このアルバムを一枚渡すだろうと思います。
>>インタビュー|ele-king
 

Ducktails『Jersey Devil』

複数の女性への性的暴行容疑で来日公演が中止になったというニュースがきっかけで初めて知り、アルバムを聴いたら、作品自体は思いのほか良かった。アコースティックでもエレポップでもヴェイパーウェイヴでもなく、それらのちょうど中間点にあるようなポップ。アップリフティングでもダウナーでもないちょうど中間の気分が、今年の自分には合っていました。
 

Taylor Deupree『Somi』

坂本龍一周辺のグリッチを多用したアンビエント/ドローンが、先入観込みで前からあまり好きではなかった。テイラー・デュプリーも以前はその種の音を鳴らしていた印象があったけど、このアルバムは生音を使った心地よい音で、気持ちを落ち着かせたい時に何度も聴きました。彼は90年代のアシッドテクノユニット、Prototype 909の元メンバーだそうで、もう名前が懐かしい。
 

Vulfpeck『The Beautiful Game』

Suchmosなどのミュージシャンがフェイバリットに挙げていた、本国では昨年末に発売されたアルバム(日本では春に発売)。アメリカ人の琴線に触れるようなポップなメロディを、超人的なテクのバンド・サウンドで聴かせる若手グループ。ジャクソン5とプリンスとスティーリー・ダンが同居したようなファンク。
 

Cornelius『Mellow Waves』

Corneliusと小沢健二が同じ年に数年ぶりの新作をリリースし、同じロックフェスの隣のステージでライブを行うという、惑星直列のような年でした。ヴォーカル/歌を主体に、アルペジオとかアコースティックな要素を最新の電子デバイスでシミュレートしていて、アヴァンギャルドなのに耳に優しい不思議なアルバム。
>>インタビュー|美術手帖
 

モーニング娘。’17『⑮Thank you, too』

3年ぶりのアルバム。つんくの新作を中心に良曲が揃った。コンサートに行くとプラチナ期の曲がいまなおメインの位置を占めていることがわかるけど、今作はプラチナ期のいわゆる“辛気臭い”メロディをEDM以降の音色で構成した〈プラチナ×EDM〉的なテイスト。
>>インタビュー(工藤遥&野中美希)|Billboard JAPAN
 

Jamiroquai『Automaton』

年の前半にとてもよく聴きました。ディスコ・ミュージックの特徴的なフレーズやベースラインを、近未来っぽいエレクトロ・ファンクの中に巧みに織り込んでいる。
 

Tom Rogerson with Brian Eno『Finding Shore』

12月に入って知りました。ブライアン・イーノのアンビエント・シリーズは寝る時や瞑想する時に聴くイメージがあったけど、これはとてもエモーショナルで今までになかった感じ。ジャケットも含め最高。
>>トム・ロジャーソンとブライアン・イーノが珠玉のコラボレーション・アルバムをリリース|Hostess
 

ここに入れてない次点的な作品としては、ONIGAWARA『ヒットチャートをねらえ!』、ハウス/テクノクリエイターYaeji(イェジ)のEP、Okada Takuro『ノスタルジア』、ドレスコーズ『平凡』、etc…。サニーデイ・サービスの前作『Dance To You』は大評判だった昨年に聴き逃し、今年に入ってから毎日のように聴いていました(『Popcorn Ballads』は来年のお楽しみ)。小沢健二の「流動体について」はアルバムの発売を待ってから。
 
 

:::メディア:::
 

::本::
渋谷音楽図鑑 牧村憲一・藤井丈司・柴那典(太田出版)
小沢健二の帰還 宇野維正(岩波書店)

::雑誌::
美術手帖 17年10月号 特集:新しい食(美術出版社)

::TV::
稲垣・草彅・香取 3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』(Abema TV)

『渋谷音楽図鑑』は、「渋谷系」のような矮小な枠組を飛び越えて、牧村憲一氏のバイオグラフィとその足跡に生まれた数々の音楽に、渋谷の都市論が交差するスリリングな論評でした。牧村さんの新しいプロジェクト「緩やかなレーベル」に関われたことは、嵐のようだった2017年の中でも喜ばしい出来事のひとつでした。

『小沢健二の帰還』は、ひとりの音楽家の空白期を丁寧に追うことにより、活動期ではない時期(出産、病気なども含む)をどう過ごすか、という、人間一般における「空白期」そのものについての論考にもなっていたと思います。そういえば「72時間ホンネテレビ」も「空白」と「帰還」にまつわる一大ドキュメント、でした。 

2017年に空白期を経て本格的に「帰還」を果たした人々(自分調べ):小沢健二、のん、道重さゆみ、新しい地図(稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾)、稲場愛香、etc…。まだ帰還してない、もう二度と帰還できない人々にも一輪の花を。
 
 

:::ハロプロ楽曲大賞’17:::
 

  
1位|若いんだし! モーニング娘。’17
2位|Windows ハロプロ研修生(つばきファクトリー)
3位|To Tomorrow ℃-ute
4位|ジェラシージェラシー モーニング娘。’17
5位|アイドル卒業注意事項 カントリー・ガールズ

次点|
就活センセーション つばきファクトリー
Fiesta! Fiesta! Juice=Juice
リアル☆リトル☆ガール ハロプロ研修生北海道
true love true real love (とぅるらとぅるりら) 道重さゆみ
(リンクはすべてYouTube)
 

MV部門
1位|モーニングみそ汁(キャンプファイヤー Ver.) モーニング娘。’17

 

推しメン部門|小関舞(カントリー・ガールズ)

 

ハロステのご褒美企画で、おぜこが舞美と「16歳の恋なんて」を歌った日に誰もが包まれたであろう、あの幸せな気持ちがその後もずっと続くのだと信じていました……。

ゴシップ的な情報や事務所の裏事情など知る由もない音楽好きのひとりとしては、あくまでも音楽そのものからしか推し量ることができません。今年の5位に挙げたカントリー・ガールズ「アイドル卒業注意事項」は、さだまさし「関白宣言」と並ぶ(観客の笑い声が入っている点で一致)、昔懐かしい70年代フォーク/ロック臭が漂う、アップフロントというより前身のヤングジャパンが好みそうなノベルティ〜企画ソングの極地でした。カントリー・ガールズは、60’sポップスやR&Rなど大人好みの路線に寄せすぎて、コンセプト的に身動きが取れなくなってしまったのではないか、と。

思えば、つんくプロデュース時代のカントリー娘。は、フォークや古き良きポップスの要素を取り入れつつも、トランス風なアッパー・チューン(「浮気なハニーパイ」「革命チックKISS」etc…)を適度に織り交ぜ、時流と上手くつながっていた。カントリー・ガールズにとっても、カン娘。のレパートリーがあることはいろんな点で強みでした。いっそ嗣永桃子卒業後のカントリーも、昔と同じようにモーニングから主力メン(牧野と横山、とか)を迎えて、しれっと路線変更する手もあったのかもしれません。しかし黄金期だった当時とは違って、上位のグループにそこまでの余裕はなかった。それどころか逆に、上にメンバーを吸い取られる結果となってしまったのが、あの無情な新体制発表でした。

カン娘。時代も含めて不慮の卒業や脱退が続く悲運のグループだけど、昔りんねが好きだった自分は、おぜこに当時のりんねを重ねてしまいます。山木さんが里田まいなのか……ちょっとわからないけど 🙂 、消えかけたグループの火が数年を経て再び灯ったように、細々と活動を続けながらまた不死鳥のように大きく「舞」い戻る日がもう来ないとは誰にも断定できないのです。
 

1位の「若いんだし!」は、つんく×ヒラショーがトロピカル・ハウスに取り組み、本場のレベルを追い抜いてしまった曲。2位の「Windows」は演劇女子部『ネガポジポジ』の劇中歌で、研修生時代の加賀楓の歌唱だと思われる(クレジットなし)。娘。加入でごく普通のハロメンになってしまったかえでぃーの神がかりな卒業認定曲(違ってたらゴメン)。ハロプロ楽曲らしからぬ「ルビーの指環」オマージュなシティ・ポップスとしても魅力的。3、4位はどちらも、いかにもつんくらしい上品なディスコ・ナンバー。詞・曲ともにつんく絶好調の年でした。

 
>>第16回ハロプロ楽曲大賞’17

 
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Hello! Project 研修生発表会2017 〜春の公開実力診断テスト〜 に行ってきた

Hello! Project 研修生発表会2017 〜春の公開実力診断テスト〜 に行ってきた

(申し訳ございません。一ヶ月前のブログになります)

中野サンプラザでハロプロ研修生全員が一曲ずつパフォーマンスを行い、審査員による審査と入場者全員の投票によって、その年の実力上位を選ぶ「春の公開実力診断テスト」なるイベントが、毎年GWのこの時期に開かれており、今年2017年で5回めとなる。 【続きを読む】

2016年最も印象に残った××××

2016年最も印象に残った××××

:::アート:::
 
時間をめぐる、めぐる時間の展覧会 (三軒茶屋=生活工房ギャラリー)
近代風景~人と景色、そのまにまに~ 奈良美智がえらぶMOMATコレクション (竹橋=東京国立近代美術館)
ブラティスラヴァ世界絵本原画展 (浦和=うらわ美術館)
Chim↑Pom「また明日も観てくれるかな? 〜So see you again tomorrow, too? 〜」 (新宿=歌舞伎町振興組合ビル)
1920~2010年代 所蔵工芸品に見る 未来へつづく美生活展 (竹橋=東京国立近代美術館工芸館)
後藤美月個展「なんにもないがたくさんある」 (表参道=オーパ・ギャラリー)
平岡瞳版画展「ゆき」 (表参道=オーパ・ギャラリー)

全くノーマークだった「時間をめぐる、めぐる時間の展覧会」。チラシのビジュアルが、同じ時期に出版した絵本『わかる わかる じかんの えほん』と偶然似ていたのがきっかけで興味を持ちました。時間というひとつのテーマを、科学、歴史、文化人類学などさまざまなアプローチによって、デザインやイラストレーション、映像などの資料とともに解き明かしていく試みがとてもユニーク。関連資料として絵本も数多く紹介されていて刺激になりました。

「奈良美智がえらぶMOMATコレクション」では、普段の作品からだけでは伺えない奈良さんのルーツを垣間見ることができました。恩師の麻生三郎から受け継いだ平和への願いもコメントから伺え、いま観るべき展示になっていたと思います。

イラストレーションの領域における版画表現に目を見開かされた一年でした。ここ数年の画家たちの努力が花開き、大きな実を結んだ印象を持ちました。若手〜中堅のイラストレーターとの良き出会いにも恵まれた気が。彼ら/彼女たちに報いる仕事をしなくては。
 
 

:::音楽:::
 

24K Magic Bruno Mars
MALIBU Anderson .Paak
VIBLATION TOKYO HEALTH CLUB
99.9% Kaytranada
グッド・ナイト 森は生きている
A Long Day ミツメ
Epoch Tycho
Nite-Funk Nite-Funk

ベスト・アルバムとして挙げられる作品に、時代や個人の内面を反映するようないわゆる大作・力作が多かったように思います。「Happy」でも「(Get) Lucky」でもなかった一年。でも、個人的にはそういった重い作品と正面から向き合うことが難しい気分で、少しでも気持ちが軽くなったり、いまの足元を明るく照らしてくれる音楽ばかりを探していました。

 
Bruno Mars『24K Magic』

 
 
ボビー・ブラウンやマイケル・ジャクソンが活躍していた時代の華々しい空気感を、この息苦しい時代(白人以外の人種にとっては余計に…)にあえて持ち込んで見せてくれた。タイトル通りの、きらびやかで本物で、魔法のような30分に気持ちが救われました。
>>インタビュー|Billboard Japan

 
Anderson .Paak『MALIBU』

 
 
幼くして両親が刑務所へ、自身も妻子を抱えてホームレスに。しかし理解者に助けられ、やがてドクター・ドレのフックアップによってシーンへ登場……という「ドキュメント女(男)ののど自慢」ばりのサクセスストーリーも勿論のこと、ジャミロクワイの再来とも言いたくなる(しかし彼らほどポップ=単純ではなく、アウトプットも実に多彩)、ジャズ/フュージョンの影響を受けて複雑に刻まれたトラックの上を撫でていくようなハスキーなヴォーカルが癖になります。
>>アルバムレビュー|bmr
 

TOKYO HEALTH CLUB『VIBLATION』

 
ユニークなMVをきっかけに知った、スチャダラやリップの系譜に連なるヒップホップユニットが放った名盤。フリースタイルダンジョン(←これも息苦しい世の中を象徴するような表現のひとつ)には絶対出なさそうなところも好感が持てます。
>>TOKYO HEALTH CLUB
>>インタビュー|ナタリー
 

Kaytranada『99.9%』

 
先に挙げたアンダーソン・パークのアルバムにも参加している20代のプロデューサーによるファースト。ラリー・ハードやベースメント・ボーイズの浮遊感にも通じるような4つ打ちの曲が多く、単純に心地良い。アウトサイダー・アートのようなジャケも好き。
>>高橋芳朗 星野源にケイトラナダ『99.9%』をすすめた話|miyearnZZ Labo
 

森は生きている『グッド・ナイト』

 
CDの発売年は2015年だったけど、これはバンド解散後の去年に発表されたアナログLP。解散前に知っていれば……と悔しく思えるくらい、その独特の世界観に大きな衝撃を受けました。手づくりで織物をゼロから編み上げていくような、ここにしかないタイプの音楽。
>>インタビュー|Mikiki
>>森は生きている『グッド・ナイト』のアナログ盤におけるまさかの展開|ele-king
 

ミツメ『A Long Day』

 
 
以前から好みの音で注目していたけど、やっとアルバムを通してトータルで聴ける作品が完成。リズム隊とギターのカッティングから生まれるグルーヴが、トーキング・ヘッズやZEレーベルなど80年代前半の音数少なめのNW風。インタビューでも語っているように『ストップ・メイキング・センス』を思い出す。
>>インタビュー|Mikiki
 

Tycho『Epoch』

 
エレクトロニカ+ギターによる電子と生音の融合。ロバート・マイルズ「チルドレン」などに通じるような甘さを時折感じなくもないけど、とりあえずポップで爽快。メンバーが手がけるジャケットデザインがとてもグラフィカル。
>>ISO50 / Tycho Shop
 

Nite-Funk『Nite-Funk』

 
DAM-FUNKと、Nite Jewel(LAの女性シンセ・ポップ・ソロシンガー)によるユニット。これも80年代的でラグジュアリーなテイストを前面に出したファンク。フランソワ・ケヴォーキアンがマスタリングに関わっているらしいのですが、雰囲気としては80年代にアイランズ・レコードから出た、フランソワとホルガー・シューカイほかによるミニアルバム『Snake Charmer』に収録のダンス・クラシック「Hold On To Your Dreams」からダイレクトに繋がる世界。 
 
 
  

何十年ぶりかにレコードプレーヤーを買って、アナログ・レコードマニアの仲間入りをしました。アナログとストリーミングの両方で、松田聖子の初期作品と、ニュー・オーダーの全作品を、一時期何度も繰り返し聴いていました。ニュー・オーダーの12インチはCD化されたヴァージョンとは微妙に違っていて、アナログでこそ聴く価値がありました(特に「コンフュージョン」「シェルショック」)。全部通して聴いて好みだったのは、12インチ全部と、アルバムでは初期の『ムーブメント』『権力の美学』。
 
 

:::メディア:::
 

::本::
小さな出版社のつくり方 永江朗(猿江商會)
あしたから出版社 島田潤一郎(晶文社)
株式会社カラー 10周年記念冊子(株式会社カラー)

::雑誌::
CanCam 2017年2月号 特集:かわいい写真が撮りたい!! 特別付録:スマホに付ける!魔法の自撮りライト(小学館)

::映画::
シン・ゴジラ
この世界の片隅に
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
スター・ウォーズ/フォースの覚醒
FAKE

秋頃に突然大きな夢が頭に浮かび、それ以降はそのことばかり考えていました。今年は実行に移したい。映画は評判だった作品を全部観切れてないので、ロングランの映画館にこれからでも観に行きたい。
 
 

:::ハロプロ楽曲大賞’16:::
 

  
1位|独り占め つばきファクトリー
2位|次々続々 アンジュルム
3位|押忍!こぶし魂 こぶしファクトリー
4位|何故 人は争うんだろう? ℃-ute
5位|泡沫サタデーナイト! モーニング娘。’16

次点|
The Vision モーニング娘。’16
そうじゃない モーニング娘。’16
セクシーキャットの演説 モーニング娘。’16
チョット愚直に!猪突猛進 こぶしファクトリー
どーだっていいの カントリー・ガールズ
懸命ブルース こぶしファクトリー
(リンクはすべてYouTube)
 

MV部門
1位|辛夷の花 こぶしファクトリー

 

推しメン部門|小関舞(カントリー・ガールズ)
 

 

つんく♂ VS 非つんく♂の楽曲が争う状況で、辛うじてつんく♂の曲が(自分の中では)優位に立ちました。つばきファクトリー「独り占め」は、久々のつんく×大久保薫コンビによる作品で、サトシ・トミイエのような流麗なピアノのフレーズが耳に残る佳曲(参考:Frankie Knuckles「Rain Falls」)。少女同士にしかわからない繊細なニュアンスの歌詞はザ・つんくの真骨頂。つんく♂の曲はMVやCDだけだと正直最初はピンと来ないのですが、現場で聴くとその歌詞やバックトラックの真価が、少女たちのギリギリの歌唱とパフォーマンスを通してしっかりと伝わってきます。

つんく♂の魂を純度の高い形で歌い継いでいるグループは、現在ではモーニング娘。とハロプロ研修生の2組だと思います。そのことに気付いてから、研修生のライブにも足を運ぶようになりました(冠番組の「はぴ☆ぷれ」「ただいま研修中」はリアルタイムで全部見ていたけど…)。ハロプロで一番面白くて観るべき価値があるのは研修生、という最後の境地に達してしまった2016年でした。

 
>>第15回ハロプロ楽曲大賞’16

 
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