第10回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート

第10回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート

毎年チラシ等のお手伝いをしている吹奏楽団harmonize(ハーモナイズ)のコンサート。今年でついに10回目を迎えます。

 
実は、前回の第9回をもって、チラシやプログラムその他のデザイン担当から降ろさせていただこうと考えていました。主催の藤井君にもその旨をお伝えし、第9回の本番で配られたプログラムにも送別の言葉まで頂いたほどでした。後任のイラストレーター/デザイナーについても、アートワークをお願いするにふさわしい方を指名し(竹内巧さんです。この場を借りて改めてありがとう)、実際に引き継ぎのための打ち合わせまでしていました。

 
にもかかわらず寸前で撤回させていただいたのには、ごく個人的な理由がありました。

 
去年のチラシを制作する時期、もう描くということへの喜びが見いだせなくなってしまい、自分はこれからデザインの仕事に徹しようと思ったのでした。描くことにまつわる行為を全て切り離そうと考え、少ない仕事もほかの人に譲ろうとしました。そうやって一旦描くことを全部断つと決めてから季節がひとつ過ぎたある日、ふとハードディスクに保存された過去の作品を先入観なく眺めるうち、これは案外悪くないかも、という感覚が訪れたのです(詳しくは、instagramアカウントのお知らせ|パラグラフ を参照)。

描くことは自分にとってのひとつの財産だから、決して手放してはいけない、と程なくして気付き、吹奏楽のバンマス藤井君や後任に予定していた竹内さんにも、お詫びの気持ちを伝えて復帰することになり、再び「描くこととデザインの中間地点」を目指して制作したのが第10回のアートワークです。

 
今回は、楽譜や楽器などの音楽的な符牒から離れて、harmonizeという楽団が10年続いたことを花束でお祝いしました。10年続いたって簡単に言うけど、本当にすごいことなんです。プロフェッショナルではない楽団員ひとりひとりが、それぞれの仕事や学業に占有された日常の中でなんとか時間を作って練習を重ねて、ここまで続けてこれたこと。そのことを心から祝福したいと思いました。

それと、上に添えた「We are harmonize」のキャッチコピー。この仕事を再開するにあたっての藤井君とのミーティングの中で「10年も続いたらその場所は、家・家族のようなものだね」と話したことをヒントに、ぼくのほうで発案しました。普段は学生、会社員、親、先生……いろんな役割を演じて忙しく働く人々が、ここに来ればハーモナイズの一員になれる。そんな、帰属する場所、いつでも帰れるところ、の意味を、この短いコピーの中に込めました。

こんなふうに、描くことだけでなく、デザインすること、コピーなどのテキストや全体の構成までを、ひとつのかたまりとして表現する力が、これからの自分にとって他者と換えがたい固有の力になっていくのかもしれないな、と作りながら思ったりもしました。そういう力を長い間育て、自由に発揮させてくれたharmonizeという楽団とバンマスの藤井君には、感謝の気持ちで一杯です。

 
harmonize(ハーモナイズ)は東京都日野市を拠点に活動する吹奏楽団で、リーダーで指揮者の、中学や高校で音楽教師を務める藤井和夫君の教え子が中心となって集まり、演奏を続けています。毎年初夏にチャリティーコンサートを開き、児童養護施設出身の子どもたちをサポートする「NPO法人日向ぼっこ」への募金を行なっています。
 
コンサートは入場無料です。
お近くの方、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
取材や問い合わせについては、彼らのウェブサイトをご覧になってください。

 
第10回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート
2018年7月1日[日]
13:30開場/14:00開演
ひの煉瓦ホール(日野市民会館)大ホール
入場無料
 

 

harmonize吹奏楽チャリティーコンサート FLYER/LEAFLET

>>harmonizeに関するブログ記事の一覧

harmonize公式ブログ
http://harmonize2008.blogspot.jp/

 
「元・丁稚」藤井和夫インタビュー|INTERVIEWS for land of music “the Rising”
http://d.hatena.ne.jp/theRising/20090618
――指揮の藤井君はかつて、ロックバンドHEATWAVEの伝説の「丁稚」でした。

わかったさんとおかしをつくろう!

わかったさんとおかしをつくろう!

お菓子作りをテーマにしたあかね書房の人気童話「わかったさんのおかしシリーズ」。その30周年を記念した26年ぶりの新刊となるレシピ集+絵本『わかったさんとおかしをつくろう!』(寺村輝夫・永井郁子、あかね書房・刊、全3巻)のブックデザインを担当しています。
 


 


 


 

クリーニング屋の女の子“わかったさん”が行く先々で不思議な世界に巻き込まれるたびに、ケーキやお菓子を作ってピンチを切り抜けるお話。とくに女性の方には、下は現役小学生から上はかつて小学生だった方々まで、姉妹本の「こまったさん」シリーズを含めてとても愛されているようで、うちの娘に至っては、今度わかったさんの仕事をするよ、という話をしたら「パパ、これから有名になるよ」という謎の預言が返ってきたほどでした…)。「わかったさん」から印象的なエピソードをピックアップした絵本パートと、新たに考案されたものも多数含むレシピパートからなるオールカラーの楽しい本になりました。

キャリア等を考えると信じられない話ですが、作画の永井郁子さんはすごいPhotoshopの使い手で、今回の絵も、過去の原画と手描きで新しく描いた絵をAdobe Photoshop上で再構成して着色したものだそうです。素材や基本的なアイデアについては永井さんと編集部にお任せし、こちらでは全体のデザインと表紙タイトル回りの設計などを行いました。タイトルの飾り罫は、それぞれのお話の内容をモチーフにイラストとグラフィックの中間のアートワークを制作しました。また、タイトルや見出しの文字に、前から使いたかったタイプバンクのかな書体「TBかナ-白のアリス」を使用しています。
 

 
わかったさんの こんがりおやつ(→Amazon.co.jp
わかったさんの ひんやりスイーツ(→Amazon.co.jp
わかったさんの ふんわりケーキ(→Amazon.co.jp
寺村輝夫/原文 永井郁子/企画・構成・絵
あかね書房
発売中
各1200円+税(定価)

春休みと重なる期間に、東京では初めてとなる原画展が開催されることになりました。永井郁子さんのサイン会も開かれます。

「わかったさんと おかしをつくろう!」原画展
2018年3月16日[金]─4月16日[月]
丸善 丸の内本店 児童書売り場 (東京・東京)

 
関連記事

>>あかね書房の「わかったさんと おかしをつくろう!」特集ページ。

>>あかね書房の書籍紹介ページ(こんがりおやつ)。イベントへのリンクも。

>>わかったさん公式ツイッター

>>著者の永井郁子さんのホームページの特設サイト。3巻セットのボックスの画像も。

>>【懐かしい!】あの『わかったさん』に26年ぶりの新刊が出てたぞ~ッ / 総集編&新作レシピもいっぱい! 大人が読んでもワクワクが止まらない!!|ロケットニュース24

沢井メグさんによる紹介記事。
ツイッターにはなんと1666RT!

ウェルカム!ビートルズ

ウェルカム!ビートルズ

佐藤剛さんの新刊『ウェルカム!ビートルズ 1966年の武道館公演を実現させたビジネスマンたち』(リットーミュージック・刊)のブックデザイン(装丁と本文組版)を担当しました。

ザ・ビートルズについては、関係者やファンなど様々な視点から書かれた著作が既に多数出ていますが、本書はザ・ビートルズの1966年の来日公演(日本武道館:6/30〜7/2)の実現を影で支えた国内外のビジネスマンたちと、彼らの功績に光を当てるノンフィクションです。本書の縦糸=主役となるのは、ビートルズをめぐる音楽史にこれまで一切登場することのなかった、東芝EMIの名ディレクターとして知られた石坂敬一の父であり、東芝レコードの重役として坂本九「上を向いて歩こう」を世界的なヒットへと導くなどの功績を果たした知られざる人物・石坂範一郎です。
 

ぼくが音楽的物心がついた頃には、ビートルズは既に解散してかなりの時間が経っていました。上の世代に比べて思い入れの強さでは勝てませんが、当時を知るファンの方々にも手に取ってもらえればと思い、ビートルズ来日時の資料を漁る過程で目に止まった来日公演のポスターやチケットのヴィジュアルを、今回の装丁にあたってヒントにしています。当時の使用書体と全く同じタイプフェイスのものが存在しなかったため、既存のデジタルフォントをベースに細部を加工しました。当時のヴィジュアルを知る方には、オリジナルとの微妙な違いも、笑って受け止めてもらえるのではないかと思ってます。

中央に配置したジョージ、ジョン、リンゴ、ポールのイラストは、オリジナルのポスターで同じ位置に入っていた写真を、イラストレーターの北村範史さんに似顔絵として起こしてもらいました。北村さんとはハナレグミのCDジャケット以来何回かご一緒しており、今回久しぶりに仕事をお願いすることができました。

 
以下は余談でここだけの話ですが、今回デザインのほかにもうひとつ重要な仕事として、ぼくが提案した「ウェルカム!ビートルズ」が本書の正式タイトルとして採用されました(本書の出典となる、エンタメステーション連載時のタイトルは「ビートルズの武道館公演を実現させた陰の立役者たち」)。
 

 
タイトルのアイデアの元になった「ウェルカム・ビートルズ」は、1996年のザ・ビートルズ日本公演初日のオープニングアクトで、当時の日本のロック・ミュージシャンを代表する4組により歌われた、この公演のためのオリジナル曲(作詞:井上忠夫、作曲:安井かずみ。のちにジャッキー吉川とブルー・コメッツにより音源化)で、その名の通りビートルズをお迎えする歌でした。この歌詞や演奏の様子に込められたなんともいえない愛情や恥ずかしさが入り混じった思いが、当時この公演のために奔走した日本のスタッフやファンの総意を代弁しているように感じられたのです。ちなみにこの曲はのちに、テクノ/ニューウェイヴバンドのプラスチックスによってカヴァーされました(タイトルと一部歌詞が変更)。ぼくが最初に知ったのはそちらのヴァージョンでした。

 
普段主に手がけている絵本や児童書に比べて一般書籍のブックデザインにはあまり馴染みがなかったのですが、編集出身のキャリアを活かし、作品の世界の奥底に深く潜り込みながらデザインを進めることができました(編集的見地から誤字脱字という名の貝殻も沢山発見 🙂 )。組版にも様々なバリエーションがあって読みやすさ+αを追求する作業は楽しく、またこういう仕事が来たらうれしいなと思います。
 

佐藤 剛『ウェルカム!ビートルズ 1966年の武道館公演を実現させたビジネスマンたち』(→Amazon.co.jp
リットーミュージック
2018年3月12日発売
2000円+税(定価)
 


 

>>ウェルカム!ビートルズ:リットーミュージック

>>ビートルズ来日をめぐる人間ドラマを丹念に描く感動のノンフィクション! 書籍『ウェルカム!ビートルズ』発売|エンタメステーション

かんたん!たのしい理科実験・工作シリーズ

かんたん!たのしい理科実験・工作シリーズ

岩崎書店・刊「マンガでわかる かんたん!たのしい理科実験・工作」(監修/滝川洋二)のシリーズデザインを担当しました。タイトルの通り、マンガを使って、主に小学校中学年以上を対象とした、面白い理科実験や工作のやりかたを解説する本です。

シリーズ全体のアート・ディレクション~デザイン監修と、第1巻「空気」のブックデザイン(2巻以降の実作業は別のデザイン会社が担当)、3巻それぞれに出てくるタイトルの手書き文字がぼくの担当です。制作途上で予期せぬ出来事が幾つも重なり非常に苦労させられた仕事でしたが、主役であるマンガの存在が大きな助けとなりました。1・3巻を担当してくださった田中チズコさん、忙しい中、第2巻でぼくからのお誘いに応えてくれた多田玲子さんのお二人には感謝しています。
 


 

本シリーズは「図書館本」と呼ばれる分野の書籍で、図書館や学校を中心に配本・販売され、一般書店に並ぶことは基本的にありません(一般書籍より高めの値段設定ですが、ネット書店経由での購入は可能です)。お近くの図書館にない場合は、蔵書リクエストしていただくことで読めるようになります。

 
マンガでわかる かんたん!たのしい理科実験・工作
監修/滝川洋二
『空気とあそぼう』 イラスト/田中チズコ
『光のふしぎ』 イラスト/多田玲子
『電気のちから』   イラスト/田中チズコ
岩崎書店
発売中

 
https://twitter.com/nihon_chizu/status/926262339589906432