下山ワタル DESIGN ARCHIVE

下山ワタル DESIGN ARCHIVE

1990年代末から近年までの仕事を、ジャンル別にセレクトしたポートフォリオを公開しました。
PDFで、どなたでもご覧いただけます。

下山ワタル DESIGN ARCHIVE[PDF|16MB]

縦型 ── 44P(A4サイズ)

*出力をファイルに収めたものも用意しています。
法人・編集部等でご入用の方は、Contactよりお知らせください。

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これから行くかもしれない展覧会[2019・12~]

これから行くかもしれない展覧会[2019・12~]

絵本に見るアートの100年―ダダからニュー・ペインティングまで
2019年11月19日[火]―2020年1月19日[日]/後期
国際子ども図書館 レンガ棟3階 本のミュージアム(東京・上野)
アート史と絵本の歴史を長い一本の線で繋ぐ展示。展示絵本は貴重なものばかり。必見。

小さなデザイン 駒形克己展
2019年11月23日[土・祝]―2020年1月13日[月・祝]
板橋区立美術館(東京・成増)
絵本とパッケージにまたがる重要な展示。自宅からだと成増から徒歩19分。

TOKYOGRAPHIE 2019 アルバート・ワトソン写真展「Wild」
2019年11月29日[金]―12月12日[木]
FUJIFILM SQUARE(東京・乃木坂)
坂本龍一『ビューティー』のアザーカットなど。

小さな 小さな デザイン 駒形克己のMini Book展
2019年11月29日[金]―12月21日[土]
Books and Modern+Blue Sheep Gallery(東京・乃木坂)
最も小さな絵本「Mini Book」シリーズを展示。

白取知子個展「漂白のさなか、詩人の見る夢」
2019年11月30日[土]―12月8日[日]
シーモアグラス(東京・原宿)
ものすごく細かく描き込まれた自然物の絵。非常に気になる。

電子楽器100年展
2019年12月3日[火]―12月15日[日]
国立科学博物館(東京・上野)
テルミンからボーカロイドまで、電子楽器の100年の歩みを紹介する展示。

北澤平祐個展「花と生活」
2019年12月6日[金]―12月11日[水]
HBギャラリー(東京・表参道)
最近のきちっとした線画で描いている仕事の絵が好き(奥東京人、続 わけあって絶滅)。

日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ポーランドの映画ポスター
2019年12月13日[金]―2020年3月8日[日]
国立映画アーカイブ展示室(東京・京橋)
昔ここで観てすごく良かった記憶が(ゴジラ映画とか)。前後期展示。

ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター
2020年1月9日[木]―3月8日[日]
Bunkamura ザ・ミュージアム(東京・渋谷)
2017年に開催されて大好評だった(非常によかった)写真展の第2弾。

[メモ]

申し訳ありませんが多忙につき、今月の展示はほとんど「行けないかも」です。。

グラフィックデザインを始めてから約20年間の歩みをまとめました。ダウンロード可。
>>下山ワタル DESIGN ARCHIVE|パラグラフ

前回のK-POP PLAYLIST 2019 SUMMERに続いて、筒美京平が作曲(編曲・プロデュース)した楽曲を、現在から作曲家デビュー当時に向かって遡るプレイリストを作りました。
>>筒美京平SONGBOOK[増補新訂版]|パラグラフ

noteに先に投稿した、小沢健二の新作の感想です。
>>小沢健二が『So kakkoii 宇宙』で結ぶ、君と僕との「約束」|パラグラフ
 

突然ですが、noteを始めました。

>>utsuwa|note

いまのところ過去にこのサイトに書いた日記系の記事を続々と追加しつつ、noteの機能を確認しながら試運転・様子見の段階です。新しい投稿も少しずつしていきます。

noteはリンクや画像の追加も簡単で、クリエイター向けの機能も用意されていて、WordPressよりも更新していく上での負担が少ない印象です。有料記事のしくみも含め、いろいろと可能性を感じています。

以前Tumblrで立ち上げた、自分の絵の発掘プロジェクトのページ(しなもんレトロスペクティブ)。更新やサイト構築していく上での不都合や面倒があまりに多く、こちらも近々noteへの引っ越しを検討しています。
 

11月頭に、このサイトの直近2年分の更新データが誤操作によって消えてしまい、手作業の末に(手元にデータがなかったため、検索エンジンに残っているキャッシュから1ページずつ回収して)なんとか復旧までこぎつけた……というトラブルがありました。

長く書き貯めてきたテキストがあっさり消える恐怖を体感したのをきっかけに、サイトの今後について(自分が死んだ後のことも含めて)強く考えるようになりました。

操作ミスばかりでなく、ブログサービスの廃止、自身の死去に伴うドメイン/サーバー停止など、今後起こりうる様々な出来事によってインターネット上に書き残した記録は常に消失の危険にさらされています。保管さえ注意すれば長期間残り続ける紙媒体に比べて、われわれの表現の多くを預けているインターネットの情報保管期限はあまりに短い。

死んだらそれまでよ、も「去り際の美しさ」なのかもしれないけど、これまで書き続けてきたテキストが自分の生きた証として、また後世の人々に役立つよう、少しでも長く残り続けてほしいと考えるのも自然な気持ちだと思います。

結論としては、自分のドメインがあるうちに、できるだけ長く続くことが見込まれる既存のサービスに過去のテキストをコピー(ダビング)していく。たとえば、ブログ/書き物系はnote、画像はInstagram、仕事はポートフォリオサービスへ。日常のライフログは今までどおりTwitterに、プレイリストはSpotifyに残す。……それらをつなぐプロフィールページみたいのがひとつあれば、個人による「ホームページ」は今後ますます不要になっていくのではないかと見ています。

参考
>>死後のブログ|103
 

>>これから行くかもしれない展覧会[2019・11~]

音楽は自由をめざす vol.6「艶歌と艶話」

音楽は自由をめざす vol.6「艶歌と艶話」

せたがや音楽プロジェクトのシリーズ公演「音楽は自由をめざす」のフライヤーを、前回に続いてデザインしました(昨年は、高山広の「アレサ・フランクリン物語」)。

今度のタイトルは「艶歌と艶話」。演歌と落語というふたつの芸能の世界で色事をテーマとして扱い、時代によっては禁止されながらも大衆に広まっていった「艶歌」と「艶話」の魅力を、今後大きな活躍が期待される若手の演者とともに紹介するイベントです。

寄席のイメージを引用しつつも、音楽プロジェクトであることを重視し(ストレートな寄席文字ではなく勘亭流を使って)、演芸の楽しさやフレッシュさが伝わるよう心がけました。

フライヤーは世田谷区の施設で配布されています。
チケット販売など、詳しくは〈せたおん〉ホームページをご覧ください。

音楽は自由をめざす Vol.6
「艶歌と艶話」
2020年2月11日(火・祝)成城ホール

[出演]演歌:杜このみ、中澤卓也、落語:瀧川鯉斗、三遊亭わん丈

>>イベント詳細|せたおん

>>高山広の「アレサ・フランクリン物語」|Works|パラグラフ

小沢健二が『So kakkoii 宇宙』で結ぶ、君と僕との「約束」

小沢健二が『So kakkoii 宇宙』で結ぶ、君と僕との「約束」

音楽を聴く時、リズムやメロディのような楽曲の外形的な要素にばかり耳が行ってしまうことが多い。やれこの曲はフィリーソウルだ、とかEDMやベースミュージックの影響を受けているとか、このベースラインは誰々のあの曲へのオマージュだとか。

いつしか歌詞について考えることは、自分の中でも二の次、三の次になってしまった。洋楽でも邦楽でも基本的に歌詞はほとんど見ないし、ヴォーカルはリズム楽器のひとつ、くらいに捉えていたこともあった(それでもハロプロを本格的に聴くようになり、MVを見てつんくの書く歌詞に染まってからは随分変わったと思うけれど)。

そんなぼくにも、小沢健二の新作『So kakkoii 宇宙』の歌詞における、小さくて大きな変化をすぐに感じ取ることができた。

……「約束」が増えたな、と。

人気のない路地に確かな約束が見えるよ
──「流動体について」

それは君と僕との約束を乗せ
オオカミのように 月に吠える

──「シナモン(都市と家庭)」

君が僕の歌を口ずさむ
約束するよ そばにいると

──「薫る(労働と学業)」

たった3曲?と思うかもしれない(自分でも思った🙂)。でも、それまでの長い小沢健二の活動史の中で「約束」というワードが歌詞に出てきたのは、「天使たちのシーン」の客観的な風景描写の中の一回(「大きな音で降り出した夕立ちの中で 子供たちが約束を交わしてる」)だけだった。

それが「流動体」「シナモン」と、アルバムのための新曲「薫る」で一気に3曲も増えた。これはやはり、何か新しい変化の兆候と捉えるのが自然ではないだろうか。


 

『So kakkoii 宇宙』は、「彗星」の歌詞に「1995年」という西暦年が出てくるためか、『LIFE』や当時のシングル曲と比べて論じられることが多いように感じる。

タモリが終了間際の「笑っていいとも!」や最近のMステでも語ったように、小沢健二の歌詞には常に「全肯定」の思想がある……ということらしい。しかし、その「全肯定」のありようや強度に関して、たとえば『LIFE』の頃と現在とでは大きく変わったように思えるのだ。

タモさんもいいともで引き合いに出していた「さよならなんて云えないよ」の歌詞。

左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる
僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも

この少し前には、実はこんな言葉も書かれている。

“オッケーよ”なんて強がりばかりを僕も言いながら
本当は思ってる 心にいつか安らぐ時は来るか?と

時代的狂騒、パーティーや恋人同士のいつまでも続くような「奇跡」的で「刹那」的な今のこの瞬間。小沢健二の歌詞の主人公は、目の前の光景を全力で肯定する一方で、そんな時間にもいつか終わりが来るかもしれないことを心のどこかで察知しつつ、その(不)確かさを常に問い続ける。

たぶんこのまま素敵な日々がずっと続くんだろ
──「ドアをノックするのは誰だ?」

今のこの気持ちほんとだよね
──「強い気持ち・強い愛」

この線路を降りたら
虹を架けるような誰かが僕を待つのか?

──「ある光」

結婚だって、「約束」だなんてそれはちょっと。

僕をじっと見たってダメだよ 結婚してってそれはちょっと
決定だねってイヤだよ 一緒に住んでやめときなって

──「それはちょっと」

今という瞬間への強い肯定を表明しながらも、それが永遠に続く保証や、まして「約束」までは与えることはできない。「たぶん」このまま、ずっと続くだろう、と言えるまでがせいぜい。それが90年代までのオザケンだった。もっともそれこそが多くの人々を永遠に引きつけてやまない、小沢健二の楽曲・歌詞の大きな魅力だとぼくも思うし、みんなもそれを知っている。

しかしここに来て、そんな小沢健二が「約束」というこれまでになかった強い言葉を(主体的な意味で)使うようになった背景には、外国生活を経た経験と見聞がもたらした人間的成長や心境の変化もさることながら、「子ども」という人生の共同制作者を得たことが最大級に強く深く影響しているのではないだろうか。

「薫る(労働と学業)」なんて、ひとたび「君」=子ども(りーりー)に置き換えると、その恋人同士よりも眩しい時間に目のやり場をなくしてしまいそうになる。視覚と触感に強く訴える自作のCDパッケージも(ブルーノ・ムナーリの作品のような)「しかけ絵本」そのものだし。

……と、ここまで短い考察を重ねたところで、あとの複雑な仕事は評論家や熱心なオザケンのファンのみなさんに委ねたいと思う。

それにしても、ジャケット表紙に息子の写真なんてどんだけ〜☆(theジャイアント)と半分呆れつつも、自分も思い起こせば娘が生まれて数年間、毎年年賀状が娘の写真でしたと白状。

>>First Light|パラグラフ

light
 
Every Breath You Take
 

初出:note|utsuwa

参考
>>「あれは生命の最大の肯定」タモリが絶賛した小沢健二|てれびのスキマ
>>タモリと風間俊介が明かす、小沢健二への愛(文=飲用てれび)|日刊サイゾー

これから行くかもしれない展覧会[2019・11〜]

これから行くかもしれない展覧会[2019・11〜]

絵本に見るアートの100年―ダダからニュー・ペインティングまで
2019年10月1日[火]―2019年11月17日[日]/前期
2019年11月19日[火]―2020年1月19日[日]/後期
国際子ども図書館 レンガ棟3階 本のミュージアム(東京・上野)
アート史と絵本の歴史を長い一本の線で繋ぐ展示。展示絵本は貴重なものばかり。必見。

富田直樹「東京」
2019年10月18日[金]―11月22日[金]
MAHO KUBOTA GALLERY(東京・外苑前)
ラフに描いているのに写実的。光がきちんと見えているから? >>作家のページ

「想像からはじめるーSolidarity-連帯-연대ー」POSTER EXHIBITION@本屋B&B
2019年10月19日[土]―11月21日[金]
本屋B&B(東京・下北沢)
近くで巡回展やってると聞いたので…行きました。>>SUNNY BOY BOOKS

池田亮司
2019年10月26日[土]―11月22日[金]
TARO NASU(東京・六本木)
名前だけの展示名。LED作品を含む新作約10点。

Nous Vous “FOLK”
2019年10月29日[火]―11月10日[日]
ユトレヒト(東京・明治神宮前)
インスタでフォローしているイギリスのイラストレーターチーム。来日うれしい。

嶽まいこ展『めずらしい風景』
2019年10月30日[水]―11月17日[日]
ヨロコビtoギャラリー(東京・西荻窪)
前から注目している画家/漫画家の新作展。リソグラフの新作ZINE発売。

『MOTO JAM』本 秀康 個展
2019年10月31日[木]―11月17日[日]
VOID(東京・阿佐ヶ谷)
最近の仕事と新作。前は、本にBerryz工房の梨沙子のサインをしてもらった。

東アジアのインディ・コミック・アートブック展
2019年11月1日[金]―11月17日[日]*火水休
ブックギャラリーポポタム(東京・目白)
ソウル、香港、台北のアーティストの作品を紹介する展示/ブックフェア。絶対行く。

石内都展 都とちひろ ふたりの女の物語
2019年11月1日[金]―2020年1月31日[金]
ちひろ美術館・東京(東京・上井草)
ちひろ美術館は、いつもながら企画の着眼点、取り合わせがすごくいいと思う。

Jasper Johns: Usuyuki
2019年11月1日[金]―12月21日[土]*日月休
Fergus McCaffrey Gallery(東京・表参道)
ジャスパー・ジョーンズが1979年から2004年まで制作したシリーズ。

吉田ユニ展「Dinalog」
2019年11月15日[金]―12月1日[日]
ラフォーレミュージアム原宿(東京・原宿)
やっぱり野田凪さんのところにいらしたのか。。その前が大貫デザインというのにも納得。

ミナ ペルホネン/皆川明 つづく
2019年11月16日[土]―2020年2月16日[日]
東京都現代美術館(東京・清澄白河)
展示特設サイトにトークイベントのスケジュールが出ていた。

ダムタイプ|アクション+リフレクション
2019年11月16日[土]―2020年2月16日[日]
東京都現代美術館(東京・清澄白河)
前にダムタイプ観たのどこだったろう……思い出した、ICC。あらゆる境界を揺さぶる。

中野正貴写真展「東京」
2019年11月23日[土・祝]―2020年1月26日[日]
東京都現代美術館(東京・目黒)
『TOKYO NOBODY』『東京窓景』など30年余の東京シリーズの集大成。

一乗ひかる 自由と存在
2019年11月26日[火]―12月8日[日]
ギャラリー・ルモンド(東京・原宿)
ずっと気になっている画家さん。すでに十分有名だけど。

電子楽器100年展
2019年12月3日[火]―12月15日[日]
国立科学博物館(東京・上野)
「細野観光」だけでは飽き足らない、もっと見たくなった(自分のような)人々へ。

北澤平祐個展「花と生活」
2019年12月6日[金]―12月11日[水]
HBギャラリー(東京・表参道)
最近のきちっとした線画で描いている仕事の絵が好き(奥東京人、続 わけあって絶滅)。

[メモ]

2000年代当時に描いていたイラストレーション作品を、現在の視点で世に出すプロジェクト「しなもんレトロスペクティブ」を来年以降始めようと思っています。こちらに序文を書きました。
>>しなもんレトロスペクティブ|About

グラフィックデザインを始めてから約20年間の歩みをまとめました。ダウンロード可。
>>下山ワタル DESIGN ARCHIVE|パラグラフ

夏に発売された、保育現場で使えるあそびを紹介する児童書のデザインを担当しました。
>>すきま時間あそび107|パラグラフ

前回のK-POP PLAYLIST 2019 SUMMERに続いて、筒美京平が作曲(編曲・プロデュース)した楽曲を、現在から作曲家デビュー当時に向かって遡るプレイリストを作りました。
>>筒美京平SONGBOOK[増補新訂版]|パラグラフ
 

今回の筒美京平プレイリストをまとめたことで、デザイナーとしての自分の仕事に還元されるものは何もない、と記事中でも書きましたが、筒美京平の膨大な作品に短時間で接してみてひとつ理解できたのは、「表現において必ずしもエッジや頂点・先端を目指す必要はない」という事実でした。

スキルアップなんて不要、と言いたいのでは勿論ありません。例えるなら、ショートケーキの苺を狙うことだけが表現ではない、という意味です。ケーキの土台を目指すことやクリームの質にこだわることも立派な表現だとぼくは思います。「先端」という言葉から直ちに思い浮かぶのは、近年広告の現場を中心に使われることの多い「刺さる」という用語です。「刺さる」表現って、届ける相手にとって痛くない?ってずっと思ってました。

筒美京平が作曲の仕事を通して目指したのは、決して先端を目指す音楽ではなかったはずです。彼がずっと続けてきたのは、先端的な洋楽のエッセンスを日本的風土に置き換えて、ごく普通の人びとに届ける、いわば「中庸」的な仕事でした。その膨大な数と確かなクオリティによって、筒美京平は日本の作曲家として揺るぎないポジションを獲得しました。プレイリストを聴きながら改めてそう実感しています。

裏方を含む「中庸」的な仕事ってなかなか理解されることが少なくて、多くの人が「私を見て!」的なアピールや先端的な表現に走りたくなる気持ちもよくわかります。失われた30年→コンティニューみたいな状況下ではなおさら……。でも、評判って不思議なもので、自分では届いてないように感じられたとしても、周りの人や意外な人々がどこかで見てくれているんですよね。そういうものだと信じてます(信じ続けられる日までは)。 
  

>>これから行くかもしれない展覧会[2019・10~]

筒美京平SONGBOOK[増補新訂版]

筒美京平SONGBOOK[増補新訂版]

プレイリスト企画第2弾として(第1弾はK-POP PLAYLIST 2019 SUMMER)、作曲家・編曲家の筒美京平が、1965年の作家デビュー以来、2019年現在までに作曲(編曲)した曲を、Spotifyに登録された楽曲から選んでプレイリストにまとめました。

(本稿の人名はすべて敬称略)

1966年8月に藤浩一のシングルとして発売され、翌年までに7組のシンガーにより競作された「黄色いレモン」が筒美京平の作曲家としてのデビュー作でした。以来、作曲家・編曲家として数え切れないほどのヒット曲を量産し、現在もなお(2019年時点で79歳)コンスタントに作曲活動を続けています。

このプレイリストを作った理由

どうして音楽研究家でもなんでもない、ただのグラフィックデザイナーにすぎない自分が、このようなプレイリストを作ろうと考えたか。

小沢健二の17年ぶりのオリジナルアルバム『So Kakkoii 宇宙』のリードトラックとして、10月11日に突然リリースされた「彗星」を聴いて、筒美京平と共同作編曲した1995年のシングル「強い気持ち・強い愛」に通じる世界(歌謡曲+フィリーソウル)を感じたのがきっかけでした。そんな中、台風19号の襲来のため一歩も外に出られなかった夜に、Spotifyで再生時間8時間以上におよぶ筒美京平関連曲のプレイリストを聴いてみたら、思いのほか面白く、沢山の発見がありました。

その後、筒美京平全作品を網羅した記録集『筒美京平の世界[増補新訂版]』(P-Vine Books・2011年、トップの画像も同書からの引用 絵:和田誠)を読むと、上記のプレイリストの収録曲以外にも興味をそそる楽曲が沢山あることがわかりました。それらを補うかたちで、筒美京平の全仕事を「増補新訂版」的にまとめてみようと思って作ったのが、今回の200曲以上、再生時間12時間を超えるプレイリストです。

とはいえ、これはSpotifyに限らずストリーミングサービスの限界ですが、代表曲の多くが未登録のため、惜しくも今回のセレクトから漏れた曲が沢山ありました。作曲家デビュー曲の「黄色いレモン」と60年代の大半の作品。ジャニーズ事務所出身・所属の男性歌手(郷ひろみ、近藤真彦、少年隊、SMAPなど)。小泉今日子中山美穂をはじめとする黄金期の女性アイドル。90年代では、裕木奈江、鈴木蘭々、内田有紀ほかの女優兼シンガーへの提供曲。2000年以降では、安倍麻美、Buono!、ゲーム内のBGMを全編手がけた『いただきストリート2』サントラ、etc……。それでも時代の要請に応じたバリエーションの豊かさと、フィリーソウルや洋楽ポップスへの愛情は十分伝わってきます。

資料は『筒美京平の世界[増補新訂版]』をベースに、刊行年以降(2012~)の曲は筒美京平のウィキペディアを参考にしました。

この経験がデザイナーとしての自分の仕事に還元されるか?といえば、疑いなく「No!」だと思います。ただ音楽が好きという気持ちに動かされてやっています。
 

選曲にあたってのルール

★2019年現在からデビュー年に向かって時代を遡る順に並べています(新→旧、一部例外あり)。
★シングル曲メイン。アルバム曲からも選ぼうと思いつつ、あまりに膨大なので断念しました。
★ひとつのテイストや自分の好みに寄せすぎず、代表曲、ヒット曲も含め、ポップス、ロック、演歌など多様なジャンルから選ぶと共に、時代の空気が伝わるように心がけました。
★Spotifyに収録されている範囲で、筒美京平から楽曲提供を受けた各アーティストの曲を最低1曲は必ず入れています。
★原則として、後年に発表されたカヴァー曲は省きました(森高千里「17才」ほか一部例外あり)。オリジナル曲が未収録の場合に限り、別のアーティストによるカヴァー作品を発売日の位置に入れている例がいくつかあります。
*安室奈美恵「人魚」(NOKKO)、大槻ケンヂ「お世話になりました」(井上順)、etc…
★加藤ミリヤ「新約ディアロンリーガール feat. ECD」は2018年の曲ですが、特別な成立背景もあって(マーヴィン・ゲイ「セクシャル・ヒーリング」→佐東由梨→ECD→加藤ミリヤ→新約 feat. ECD)、時代に応じてかたちを変えていく筒美京平作品を象徴する曲だと考えて、一番先頭に置きました。
 
 
短期間に膨大な筒美京平の作品を浴びるように体験して気付いた発見や感想はここではあえて省略し、これから聴く人にゆだねたいと思います。代わりに『筒美京平の世界[増補新訂版]』でも執筆者が挙げていた「筒美京平の10曲」を自分でも選んでみました。

アレンジが光る筒美京平の10曲

筒美京平が書いた曲を編曲家がアレンジして、楽曲は最終的な完成に至ります。自ら編曲家としても活動していた70年代以前は勿論、それ以降の作品でも編曲家に曲を渡す際に、ある程度のイメージは伝えていたのではないかと想像します。編曲家のアイデアが加わって更に輝きを増した、アレンジが光る筒美京平の10曲を選びました。
 

★Sweet Pain/MISIA(2000 編曲:松井寛)
──筒美京平が70年代にやりたかったことの完成形のようにも聴こえる。
★強い気持ち・強い愛/小沢健二(1995 編曲:筒美京平・小沢健二)
──「スタンダップ~」が京平サウンドの肝だと思ったので、『刹那』Ver.から。
★と・き・め・き/高橋由美子(1991 編曲:ULTIMAX)
──麻丘めぐみのカヴァー。リズムが、ジャングル直前のブレイクビーツ×エレクトロ。
★スクール・ガール/C-C-B(1985 編曲:船山基紀・C-C-B)
──女性アイドルがそのまま歌っても違和感なし。チョッパーベースもスパイス。
★ト・レ・モ・ロ/柏原芳恵(1984 編曲:船山基紀)
──たしか船山基紀が個人でフェアライトCMIを買って打ち込みした曲。
★ふりむけば愛/島田歌穂(1982 編曲:松井忠重)
──伊東ゆかり「愛の光」の改題だそう。歌巧~。
★青い地平線/ブレッド&バター(1980 編曲:細野晴臣・田辺信一)
──YMO直前の細野晴臣のベースが全編通して疾走してて爽快。
★ぬくもり/細川たかし(1978 編曲:高田弘)
──演歌歌手からの依頼はポップス調の曲が多い傾向。これも歌巧~。
★夏の感情/南沙織(1974 編曲:筒美京平)
──ファンクとロックの混ざり具合が、こぶしファクトリーっぽい。
★恋の追跡(ラヴ・チェイス)/山本リンダ(1972 編曲:馬飼野康二)
──欧陽菲菲のカヴァー。山本リンダの凄さがわかる。今もクラブで使えそう。

おまけ

◯野口五郎が、歌手としても楽曲としても素晴らしいということが今回の一番の発見。歌が巧すぎて、何曲も何曲も選んでしまいそうで困った。時代に応じて音楽性を少しずつアップデートしていることもよくわかる。「グッド・ラック」「女になって出直せよ」とか、山下達郎と比肩する才能が感じられるし、のちのシティポップにつながる萌芽も見られる。女性シンガーでの発見は、石井明美。

◯中山美穂の楽曲がなくて、代わりに選んだ「WAKU WAKUさせて」「ツイてるねノッてるね」のトランス/ユーロ・カヴァーがどちらも良かった。森高千里「17才」もそうだけど、カヴァー&リアレンジされても曲の良さが全く揺るがない。どころか、時代に応じて輝きを増していくのが不思議。