これから行くかもしれない展覧会[2018・7/8〜]

これから行くかもしれない展覧会[2018・7/8〜]

AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展
2018年6月29日[金]―10月14日[日]
21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2(東京・乃木坂)
コーネリアスの新作に9組のアーティストが取り組む映像作品。

江口寿史 イラストレーション展[step]
2018年6月30日[土]―7月22日[日]
スパンアートギャラリー(東京・銀座)
前後期に分けて開かれる、新作作品集にちなんだ展示。大人気のサイン会も。

Chim↑Pom|NADiff a/p/a/r/t 10周年記念展
2018年7月6日[金]―7月22日[日]
NADiff a/p/a/r/t(東京・恵比寿)
NADiff移転後の初展示で初めてChim↑Pomを観た。いま思えば日本の未来を予見していた。

2018 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
2018年7月6日[金]―7月29日[日]
成増アートギャラリー(東京・成増)
板橋区立美術館改装中につき、今年は成増駅3分の場所で開催。前より行きやすい。

原田郁 個展
2018年7月6日[金]―7月29日[日]
アートフロントギャラリー(東京・代官山)
コンピュータの中の仮想空間から見た風景。無条件で好き。

HARUMI YAMAGUCHI×YOSHIROTTEN Harumi’s Summer
2018年7月6日[金]―8月25日[土]
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)
山口はるみのイラストを活かしつつ再構成。これはいいかも。

奈良美智「Sixteen springs and sixteen summers gone―Take your time, it won’t be long now」
2018年7月7日[土]―8月10日[金]
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京・六本木)
近年の写真作品を展示。ワタリウムで観たサハリンの写真が好きでした。

かこさとしのひみつ展-だるまちゃんとさがしにいこう-
2018年7月7日[土]―9月9日[日]
川崎市市民ミュージアム(川崎・武蔵小杉)
読み聞かせ活動から物語を作り始めたらしい。7月はSHISHAMO展もあるので行きたい。

エドワード・ゴーリーの優雅な秘密
2018年7月13日[金]―9月2日[日]
八王子市夢美術館(東京・八王子)
絵本・挿絵にとどまらず舞台・衣装デザインでも活躍。>MOE

巨匠たちのクレパス画展 日本近代から現代まで
岡本太郎、梅原龍三郎、小磯良平、熊谷守一、猪熊弦一郎…

2018年7月14日[土]―9月9日[日]
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京・新宿)
サクラクレパスのアートミュージアムが所蔵するクレパス画のコレクション。

生誕100年 いわさきちひろ、絵描きです。
2018年7月14日[土]―9月9日[日]
東京ステーションギャラリー(東京・東京)
珍しい初期の広告仕事や、紙芝居、油絵など。知られざる画家人生に迫る。

ビーマイベイビー 信藤三雄レトロスペクティブ
2018年7月14日[土]―9月17日[月・祝]
世田谷文学館(東京・芦花公園)
絶対行くやつ。80年代から現在まで、クリエイティビティの全貌に迫る。

モネ それからの100年
2018年7月14日[土]―9月24日[月・休]
横浜美術館(横浜・みなとみらい)
モネの絵画の魅力と、作品が後世に与えた影響も解き明かす企画展。

デザインあ展 in TOKYO
2018年7月19日[木]―10月18日[木]
日本科学未来館(東京・テレコムセンター)
家族で行きたいけど、すごく混むだろうなあ。

BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン
2018年7月21日[土]―10月8日[月・祝]
東京都美術館(東京・上野)
展示内容が予想より面白そうで……時間あれば行きたい。>箱庭

「たびするこども」つつみあれい個展
2018年8月4日[土]―8月22日[日]
カフェ・シーモアグラス(東京・原宿)
面白くて壮大な世界にまた出会えるのが楽しい。

Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道
2018年8月9日[木]―8月19日[日]
表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー(東京・表参道)
数々の作品と、キース・ヘリングが表参道路上にライブペインティングしている写真など。

[メモ]

前回以降に更新した仕事のお知らせです。
中川ひろたか・作、岡本よしろう・絵の絵本『おうち』のブックデザイン。

>>絵本『おうち』|パラグラフ

ソングブックカフェのCDブック第二弾『じゃんけんジョイ!』のブックデザイン。

>>じゃんけんジョイ! 〜Hoick CDブック2〜|パラグラフ
 

自分では頑張っているつもりなのに思うように結果が出なかったり、コミュニケーションがやたら空回りする状態がしばらく続いていました。こんな時は神頼み、とばかりに今年は何故かお参りしてなかった明治神宮に、6月の上旬、急きょ参拝してきました。まさにその直後から、身辺に大小様々な好ましい変化が次々続々と生じています。

……こんな書き出しで、参拝の当日夜に観たDA PUMPの池袋リリイベについて書こうと思ったのですが、またまた未完に終わりそうです。

ひっそりと誰にも内緒で創作を続ける時にふと思い出すのは、つんく♂が黒沢健一『Focus』の発売に寄せたコメントの一節です(全文はリンク先を参照)。

うれしくって色々言いたいけど、あえてじっとこらえて、
完成をじっと待つ。自分の中のゴールを目指して、じっと待つ。

富士登山の山頂みたいに、目の前に見えるのになかなかたどり着けない、そんなゴールです。
 
>>これから行くかもしれない展覧会[2018・5/6~]

じゃんけんジョイ! 〜Hoick CDブック2〜

じゃんけんジョイ! 〜Hoick CDブック2〜

保育現場で使えるCDブックの第2弾『じゃんけんジョイ!』のデザインを、前作『ちょっとだけ体操』に続いて担当しました。今回も、ソングブックカフェ所属アーティストの、中川ひろたか、鈴木翼、ロケットくれよん、福田翔、gaagaaSの5組による、あそびうた、ダンス、体操が収録されたCDと、振付&楽譜集がセットになっています。

前作『ちょっとだけ体操』はCDブックとして、セミナーや地方の講習会などで大好評だったそうです。今度の『じゃんけんジョイ!』も、野外(横浜大さん橋周辺)で撮影した写真を使った写真集的な要素や、振付イラストなどの見やすさを踏襲しつつ、前作の内容をさらにアップデートしています。写真は今回も藤田修平さん、表紙タイトル文字とイラストは長濱恵さんです。

もうひとつ今回の大きな売りとして、アイドルの写真集などでおなじみの予約特典帯を作りました。これも、保育向け楽譜集としては前例のない試みです。ファンの皆さんには今後何か新しいお楽しみもあるかもしれません(?)。

 
じゃんけんジョイ! ~Hoick CDブック2~(→Hoick
中川ひろたか・鈴木翼・ロケットくれよん・福田翔・gaagaaS
ソングブックカフェ
発売中
3000円+税(定価)
 

新しいCDブックの発売を記念したスペシャルコンサートが2018年7月1日(日)に横浜みなとみらいで開かれます。会場は写真の撮影場所である大さん橋周辺とは近く、ファンのみなさんには聖地巡りなんかもおすすめです。コンサートについて、詳しくはリンク先をご覧ください。

>>じゃんけんジョイ! 発売記念スペシャルコンサート IN 横浜みなとみらい
 
>>ちょっとだけ体操 〜Hoick CDブック〜|パラグラフ

絵本『おうち』

絵本『おうち』

金の星社の人気絵本シリーズ「はじめてのテツガク絵本」の第4弾『おうち』(中川ひろたか・作 岡本よしろう・絵)のデザインを担当しました。中川ひろたかさんが毎回お話を書き、長新太(『ないた』)、長谷川義史(『おこる』)、ミロコマチコ(『うそ』)と、そうそうたる顔ぶれの絵本画家が絵を手がけるこのシリーズ。今回の絵は、『ごはんのにおい』(おむすび舎)ほかで中川さんとコンビを組んでいる、岡本よしろうさんです。

帰れるおうち=家があるっていいことだなあとつくづく思います。そんな当たり前のようでいて実は不思議なことを、シンプルなコトバと絵本らしいリズムのある絵で、子どもたちに静かに問いかけてくる絵本です。


 
おうち(→金の星社
中川ひろたか/作 岡本よしろう/絵
金の星社
発売中
1300円+税(定価)

 
中川さん岡本さんコンビによる食の絵本『ごはんのにおい』の原画展が、神保町のブックハウスカフェで開かれています。

岡本よしろう「ごはんのにおい」(おむすび舎)絵本原画展
2018年5月12日[土]─5月31日[木]
ブックハウスカフェギャラリー (東京・神保町)

 
>>絵本『ごはんのにおい』|パラグラフ

これから行くかもしれない展覧会[2018・5/6〜]

これから行くかもしれない展覧会[2018・5/6〜]

ブルーノ・ムナーリ こどもの心をもちつづけるということ
2018年4月7日[土]―6月10日[日]
神奈川県立近代美術館 葉山(神奈川・逗子)
ブルーノ・ムナーリ日本最大の回顧展、ということで仕事が片付いたら行きます。

川内倫子「はじまりのひ」
2018年4月27日[金]―5月13日[日]
POST(東京・恵比寿)
子どもを授かったことで生まれた気づきと新しい世界。新作写真絵本からの展示。

田中智 ミニチュアワールド「Face to Face もっとそばに」
2018年4月27日[金]―5月27日[日]
ポーラミュージアムアネックス(東京・銀座)
全部ミニチュア! 12分の1スケールで作られたスイーツやジャム瓶など。

岡本よしろう『ごはんのにおい』(おむすび舎)絵本原画展
2018年5月12日[土]―5月31日[木]
ブックハウスカフェギャラリー(東京・神保町)
デザインを担当した食育絵本。その制作に迫るトークショーなども。

『わかったさんとおかしをつくろう!』原画展
2018年5月13日[日]―5月27日[日]
よもぎBOOKS(東京・三鷹)
デザインを担当した大人気シリーズのレシピ絵本。おかしまつりも開催。

ウィム・クロウエル グリッドに魅せられて
2018年5月14日[月]―6月23日[土]
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京・銀座)
ドットとグリットを使った表現が印象的なオランダのグラフィックデザイナーの展示。

ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』
2018年5月15日[火]―5月27日[日]
スパイラルガーデン(東京・表参道)
ギャラリーA4の巡回展。観た人から良かったと聞いたので今度は行きたい。

吉川静子「私の島は何処」
2018年5月17日[木]―5月27日[日]
アクシスギャラリー(東京・六本木)
確かに色彩などマックス・ビルの影響を感じる。構成主義の申し子。

わたしはマティスになりたかった 柚木沙弥郎
2018年5月18日[金]―6月3日[日]
ギャラリーTOM(東京・神泉)
日本民藝館で大回顧展開催中の、95歳現役の染物作家の新作。

マカロニほうれん荘展
2018年5月19日[土]―6月3日[日]
Animanga Zingaro(東京・中野)
まさかここにきてこんな展示が開かれるとは。グッズも販売。

井上佐由紀「私は初めてみた光を覚えていない」
2018年5月19日[土]―6月23日[土]
nap gallery[アーツ千代田3331](東京・末広町)
生後間もない赤ちゃんの目を写す、というコンセプトとその成り立ちに頷かされた。

1コマ漫画2人展
2018年5月20日[日]―6月3日[日]
カフェ シーモアグラス(東京・原宿)
はまのゆか&早川乃梨子がこどもをテーマに描く1コマ漫画。こどもが一番新鮮で面白い。

PHILIPPE WEISBECKER WORKS IN PROGRESS
2018年5月25日[金]―7月1日[日]
CLASKA Gallery & Shop “DO” 本店(東京・目黒)
同店では2年ぶりの展示。車のシリーズ良い。

諸星大二郎 原画展
2018年5月26日[土]―6月10日[日]
スパンアートギャラリー(東京・銀座)
山上たつひこ、江口寿史さんの展示が開かれたギャラリーでの展示。「文藝別冊」出版記念。

柚木沙弥郎展 ─紙に描かれた模様─
2018年5月29日[火]―6月3日[日]
スパイラルガーデン(東京・表参道)
伝統(民藝)とモダニズムがクロスする世界。95歳現役の最新作。グッズとポスター販売も。

高橋祐次 個展「幾何学的な空を見る」
2018年6月2日[土]―6月14日[木]
八犬堂ギャラリー(東京・池尻大橋)
独特な空間感覚と物語性を持った不思議な絵。場所は、世田谷ものづくり学校内。

網中いづる展「known unknown」
2018年6月4日[月]―6月16日[土]
ギャラリーハウスMAYA(東京・外苑前)
ポートレイトを描く。でも絵の世界観はやはり網中さんそのもの。

江口寿史 イラストレーション展[step]
2018年6月30日[土]―7月22日[日]
スパンアートギャラリー(東京・銀座)
前後期に分けて開かれる、新作作品集にちなんだ展示。大人気のサイン会も。

[メモ]

継続中の展示もあるので先月分もご覧ください。最近更新した記事を紹介します。

>>第10回harmonize吹奏楽チャリティーコンサート|パラグラフ

第10回を迎える吹奏楽チャリティーコンサートのチラシデザイン。この種のアマチュアによる吹奏楽コンサートは、それこそ各地で開かれていると思うんですが、たまに別の主催者のチラシやポスターを見る機会があると、見事に定型的で驚きます。harmonizeみたいなのはとても珍しい。最初から「チャリティーコンサート」を謳っている団体もほかに見たことがないです。そのスタンスを保ちながら10年続けてきたことの意味はとても大きいと思います。

>>感想:『クソ野郎と美しき世界』を観てきた|パラグラフ

記事中でも触れていますが、映画の印象を記したツイートに新しい地図/SMAPのファンの方々からの大きな反応があって、そのパワーに動かされて書いた感想です。GW中、とても多くの方に好意的に読んでいただけたようで、大変ありがたいことです。昔々ライター時代、THE BOOMのファンクラブの会報に寄稿していた時のような気持ちで、読者を意識しつつ自分のためにも書きました。また近々、ツイート等で何か補足できれば、と。とにかく2作目の制作決定は嬉しい!

GW中、小沢健二の武道館公演に2回行きました。最後に武道館でオザケンのライブを観たのは「レビュー96」(その前がVILLAGE)なので、22年ぶりのことです。今回はまさかの娘と妻と三人での参加。こんな未来、想像すらできなかった。いまの仕事が落ち着いたら、何か書き留めておこうと思います。

ほとんど毎日仕事だったGWの後半、娘が運動教室で転んでけっこうな怪我をしてしまい、その対応に追われました。GW中のライブやイベントで人々が盛り上がるのを横目に、畜生仕事め!という気持ちでしたが、その出来事を機にもっと大事なものを教えてもらったというか。仕事柄、普通の人よりはライブや美術展に行ったり情報収集を欠かさない方ですが、やはり情報としていちばん新鮮で面白くて目が離せないのは、自分の娘の行動や発言、作り出すもの全てです。

ドラマを見る習慣のほとんどない自分が欠かさず見ている「ルパパト」(快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー)と「コンフィデンスマンJP」。どちらも「盗むこと」「悪者の正義」に関係している。毎回よく工夫されていて、わかりやすくて、見飽きることがない。

デザインの仕事でいっぱいになってしまうと自分の創作のことが全く進められない、といういつもの問題を今度こそクリアしていかなければ。
 
>>これから行くかもしれない展覧会[2018・4~]

感想:『クソ野郎と美しき世界』を観てきた


image by kinofilms.

『クソ野郎と美しき世界』は、新しい地図(稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾)の第一回製作作品として発足当初からアナウンスされていた映画だった。しかし上映期間が2週間と短い中、自分の観測範囲でひそかに参考にしている映画好きの人々も観ていないようで、良い反応も良くない反応も目にする機会がないまま、三人のTwitterによるともうそろそろ終わりか? 地上波ではまず見られないだろうと考えると、いましかない!……とりあえず劇場へ、と思いスケジュールを調べると、渋谷〜新宿など主要地区の多くが満席だった中、夕方終了のちょうどいい時間の空席有りの回をTOHOシネマズ日本橋で見つけ、仕事を片付けてギリギリなんとか間に合うことができた。キリのいい翌日金曜日までかと思ったら、なんとその日が最終日だったという…。

 
感想を始める前にひとつだけ……鑑賞終了直後の感想ツイートに、ファンの方から多くのRTやいいねを頂いた。映画関係者でもマニアでもなく、特別大したことが言えてるわけでもない、一般の人の素朴な評価にそのような反応を頂けた理由について、浮かれるでもなくただ冷静に考えてみると、まさにその「一般の人の素朴な評価」こそ、ファンの人々が真に求めていたものだったのではないか、と。マスコミ向け試写会も無し、期間限定上映、と明確にコアなファンを想定したプロモーション展開のおかげで、ファン以外の普通の観客の声がなかなか伝わりにくい状況にあったのは事実だと思う。
 

 
では一般の人の自分はこの映画を観てどう感じたか。結論から先に言うと、『クソ野郎と美しき世界』は彼らの熱烈なファンが満足して終わりの閉じられた作品では決してなかったし、長い間エンターテインメントの第一線で活躍してきた彼らにふさわしい、しかも非常に新しい形の娯楽映画になっていた、と観終わって数日経ったいまも強く実感している。
 

「ピアニストを撃つな!」と、B級映画の記憶

月に何本も新作を観に行くわけでもないごく普通の映画好きだけど、父方の祖父が映画の看板屋を営んでいた関係で、幼い頃から東宝・東映系の邦画の新作(怪獣モノに始まって、大人が観るような娯楽映画や角川映画など)を里帰りのたびにタダで観ることができた。そこから遡って60〜70年代の日本映画にも少し触れたりして、邦画への愛情や記憶が身体の奥に染み付いているようなところはあるかもしれない。
 
昔の日本映画は、いい意味でのB級テイストが漂っていたり、アイドル映画がその後第一線で活躍する監督の実験場になっていたりと、とても自由だった。園子温監督のEp1「ピアニストを撃つな!」には、古き良き時代の活劇(アクション)映画のB級感覚やバッドテイストがぎっしり詰まっていて、冒頭数分からいきなり持って行かれた。園作品のトレードマークである「疾走」も健在だった。
 
馬場ふみか、スプツニ子などのキャスティングも絶妙で(とくに馬場ふみかはこれで完全に化けた)、実在の彼女たちじゃなく、ちゃんと物語の中の奇妙な人物としてそこにいる。浅野忠信や満島真之介の起用も含め、ありがちなキャスティングに囚われない新鮮さがあって、その中で吾郎ちゃんも安心してキレイ(でマッド)な貴公子になりきっていたと思う。
 
それと全編通して感じたのが、セリフが音響的にとてもクリア。音楽と会話にもメリハリがあって、そのぶん人と人との関わりがより強くこちらに迫ってくるように感じられた。
 

「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」と、非現実のような現実

「新しい詩」を除く3作では、このEp2「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」が最も好みだった。現実と非現実がごちゃまぜになった少し不思議なファンタジー。香取慎吾の役どころも本人(慎吾ちゃん)。ここでもモデル出身の新人・中島セナ(撮影当時11歳)ツイートより)の起用がこれ以上ないくらいハマっていた。この年齢差のコラボから、随分昔の「沙粧妙子−最後の事件−」での、ブレイク直前の広末涼子と慎吾くんの共演を思い出したり(曖昧な記憶…)。尾乃崎紀世彦のカタストロフの描写、慎吾くんの元おっかけだった刑事とか、ユーモアと恐怖が常に隣り合わせの面白さに引き込まれた。
 

 
3作の中では、ここまでのSMAPをめぐる騒動を最も直接的に扱っている物語だと思う。「歌喰い」という設定自体、もう彼らをずっと苦しめていた状況そのものだし。きっとぼくが気づかないだけで、沢山の隠されたメッセージをそこに読み取ることが可能なんだと思う。でもその種の謎解きはあったとしても、物語の前面に出てきて普通の観客を置いてけぼりにするようなものでは決してなかったはず。あの悲惨だった状況をこうしてフィクションや謎解きのようなネタとして扱えること自体、彼らの意識が既にミライへススんでいることの現れに違いない。
 

「光へ、航る」と、希望の光

実は最初、このEp3「光へ、航る」が始まってしばらくは不快な気持ちが続いていた 🙂 暴力描写がどうしても苦手で…。しかしその第一印象に反して、草彅くんのちょっとした表情とか、東北の田園地帯とアメ車のミスマッチ、尾野真千子扮する妻と草彅くんの夫婦の掛け合いのバカっぽさとか、何でもない場面が無意識のうちに、心の内側に次々と積み重なっていくのを感じていた。
 
そして、積み重なった自分でも何だかわからない心の堆積物が、最後の方のある場面で一気にどしゃーーっと音を立てて崩れ落ちる。別のツイートでも示したように、この場面は個人的なエピソードと強く結びついていた。ぼくが将来この世でやり残してしまうかもしれない無念な思いも、いつか自分の娘がきっとあんなふうにぼくのいない未来の世界へと繋いでくれるのだ、という希望と安心感を(剛速球で)受け取って、胸の奥が詰まりそうになってしまった。
 
この希望や安心感は、おそらく自分のように特別なエピソードを持たない人のところにも、草彅くんの渾身の演技と、太田光監督の才能あふれる画作りとストーリーテリングの力によって、同じように届いたのではないかと信じている。
 

「新しい詩」と、新しい映画の形

この映画の感想を記すにあたり、TBSラジオのムービーウォッチメンの宇多丸さんの録音を聞いてみた。辛口と言いながら、すごく細かいところまで丁寧に掬ってくれているなあという印象を持ちつつ、その中で宇多丸さんが《映画として》というワードを連発しているのが気になった。(『ペンタゴン・ペーパーズ』と同じ土俵で勝負するような)映画作品としてはまだまだ不足が感じられる、というニュアンスだったと解釈している。けど、誤解を恐れずに言うと、『クソ野郎と美しき世界』は、一見映画の形をしているけれども、従来の映画とは少し違った場所にいる作品だというのが、ぼくの認識だった。
 
『クソ野郎と美しき世界』には、映画や、地上波ドラマ、CM、ミュージックビデオといった別々の表現の要素が、渾然一体となって接ぎ木されている。それらの表現は全て、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の三人がこれまで「演じる主体」として取り組んできた対象だった。それらを分け隔てたり、映画のフォーマットに行儀よく押し込めたりするのではなく、ひとつの作品という箱の中にごちゃまぜに放り込んだところが、この映画の「映画として」の枠に収まらない、既存の言葉では形容できない新しさであり面白さなのではないか、と。本当にこの映画を表す専用の言葉がほしい。心からそう思った。
 
先ほど「接ぎ木」という言葉を使ったが、それらの表現が最終的に接ぎ木される「元」でありゴールが、Ep4「新しい詩」で示されたように「音楽」「歌」「ショー」であったということが、今後の彼らにとってもきっと大きな意味を持つようになるだろうと思います。
 

 
新しい地図の三人のそれぞれの活躍と、彼らを支えるチームが起死回生の場所から仕掛けたプロモーションやブランディング戦略に、勇気とヒントをもらって、自分の絵を使ったとても小さなプロジェクトを始めようと思っているところです。でも、おそらくそこで絶対に真似できないと思うのは、彼らを支える熱心な沢山のファンの応援の力。それを思わぬ形で目の当たりにしなかったなら、GW進行の最中にこのような長い感想は書けなかったと思います。……ということで、また逢う日まで、逢える時まで。