下山ワタル DESIGN ARCHIVE for Kids

下山ワタル DESIGN ARCHIVE for Kids

フリーランス以降に関わった、絵本・児童書の仕事をまとめたポートフォリオを作成しました。
PDFで、どなたでもご覧いただけます。
(PC/Mac/タブレット推奨。スマートフォンではピンチイン・アウトでご覧ください)
>>音楽・ブランディングの仕事も含めてセレクトしたポートフォリオ第1弾はこちら

下山ワタル DESIGN ARCHIVE for Kids[PDF|7MB]

44P(A4サイズ)

*出力をファイルに収めたものも用意しています。
法人・編集部等でご入用の方は、Contactよりお知らせください。

 

収録されている仕事

絵本──
矢野顕子/作 上田三根子/絵 『わたしはラーラ』(1999)、『はたらくラーラ』(2000)
中川ひろたか 「すごいぞ!ぼくらのからだ」シリーズ(2013〜2014)
あきやまただし/作・絵 『いしをつんだおとこ』(2014)
こくぼみゆき・作 しもだいらあきのり・絵 下山ワタル・デザイン 『よめる よめる もじの えほん』(2015)
中川ひろたか/文 加藤休ミ/絵 『いのちのたべもの』(2017)
池田朗子・作 福田利之・絵 『ねずみのシーモア』(2019)
はまのゆか/作・絵 『まめちゃんとまじょ』(2020)
ほか 全20作(シリーズ含む) 【続きを読む】

下山ワタル DESIGN ARCHIVE[第3版]

下山ワタル DESIGN ARCHIVE[第3版]

1990年代末から近年までの仕事を、ジャンル別にセレクトしたポートフォリオを公開しました。
PDFで、どなたでもご覧いただけます。
(PC/Mac/タブレット推奨。スマートフォンではピンチイン・アウトでご覧ください)
*スマートフォン用に、PDFの章扉テキストとWorksへのリンクをまとめたページを作りました。
>>下山ワタル DESIGN ARCHIVE [TXT]

[2020/03/04追記]

最近の仕事を追加し、構成の一部を変更した第3版をリリースしました。

下山ワタル DESIGN ARCHIVE[PDF|15MB]

縦型 ── 44P(A4サイズ)

for SMARTPHONE⇒ 下山ワタル DESIGN ARCHIVE [TXT]

*出力をファイルに収めたものも用意しています。
法人・編集部等でご入用の方は、Contactよりお知らせください。

 

収録されている仕事

中村一義/矢野顕子/黒沢健一/中川ひろたか/harmonize/生活クラブ/ケロポンズ etc…
 

コメント

ライター/編集見習いとして音楽プロダクションに入社し、
ふと気が付くとグラフィックデザイナーになっていました。
世の中に、初志を貫いてひとつの道を極める人と、
ふらふらとさまよいながら最初に思っていたのと違う道に進む人、
2種類いるとしたら自分は明らかに後者でした。
【続きを読む】

生まれつきの強運を失った話

生まれつきの強運を失った話

生まれた時からものすごい強運の持ち主だったと思う。

ゼロ、いや、マイナスかもしれない地点から出発し、富士山にたとえれば2合目か3合目くらい、下手したら足を踏み出した途端に野垂れ死んでもおかしくはない人生のはずだった。しかし、こうして後ろを振り返ると、頂上は無理でも6〜7合目の間あたりまでは来れている。そこまで登ることができたのは自分の力ではなく周囲の引き立てのおかげ……というのは大人になった今だからこそ言える台詞であり、本当は自分が持つ並外れた強運のおかげだと最近までずっと思ってきた。

挫折して夢を諦めたりする経験がほとんどなかった。願望や目標は(大それたものでなければ)必ず実現した。もちろん進むべき道の先に壁が大きく立ちはだかり、その前で立ち往生することは度々あった。しかしそれでも諦めなければ先に進むことができた。道は常に一本だった。

(*このような感覚は男性に特有のことなのかもしれない、と最近の報道を見て時々考えるようになった。社会進出に際して障壁がほとんどなかった男性の影で、女性たちは夢を諦めなければならない立場に長年置かれてきた。そのことを男性の一人として申し訳なく思う。)
 

高2の時点で学年順位400人中300人以下のレベルから、「不合格だったら諦めろ。浪人は許さない」と親から宣告されて単願で受験した地元の国立大学に、クラスで2人だけが合格。その一人が自分だった。やる気を失って願書を出していなかったのに担任が気付いて、締切ぎりぎりになって申請してくれて受験可能になったという顛末まであった(結局卒業はせず別の道を選んだので、最終学歴は流石大学中退)。

ゼロから独力で学んだデザインの仕事はそれなりに苦労も多かったが、営業しなくても仕事が途切れることはなかった。一つの収入の道が閉ざされそうになると、決まって誰かが現れて新しい仕事を授けてくれた。それが次の、まったく違う仕事につながることもあった。そのたびに未知のスキルが開発されていった。そうやって出会ってくれた人々には、最近の言い方を使わせてもらうならば、本当に感謝しかなかった。
 

運気の流れがはっきりと変わったのは、2017年頃からだった。他者を巻き込みひそかに進めようとしていたプロジェクトが頓挫した。自分が属していたチームから理不尽なかたちで外された。ずっと仕事を続けていけると信じていた仲間が突然2人もこの世を去った。甘い言葉で誘われた仕事が地獄だった。未払金。パワハラ。それまで温かく包まれていた強運の繭から突然放り出されて、寒空の中を自力で歩んでいかなくてはならなかった。2017年から2019年の2月まで、挫折と悔しさの連続だった。

その流れの境目に何があったか、もちろんよく覚えている。2016年の12月、闘病の末、母が帰らぬ人となった。悲しみはいつまでも尾を引いた。

外に出て何か新しいことを起こそうとすると悪いことばかりが身に起こる。どこにも出かけず家に籠もっている方がずっとましだった。コロナ禍の前兆みたいな話だが、おそらくそれがこの状況下における最善の選択だった。

相次ぐトラブルに見舞われた2018年の夏に、よりによって10年近く暮らした家から引っ越す決意をした。定収入が期待できそうな新しい仕事が見つかったのがきっかけだったが、肝心のその仕事は年内のうちに消えてしまった。

家賃を稼ぎ出すのもままならない状況が続く一方で、新しい家にいると不思議と気持ちがくつろいだ。外は相変わらず戦場のようだったが、家の中と窓から見える風景だけはいつも静かで居心地が良かった。それまでのマンションにはなかった、緑と風と虫と鳥の声、そして四方の窓から差し込んでくる十分な日当たりがここにはある。石井ゆかりさんの占いに、蟹座は硬い甲羅で自らを守る、というようなフレーズを見かけたが、まさにこの家が自分にとっての甲羅だった。

ここに引っ越してきてから、仕事よりも心血を注いだのは、郷里に残された父さんのお世話だった。幸い健康で車にも乗れて、最近ではLINEと電話で十分なコミュニケーションも取れるようになった。父さんは何かにつけ「母さんがおれを守ってくれる」と口にする。一時は勘当同然で互いに口を利くこともなかった父といろいろ語り合える仲までになったのは、まぎれもなく母さんのおかげだと思う。家を大事にすることによって守られるこの不思議な感覚は、数年前までは確実に自分の中になかったものだ。

生まれてからずっと自分を支えてきた謎の強運は消えてなくなり、仕事でもなんでも、ただ黙って口を開けているだけでは得られなくなってしまった。最初はそのことに慣れず苦労も大きかったが、あの時から担当の神様が母さんに変わったのだ、と思うようになった。全能感に包まれた子どもの時代を卒業し、ようやく大人になれたのかもしれない。

これから行くかもしれない展覧会・休止のお知らせ

これから行くかもしれない展覧会・休止のお知らせ

今年に入ってから断続的な投稿にとどまっていた「これから行くかもしれない展覧会」をしばらくお休みします。

いちばん大きな理由は、ひそかに進めてきた、自分のイラスト作品を使ったプロジェクトの第一歩がようやく見えてきたからです。インプットについて考えるより、いまはアウトプットに多くの力を注ごうと思います。

新型コロナ以降の状況も影響しています。家で作業をして過ごす時間が増えた一方、以前のように計画を立ててまで積極的に外に出かけるモードではなくなりました。

といいつつ、今後の活動のための勉強とリサーチも兼ねて、展示を観ること自体への欲求は衰えていません(ただ計画的に観るのが難しいだけ)。行った展示は引き続き、#gbiyori のハッシュタグでTwitter / Twilogに残していきます。

新しいプロジェクトは、今年の秋冬リリースを目標に準備を進めています。

──プロジェクトについて(しなもんレトロスペクティブ -Preview- )| note
 
 

 

今年に入ってからの更新:
>>これから行くかもしれない展覧会[2020・1〜]
>>これから行くかもしれない展覧会[2020・2~]
>>コロナがなければ行ってた(かもしれない)展覧会[2020・3/4〜]
>>これから行くかもしれない展覧会[2020・7~]
>>これから行くかもしれない展覧会[2020・8~]

おむすび舎の絵本PVとコロナ時代の絵本プロモーション

おむすび舎の絵本PVとコロナ時代の絵本プロモーション

ブックデザインを担当した、食や健康がテーマの台湾の絵本『やさいだいすきだワニ』おむすび舎)が7月に発売されました。今回、ブックデザインの流れで、絵本のプロモーションビデオとして1分20秒ほどの短いティーザー動画を作りました。版元さんもとても好評!と喜んでくれてます。
 
このPVは、なんと人生で初めて作った動画です。にわか動画職人と言っていいレベルの新米ですが、絵本に関わらせていただく機会の多いデザイナーとして、既存の絵本にまつわるプロモーションビデオを見て感じたことや、音楽関係の仕事に関わった経験、映画の予告編への愛など、様々な蓄積を反映させながら作ってみました。そのへんの話をちょっとしてみたいと思います。

 

動画編集ソフトはKeynote

こう話すと同業の方から「えっ!」と驚かれます。Keynoteは、マイクロソフトのPowerPoint(パワポ)と同様の機能を持つAppleのプレゼンテーションツールで、動画制作が主目的のソフトではありません。
 
しかしKeynoteにはスピーチやプレゼン用途に留まらない、動画制作にも役立つ様々なアクションがあらかじめ用意されており、それらを有効に使って動画を作ることも可能なのです(書き出しも可)。インターフェイスは直感的かつシンプルで、ぼくが普段使っているAdobe Illustratorよりも簡単で扱いやすい。もうデザインも全部Keynoteでやりたいくらいです。
 
このことに気づいたのは、以前仕事をしていた生協でデザイン講座を依頼され、初めてKeynoteに触れたのがきっかけでした。参考書を見なくてもソフトウェアと向き合うだけで、デザイン的にも洗練されたスライドが作れてしまうことへの驚き。ちなみにこれまで一般的な動画編集ソフト(Premiereなど)もパワポも触ったことがありませんでした。
 

近年増えてきた絵本のPVについて思うこと

絵本の宣伝を目的とした公式プロモーションビデオが、ここ1〜2年で増えてきました。朗読主体の簡素な動画から、アニメや映像を取り入れた本格的なものまで様々です。絵本の内容を見せて購買に結びつけたい意図が伝わる反面、中には見ただけで満足して買う気が失せてしまうPVもあるね、というおむすび舎の版元との対話が、今回の動画のためのヒントになりました。

○充実させすぎない。全てを公開しない。続きは絵本で。
○できるだけ短く。YoutubeでもSNSでも気軽に見られる長さ。
○絵本としてのフォーマットを尊重し、余計な要素を加えない。
○絵本のデザインに使われた素材だけで簡単に作れる。

上記のことに留意しました。

ド派手なアニメーションや映像を駆使した本格的なビデオは作れないし、カメラ撮影のように素材をゼロから自作するのも無理。できないことばかりですが、逆に絵本という静かな読み物のプロモーションという観点で考えた時、絵本の素材から発想できるこのくらいのシンプルさでちょうどいいんじゃないかな、と思ったのです。

つまりは、ぼくの普段のデザインと同じ考え方です(Good design is as little design as possible)。
 

つんく♂絵本の朗読プロモーションが成功した理由

コロナ禍で予定された出版が次々と延期となった中、つんく♂初の絵本『ねぇ、ママ?僕のお願い!』が、刊行に先駆けて全編朗読動画を無料公開。続いて公開された映像オンリーの動画に、モーニング娘。の現役・OBほかが次々と朗読音声をつけて参加し、大きな話題となりました。くしくも絵本業界では、YouTubeなどの違法な絵本読み聞かせ動画への声明が出されたばかりのタイミングでした。
 
音楽の世界ではフルサイズのMVが公開されるのが一般的です。これは音楽の市場規模がとても大きく、CDなどのパッケージ、サブスクリプション、ライブ、YouTube再生など様々な形での回収が可能だからです。これに対して絵本はマーケットが小さいため、フリーミアムが成立しにくい。YouTubeというメディアの性質上、フル読み聞かせ動画で人は満足し「無料でいいや」で終わってしまいがちなのです。
 
つんく♂絵本の朗読プロモーションが成功したのは、つんく♂自身のネームバリューが通常の絵本作家のそれを飛び越えて絶大だったからです。もし仮にこの絵本が売れなくても、その評判(評価経済的な)はつんく♂個人の活動に反映されていきます。あと、版元の双葉社が絵本専門出版社ではなかったのもフットワークの面で大きかったと思います。
 
絵本の内容をフル公開してもOKなのは、作家本人やタレントなど特別な人による朗読の場合。特別な人が朗読する絵本なら買ってみようという気持ちになれそうです。
 

コロナ時代の絵本プロモーションについて

コロナウイルスの影響で足を使った営業やイベントへの集客が難しくなる一方で、オンライン〜通販により出版業界全体の売上が激増している、なんて話も耳にします。今回の『やさいだいすきだワニ』では、Zoomを使った業界初の試みといわれるオンラインリモートサイン会も開かれました。
 
リアル→オンラインへと向かう流れの中で、従来のチラシのような手に取ってもらう宣伝物の代わりに、YouTubeやSNSに乗せて届ける軽めのプロモーションビデオってけっこうありなんじゃないかと思ってます。デザインが終わった後、同じ素材を生かしてすぐに作れるのも簡単かつスピーディーですし。


『やさいだいすきだワニ』PVのための絵コンテ
 

現在、おむすび舎の絵本を題材にしたプロモーションビデオの第2弾を作ってます。絵本ごとに必要な要素だけをピックアップして、流れを考えながら絵コンテを作り、1分30秒前後の映像にまとめていく作業はとても面白いです。
 
ここ最近は絵本のデザインだけでなく、POPや試供品などのプロモーションプランまで編集者や著者と一緒に考えるパターンが増えています。本を入稿してお役御免よりも、売れるためのお手伝いができたほうがうれしいし、そういう予算や時間があらかじめ確保されていたりしたら、仕事としても余計にやりがいが出ます。そんな案件があったらぜひ声をかけていただきたいです。
 
>>絵本『やさいだいすきだワニ』|パラグラフ

これから行くかもしれない展覧会[2020・8〜]

これから行くかもしれない展覧会[2020・8〜]

ピーター・ドイグ展
2020年2月26日[水]―10月11日[日]
東京国立近代美術館(東京・竹橋)
観たかった展示、延期開催でよかった。音声ガイドはのんが担当。

開校100年  きたれ、バウハウス ─造形教育の基礎 *チケット事前購入
2020年7月17日[金]―9月6日[日]
東京ステーションギャラリー(東京・東京)
学びの入口的な展示。100年にちなんだ関連イベントも各所で開催(bauhaus100 japan)。

shop NRCK WITH FRIENDS 2020
2020年8月1日[土]―8月10日[月・祝]
フラスコ(東京・神楽坂)
北村範史さんの恒例の期間限定ショップ&展示。オンラインでも販売。

>>NRCK powered by BASE
>>PROTOPIA Tシャツ|北村 範史のblog

佐々木 俊 “SUPER DUPER PAPER DRIVER”
2020年8月5日[水]―8月31日[月]
代官山蔦屋書店(東京・代官山)
TOKYO HEALTH CLUB、最果タヒなどを手掛けるデザイナーの個展。

>>印刷+箔の特殊加工で“流れるペンキ”を巧みに表現したブックジャケット|ブレーン

ムッチーズとなかよし展 *要事前予約
2020年8月6日[木]―8月18日[火]
ムッチーズカフェ(東京・高円寺)
移転に付き現店舗でのラスト展。デザインに関わったはまのゆかさん『まめちゃんとまじょ』原画も。

2020イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
2020年8月22日[土]―9月27日[日]
板橋区立美術館(東京・西高島平)
今年はイベント・ワークショップをオンラインで開催。

竹尾見本帖 at Itoya 「紙のある100のシーン 大伴亮介のワンシーン画」
2020年8月26日[水]―10月28日[水]
竹尾見本帖 at Itoya(東京・銀座)
ワンシーン画、うまいな〜と思う。作品集・図録も販売。

>>第3回 全裸メガネに漂う違和感。|人生のワンシーンを、 ただ、切り取ってるだけ。|大伴亮介|ほぼ日刊イトイ新聞

[メモ]

自由にあちこち出かける心境にはまだなれない。積極的な自粛モードだった4月5月より、感染者数だけ見ればさらにひどい状況に達している。

ただ、マスクをして、この時間帯・この経路でこの場所なら電車移動も大丈夫そう、という安心安全ルートができつつある。警戒心を完全に解くにはもう少し時間がかかりそうだけど、その抜け道を使って可能性を少しずつ広げていきたいと思っています。

>>これから行くかもしれない展覧会[2020・7~]

Hoickリモートサービスとセミナーの今後

Hoickリモートサービスとセミナーの今後

Hoickのリモートサービス(おうちコンサート、おうちセミナー、リモート園ライブ、リモート園内研修)の立ち上げ(2020年5〜6月にサービスイン)に際し、ロゴデザインとバナーのごく一部をお手伝いしました。

時間もなく、求めに応じて既存の仮デザインをフォントなどを使って置き換えただけの簡単な仕事ですが、仕事のご報告、というよりは、コロナ禍突入直後の記録として書き留めておきたいと思います。
 


 
児童書・保育関係に特化したECサイトのHoickと、その活動主体であるソングブックカフェが、新型コロナウイルス感染症のあおりをモロに受け、それまで5組の所属アーティストが全国各地で行っていたコンサート、園ライブ、セミナーなどが一切開けなくなってしまいました。

7月のコンサートと、保育園の先生を対象に開かれる毎年夏のセミナーでの販売を目指して進行していたCDブックの第4弾も、その影響により4月の段階で制作が中断してしまいました(7月現在も再開の目処が立っていません)。

所属する5組がそれぞれに活動停止を余儀なくされることになり、このままでは危ういのではないかと個人的には受け止めました。一事務所レベルの話にとどまらず、長年お世話になってきた保育音楽業界全体が崩れてしまうとしたら、それは非常にまずいことだ、と。

 
CDブックの最初の打ち合わせがあった2月(新型コロナが猛威を振い始める直前)に、ソングブックカフェ社長の中川海太郎さんから、HoickのECサイトとしての業態も今後変えていきたい、という意向を伺っていて、その時にもオンラインセミナー(オンラインサロン)のことが少し話題に出ていました。

春休みに先駆けて子どもたちの通う学校の休校が決まった3月中旬から、うちの娘が昨年末から受講し始めた探究学舎という塾が、YouTubeを使ったリアルタイムの授業を2週間毎日無料で公開しました。探究学舎は早くからZoomを使ったオンライン授業を実現しており、そのしくみはコロナ禍以降にもそのまま展開可能なレベルでした。

同じ頃、家で今後の保育音楽業界についての話題になった時、妻がぼくもまだ知らない、探究学舎をはじめとする、オンラインでも従来のように収益化が可能になりそうな事例をいろいろ教えてくれました。Peatixなどのチケットサービスを使ったチケットの販売、Zoomを使った参加型オンライン配信のしくみ、Vimeoによる動画販売・レンタルサービス、etc…。

ぼくも古巣の音楽業界での、Zoomによるリアルタイムオンライン配信の試みに早くから注目していました(とくに高野寛さんのnoteで紹介されていた、ミュージシャンの実務レベルに即した豆知識など)。

それらをまとめて、困っている保育音楽業界の仲間たちに教えよう、ということになりました。
 

4月に、ひとまずHoick/ソングブックカフェ社長の中川海太郎さんに「あそびうた関連コンサート・講習会のオンライン化&収益化」というタイトルで投げかけたところ、非常に好反応が返ってきました。社長自身がWEB関連のエンジニアリングを得意とし開発能力もあるソングブックカフェが、こちらが投げかけた知識を100%以上に理解してサービス展開できる会社だったことも幸いしました。チケット販売もPeatixやZaikoに頼らず、Hoickで培った自前のシステムと会員網をそのまま転用できるとのことでした。
 

サービスマトリックスと呼ばれるバナー(一番上)にもあるとおり、「おうちセミナー」「おうちコンサート」の2つが、家庭や個人レベルでの(現状あちこちで普及している)Zoomを使ったオンライン双方向配信サービス。「リモート園ライブ」「リモート園内研修」の2つが、既存の人が集まるセミナーと「おうち」の中間的存在の、園のテレビを利用した保育園単位の双方向配信となります。このうち「おうちセミナー」が高い伸びを示しているそうです。結果的に、ソングブックカフェはこの事業で大きく息を吹き返すことに成功したみたいでホッとしています。
 

これまで保育園の先生を対象としたセミナー(保育音楽系のアーティストが出演して、最新のCDブックからあそびうたを披露する場)や講演会は、複数の出版社が主催し公営の(1000人収容以上の)ホールを借りて、毎年夏休みシーズンに大がかりな形で開催されるのが常でした。そこでの物販(新刊やCDのサイン会を伴う直販)が、参加アーティストや各出版社・レコードメーカーにとっての大きな収入源となっていました。新型コロナウイルスはこれまで当たり前だった夏の風景を一変させてしまったのです。

どこかが勝ち残るとか、勝ち負けの話ではなく、できるだけ多くの人があぶれることなく一緒に、──ロックンロールという音楽が限られた人たちに独占されることなく、大勢の人が真似した結果世界中に広まっていったのと同じように──この過酷な状況をみんなで乗り越えてほしいと願っています。
 

ぼくは90年代中盤からの約10年間、音楽プロダクションに勤務し、音楽の世界における収益とその変化を間近でずっと見てきました。また、とくに2010年代以降は、ハロプロをはじめとするアイドルに継続的にハマっています。そういう方面での知識は、とくに出版の仕事には役立つことが多いのではないかと日頃から感じていました。

業界全体を覆う不況、コピープロテクト、電子形式での配信、ディストリビューション(取次)の変化、プロモーション、ファンダムを育てること……出版業界がここ数年の間直面している課題は、(ちょうど自分が働いていた頃の)音楽業界が直面し乗り越えてきた問題と重なっています。音楽と出版には15年くらいの時差がある、というのがぼくの持論です。もちろん音楽と出版(とくに子どもを対象とする世界)では市場規模が大きく異なり、単純にノウハウをそのまま持ってくれば済む話ではないことは付け加えておきます。

そういった知識を提供する行為は、デザインの仕事に際して特別にクレジットされたりするものではありませんが、必要に応じてこれからも惜しみなく与えていけたらと考えています。