絵本『つくろう!ピザ』

絵本『つくろう!ピザ』

ピザづくりの楽しさを表現した、イラストレーター秋永悠さんの初めての絵本『つくろう!ピザ』のデザインを担当しました。ご覧のとおり「丸い」形の絵本です。
 
つくろう!ピザ
秋永 悠/作・絵
世界文化社
2022年4月29日発売
定価(税込):1430円(本体1300円)
 


  
丸いページをめくるたび、小さなコックさんがピザ生地を塗り、コーンや玉ねぎなどいろんな材料を上にのせていく。そして最後に、熱々のおいしいピザができあがり、というお話です。実際に親子でピザを作ったり、紙を材料の形に切ってピザごっこがしたくなるような絵本です。ピザの素材の絵は、基本的に切り紙を使ったコラージュで作られていて、ページをめくるごとに素材が重なっていく表現が素敵です。
  

今回の「丸い絵本」はぼくの発案ではなく、秋永さんの「丸い判型でピザづくりの過程を見せたい」というアイデアを、担当編集者が各所に掛け合って最終的に実現にこぎつけたものでした。小さなお子さんや親子が、園や家庭でピザごっこをして楽しんでいる様子を思い浮かべ、ほんの少し切り紙や工作をイメージさせるようなタイトルを、秋永さんの手書き文字を借りて作りました。
 
秋永さん自身が既にブルーナや原田治のようなデザイン感覚を持ったイラストレーターなので、本文のデザインでは過度の主張を控え、代わりに読者の立場でこの本がさらに面白くなるようなアイデアをいくつか提供しました。この仕事をしていていつも思うのは、ブックデザインにおいてデザイナーは「2人目の読者」だということです(1人目の読者は編集者)。保守性と革新性と、両方の目を持ったひとりの読者として、楽しみながらユニークな絵本に関わることができて満足しています。
 

最後に、秋永悠さんご本人について。秋永さんとは2017年の終わり頃に、Instagramがきっかけで知り合いました。ぼくは、当時始めたばかりのInstagramで、イラストレーター時代に描いた作品を毎日投稿するかたわら、国内外のセンスあるイラストレーター/アーティストを片っ端からフォローしていました(>>instagramアカウントのお知らせ|パラグラフ)。秋永さんは、新しいセンスを感じさせる世界のイラストレーターの中のひとりでした。ちょうど個展が開かれるということで会いに行き、昔通っていたパレットクラブの卒業生であること、ぼくが以前デザインに関わっていた中村一義など、90年代後半のロックバンドやアーティストが好き、といった話で盛り上がりました。
 
仕事をご一緒できたらと願いつつもなかなかチャンスがなく、昨年(2021)、鈴木出版から刊行された保育書『新装版・保育記録のとり方・生かし方』で、ようやくその夢が実現したところでした。今回は初めて出す絵本のデザインを、ということでご指名いただきました。
 
秋永さんは絵が魅力的なだけでなく、展示などでも独特のサービス感覚やプレゼンテーション能力を発揮する作家さんなので、今後開かれる絵本出版にまつわるイベントがとても楽しみです。情報が入ったら、こちらでもご紹介します。 
 

>>つくろう!ピザ|PR TIMES

絵本『デンタウン』

絵本『デンタウン』

はみがきを題材にした、中垣ゆたかさんの新刊絵本(ユーモアせいかつ絵本シリーズ)『デンタウン』のデザインを担当しました。

デンタウン
中垣ゆたか/作・絵
世界文化社
2022年4月27日発売
定価(税込):1320円(本体1200円)
 


 

シリーズ第1弾は、ウイルスを防ぐための「てあらい」の大切さを教える『あらいくん』(中川ひろたか・文 Serico・絵)で、第2弾の今作は「はみがき」がテーマとなります。

 
簡単なあらすじを紹介すると、真っ白な大地に降り立った家族が、その土地に家を作り、やがて家々は多くのひとびとが暮らす「まち」(タウン)へと進化していきます。その白い土地やまちの正体とは??? そのことに気付いた時、(ぼく自身がそうだったように)きっと背筋に寒気が走ることでしょう。そして、すぐにはみがきがしたくなるはず。はみがきや、いわゆるしつけがテーマの絵本の中でも、この本はとても斬新だと思いました。他の人、とくに子どもたちがこの絵本を読んでどういう反応を示すか、すごく興味があります。

 
絵本作家中垣ゆたかさんの、たくさんの人を細かく描き込む絵の面白さが、今回怖いくらいハマっています。いつか仕事してみたいと思っていた作家さんだったので、今回願いがかなって嬉しかったです。
 

まちがどんどん広がっていく様子に、子どもたちも大好きな「マインクラフト」みたいなゲームの世界に通じるものを感じて、タイトル文字はゲームっぽいロゴを意識して作りました。コンパクトな絵本のサイズに大きな広がりを持たせるような文字の配置とか、めくったときの見返しの色、カバーの特色(緑色)、背の色など、仕上がりも気に入ってます。

 
巻末の「はの みがきかた」など、先生の監修によるお役立ち情報もきちんと押さえられていて、広くおすすめできる絵本です。
 

>>デンタウン|PR TIMES

下山ワタル DESIGN ARCHIVE/for Kids

下山ワタル DESIGN ARCHIVE/for Kids

近年までの代表的な仕事をジャンル別にセレクトしたポートフォリオを用意しました。
音楽プロダクションでのデザイナー時代から約20年の仕事の変遷をまとめた[総合版]と、フリーランスとして独立以降の絵本や子ども向けの仕事を中心にまとめた[for Kids]の2種類があります。
下記からPDFで直接ダウンロードいただけます。

下山ワタル DESIGN ARCHIVE/総合
https://paragraph.jp/pdf/ws-design-archive-v3-1.pdf
DESIGN ARCHIVE for Kids/絵本・児童書
https://paragraph.jp/pdf/ws-design-for-kids-ver2.pdf

[for SMARTPHONE]
総合版と同じ構成で、章扉テキストとWorksへのリンクをまとめました。
スマートフォンの方はこちらをご覧ください。
>>下山ワタル DESIGN ARCHIVE[TXT]

 

コメント

ライター/編集見習いとして音楽プロダクションに入社し、
ふと気が付くとグラフィックデザイナーになっていました。
 

世の中に、初志を貫いてひとつの道を極める人と、
ふらふらとさまよいながら最初に思っていたのと違う道に進む人、
2種類いるとしたら自分は明らかに後者でした。
 
【続きを読む】

下山ワタル DESIGN ARCHIVE [TXT]

下山ワタル DESIGN ARCHIVE [TXT]

PDFでご覧いただけるポートフォリオ(仕事ファイル)下山ワタル DESIGN ARCHIVE(総合版)の各章扉テキストを、スマートフォンでも読めるようにまとめたページです。PDFと同じ構成・順序で、該当するWorksへのリンクも並べています(各リンクは別ページで開きます)。

DESIGN ARCHIVEは、下記リンクから直接ダウンロードいただけます。
総合/PDF
https://paragraph.jp/pdf/ws-design-archive-v3-1.pdf
絵本・児童書の仕事/PDF
https://paragraph.jp/pdf/ws-design-for-kids-ver2.pdf

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://paragraph.jp/2021/09/wataru-shimoyama-design-archive/

下山ワタル DESIGN ARCHIVE

PROFILE
https://paragraph.jp/profile/

 

1|音楽・出版の仕事

音楽プロダクション入社後、駆け出しの編集者として素材を届けに行ったデザイン事務所で、DTPソフトが動作する沢山のディスプレイが並ぶのを見たのが、Macとの出会いでした。一年後には自費で購入し、当時編集していたファンクラブ会報のDTP化を手始めに、社内で発生するプロモ資料やフライヤーの仕事を片っ端からデザインしていきました。ちょうど世の中が写植からDTPにシフトチェンジする時期とも重なっており、古くから活動してきたデザイナーとほぼ同じスタートラインから始めることができたのも幸運でした。

印刷物や冊子(コンサートパンフレット)、CD/DVDパッケージ、広告、ロゴなど、あらゆる種類の仕事が次々と飛び込んでくるような環境で、時に失敗に目をつぶってもらいながら、独力でデザインや印刷の基本を学びました。第一線で活躍するミュージシャンたちの自由な発想に触れられたのが何よりも大きく、また、編集とデザインの境界線も未分化(=自由)な職場で、デザインをしながら編集・撮影・企画などコンテンツも同時に考えるような経験ができたことも、いまの自分にとっての礎になっています。
 

矢野顕子/上田三根子 わたしはラーラ(1999)、はたらくラーラ(2000)
https://paragraph.jp/portfolio-item/my-name-is-lara/
https://paragraph.jp/portfolio-item/working-girl-lara/

矢野顕子 Akiko Yano Songbook(2001)
https://paragraph.jp/portfolio-item/akiko-yano-songbook/

V.A. Non Vintage|林立夫セレクション(2005)
https://paragraph.jp/portfolio-item/non-vintage/

藤本ともひこ・中川ひろたか 作品集 ぼくのうた きみのうた5 「いちについて」(2010)
https://paragraph.jp/portfolio-item/ichi-ni-tsuite/

V.A. Sing More Songs もっとうたってよちゃん(2016)
https://paragraph.jp/portfolio-item/sing-more-songs/

こくぼみゆき・作 しもだいらあきのり・絵 下山ワタル・デザイン
よめる よめる もじの えほん(2015)

https://paragraph.jp/portfolio-item/yomeru-yomeru-moji-no-ehon/

中川ひろたか・作 斉藤美春・写真 ぼくの手 わたしの手(2013)
https://paragraph.jp/portfolio-item/bokunote-watashinote/

はまのゆか・作/絵 九九をとなえる王子さま(2013)
https://paragraph.jp/portfolio-item/kuku/

中川ひろたか みんなともだちカロム(2011)
https://paragraph.jp/portfolio-item/mintomo-carrom/

月刊保育とカリキュラム(2010〜17)
https://paragraph.jp/portfolio-item/hoiku-to-curriculum/

藤本ともひこ&中川ひろたか 劇あそびミュージカル(2010)
https://paragraph.jp/portfolio-item/geki-asobi/

Hoick CDブック ちょっとだけ体操/じゃんけんジョイ!/ワクワクあふれだす(2017〜19)
https://paragraph.jp/portfolio-item/jan-ken-joy/

マンガでわかる かんたん!たのしい理科実験・工作(2017)
https://paragraph.jp/portfolio-item/rika-jikken/

ケロポンズ ツイてる! ツイてる! エビカニフェス/ケロポンミュージアム(2019)
https://paragraph.jp/portfolio-item/ebikani-fes/
https://paragraph.jp/portfolio-item/keropon-museum-at-seemoreglass/

佐藤 剛 ウェルカム!ビートルズ(2018)
https://paragraph.jp/portfolio-item/welcome-beatles/

黒沢健一『V.S.G.P』(2010)
https://paragraph.jp/portfolio-item/vsgp/

ねずみのシーモア(2019)
https://paragraph.jp/portfolio-item/seemore/

 

2|ロゴデザインの仕事

フリーランスになって約2年後の2008年、引きこもりの若者を支援するNPOのロゴや印刷物のデザインを依頼されました。ブランディングという言葉もまだ知らず、直接的にはそのような目的の仕事ではなかったものの、ひとつの組織とそこに集まるメンバーと向き合い取材を重ね、彼らの求める方向を探っていく作業から多くを学びました。デザインを通して世の中に貢献するというモチーフについても初めて意識しました。

ブランディングにまつわる本格的な仕事は、次項で紹介する生活クラブのプロジェクトが最初ですが、それ以前にも企業やプロジェクトの顔となるロゴデザインの仕事に数多く関わってきました。クライアントの理念や目指すものを読み取り、シンプルな形に集約する、ロゴデザインの仕事は自分にとって大きな楽しみのひとつです。

https://paragraph.jp/portfolio-category/logotype-ci/
 

協同ネット(2008)
https://paragraph.jp/portfolio-item/kyodo-net/

10,000 SAMBA!(2008)
https://paragraph.jp/portfolio-item/10000-samba/
 

3|生活クラブ/ブランディングの仕事

2014年春から、生活クラブ生協のブランディングプロジェクトチームにアートディレクターとして参加しました。子育て中の若い世代をイメージして、長い歴史の中で親しまれてきたロゴやマーク、パッケージを刷新し、カタログ、注文システム、ウェブサイトなどのサービスを使いやすく改善する仕事に、助走・準備期間も含めて約5年間取り組んできました。

プロジェクトの大きな核となったのは、2015年から使われている新ロゴタイプのデザイン。同じ時期に定められた書体やブランドカラーのルールに沿って、新ロゴタイプのテイストに準じた制作物が世の中に広がっていきました。注文カタログは親しみやすくフレッシュな印象になり、消費材(商品)のパッケージはそれまでのリングを強調した力強い外観から、シンプルで優美なイメージへと変貌しました。

古いものを捨てて無闇に新しくするのではなく、生活クラブが過去に積み重ねてきたものを否定せず、ベテランの組合員にも、これから新しく入ってくる人たちにも、新しいデザインの心地よさや楽しさ、使いやすさを同じように感じてもらえたら、というのが一連の仕事を通して心がけてきたことです。“Good design is as little design as possible” という、自身のデザインに対する考え方が生かされています。

https://paragraph.jp/portfolio-item/seikatsu-club-works/
 

4|イラストレーション

デザインを始めてから約2年後の1998年、Adobe Illustrator上でマウスを使った挿絵のようなものを描き始めたのが、自分にとってのイラストの誕生でした。デザインと同様に絵を描く習慣もなかった自分にとって、それは手と違って何度もやり直せるIllustratorだからこそ可能だった、デザインの「拡張」でした。

デザインと比べて多くの時間がかかることからクライアントワークとしての展開は一度断念しましたが、ライフワークとして、これからも細く長く続けていきたいと思っています。

https://www.cinnamon.buzz
https://www.instagram.com/cinnamon_tokyo/

かしこい脳が育つ!おんどく伝記1〜3年生

かしこい脳が育つ!おんどく伝記1〜3年生

脳科学者の加藤俊徳さんが監修する、小学生のためのおんどく本シリーズ「かしこい脳が育つ!」(世界文化社)のカバーデザインを担当することになりました。第一弾となる『1話5分 おんどく伝記』1年生〜3年生が発売されました。

かしこい脳が育つ!シリーズ
1話5分 おんどく伝記1年生  文・北川チハル
1話5分 おんどく伝記2年生  文・廉屋友美乃
1話5分 おんどく伝記3年生  文・藤波 潤
監修/加藤俊徳(脳科学者)
世界文化社
2022年3月2日発売
定価:各1100円(税込)
 

 
脳科学者の加藤さんが提唱する「脳活性おんどく法」に基づき、声に出して短いお話を読みながら脳を活性化し、読書習慣もつけちゃおう、というシリーズです。本を手にとって読むという、当たり前のことの少し前にあるような、こどものための読書の入門書です。

このカバーデザインに決まるまでは苦労がありましたが、とにかくカラフルな色が目に飛び込んできて、毎日の読書が楽しくなるようなカバーと帯を目指しました。昔の家庭薬のパッケージのような「効く感じ」もほんの少しだけ出してます。
 

 
今回は、シリーズアイコンとして使われる、読書好きのしろくま「ちえくま」のキャラクターイラストも担当しました。イラストレーション的な画を発注に応じて描くのは、(ケロポンズの動画背景を別にすれば)およそ12年ぶりのことです。イラストというよりもデザイン(ロゴ制作)に限りなく近いストイックな作業でしたけど、とても満足しています。

>>かしこい脳が育つ!おんどく伝記|Works

>>「かしこい脳が育つ!」おんどく伝記シリーズ|PR TIMES